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最良の地震対策は? [地震]

 皆さん、こんにちは。 

 今、能登半島が地震で大変な状況ですが、私たち新潟県民も1964年の「新潟地震」と2005年の「中越地震」の2回の地震を経験しました。 私自身は新潟地震のときは学生で、揺れがはじまったとき、みんないっせいに机の下に隠れた記憶があります。 また、中越地震のときは夕方で、お客様の玄関前にいて「町中が音を出して鳴った」記憶が鮮明です。 

 地面が揺れるのは不愉快なものです。 「心の奥まで揺れて」しまいます。 ダリだったかのシュールレアリズムの絵画で、城が空中に浮かんでいる絵がありますが、あんな絵を見たときのような「不安定な気分」になります。 それでなくても不安定な自我がこれでもか、という感じで揺さぶられてしまいます。 人間の根源的な不安が一挙に自分の内部から噴出してくるような・・・というか。 脱線しました。

 最良な地震対策とは何でしょうか? 例によって、偏見一杯の私の考えを書いてみます。 中越地震の一ヵ月後くらいから、私のお客様から何件か問い合わせがありました。

お客様A「新聞の折込で、耐震調査を無料でやってくれるという広告があったので、その業者に調査してもらったら、「最悪」という結果が出ました。 どうしたらいいでしょうか?」

私 「その業者はなんていう会社ですか? それから耐震費用の見積もりは出してもらいましたか?」

お客様A[ええ、見積もり金額は約150万円です。 その業者はシロアリ消毒が本業の○○社です。」

私 「私のほうでも現在の耐震技術について調べてみますね。 ちょっと時間をください。 耐震工事するかしないかはそれまで待ってください。」

お客様B「大手ハウスメーカーで建てて15年くらいですが、うちらの一体は地盤が砂地なので、流動化現象が起きないか心配です。 大丈夫でしょうか?」

私 「私のほうでも現在の耐震技術について調べてみますね。 ちょっと時間をください。」

 ・・・・というわけで、私は現在の耐震技術および耐震診断の信頼性について調べてみました。 実は、数年前に国土交通省認可の某団体から、耐震工事をビジネスとしてしないかというパンフレットがDMで送られてきていました。 結論をいうと加盟金約100万を出せば、加盟できるようになっています。 そして、その加盟金くらいは1~2件の受注があれば簡単に回収できるとも書いてあります。 

 そのDMは一見「公的」な雰囲気ですが、耐震器具を製造している会社のパンフレットも同封されていました。 「公的」団体らしいのに一企業のパンフレットも同封されていたことに、少し違和感を感じましたが、興味がないので、ほっておきました。

 そして、私なりに現在の耐震技術についていろいろ調べてみました。 結果、私の結論は「現在の耐震技術は、あんまり信頼できるレベルではないなあ。」でした。 詳しく書くときりがないので、要点だけズバリ書かせてもらうと、たとえばいろんな「耐震金具」が販売されています。 そして、そのそれぞれは、確かに、それなりの実験や測定で有効性が証明されているのかもしれません。 しかし、私には「重要な点」が抜け落ちているような気がしてならないのです。 

 「重要な点」とは「地盤の問題」です。 たとえば、優秀な「耐震金具と耐震工法」があったとして、それで家が破壊されるのを免れたとしても、もし地盤が凹んだりして、家が傾いたら無意味です。 「家そのもの」は大丈夫でも「傾いてしまった家」には実際、住めませんからね。 つまり、耐震工事とは「家」と「地盤」の両方を同時に工事できない限り、無理な気がするのです。 そして、現在の「耐震工事」は「家」だけの工事がほとんどです。 

 また、「中越地震」のときにボランティアで、小千谷市にお邪魔したときに、現地でいろんな声を聞きました。 あちこちの家の玄関に、赤い紙や黄色い紙が貼ってあります。 それは被害のレベルを色紙で表示している紙でした。 しかし、現地の人の声ではその診断について、不公平だとか、倒壊しそうで事実上住めないのに、なんで黄色紙なんだ、とか様々な不満も聞きました。 

 これは診断した市職員の方がどうのこうのいう以前に、「診断方法」がまだ確立していないせいではないかと思います。 ありていに言えば、急遽「耐震診断」の講習を受けた市職員が、その「付け焼刃」の知識で診断したケースもけっこうあったのではないか、と思います。 市職員の味方をするわけではないのですが、時間的にやむを得なかったような気もするのです。

 結局、私は先ほどのお客様に、こう言いました。「 もし、地震が怖くて仕方がなくて、それに150万円くらいの「耐震工事」の金額が負担でないなら「安心料」として工事してもいいんじゃないですか。 しかし、とにかく地震が起きたら「まず、真っ先に逃げること」が先決だと思います。」と。 

 つまり、最良の地震対策は「とにかく、逃げること」だと思います。 

 ここまで、お読みになって、「なんだあ、もっといい方法があるかと思って、読んだのに期待はずれだなあ。」と思われたらごめんなさい。 

 以下の文は、武谷三男氏の言から抜粋したものです。 武谷三男氏とは、湯川秀樹氏らとともに「中間子論」を研究した物理学者(故人)です。 私は氏のいうことに全面的に賛同しますが、皆さんはどう思いますか?  

 「現代の建築というものは、その強度やら構造というものを、なんでもコンピューターでやっている。 しかし、巨大なビルだろうがなんだろうが、地球という自然の上に建てているのだから、当然、自然のことも計算に入れなければならない。 しかし、地球に起こる地震などという複雑な現象は、コンピューターなどでは把握しきれるものではないのだ。 こうした原則的なことも忘れて、「耐震設計」と称して、なんでもコンピューターで設計し、これで大丈夫だといって建てる。 それで、実際に地震が起きて、ビルや高速道路が倒れたりするわけである。 コンピューターによる建築物の設計がまったくあてにならないことは、実は、ずいぶん昔からわかっていたことだ。」      BY・武谷三男 

 それでは皆さん、ごきげんよう。

 

 

 


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羽アリ舞い飛ぶ家の住人

はじめまして、我が家の春の風物詩、結婚飛行が今年はまだ開催されないので、とうとう我々が勝ったのか?とシロアリ、寿命、のキーワードで検索して来ました。お邪魔します。

さて、耐震補強ですが家屋の倒壊を防ぐ効果だけでも価値は有ると思います。神戸市長田区では倒壊でかなりの犠牲者が出たそうですから。
by 羽アリ舞い飛ぶ家の住人 (2007-05-01 05:04) 

toyo

コメント有難うございます。
そうですね。とにかく、「逃げること」と書きましたが、倒壊で犠牲者が出たことを考えると、実際、寝たきりの人とか、逃げようにも逃げられない人もいるわけですからね。一方的な書き方だったと思います。ご指摘有難うございました。
by toyo (2007-05-04 23:07) 

1年越しのコメントです

本当に逃げられるとお思いですか?震度5~6弱なら、大丈夫ですが、震度7(震度6強で歩くのは困難)で家の下敷きになって、抜け出せなくなったらどうしますか?抜け出せても足が折れていたら逃げられますか?めがねが吹っ飛んで、視力がない上に、あるいは、崩れてきた家の粉塵によって目にごみが入り、最悪失明する可能性だってあるでしょう。その状況で逃げられますか?人間は常に都合のいいように考えてしまいます。おそらくそれは人間の本能なのかもしれません。だから、一人で考えていいのですが、こういった災害イメージを防災訓練でやったほうがいいでしょうね。お互いに指摘しあうことは重要なことですし、子供の発想が案外役に立つんです。
うちでは、避難訓練は上記ほか、アイマスクを使用したりします。目が見えない状態。恐いですよ。本当に。

あなたのいう「重要な点」にはさらに「重要な点」が抜けています。逃げるためにも、というか逃げ道を確保するためには耐震補強・診断は必要だということです。さらに言えば、道路が狭いところでは、街中が耐震対策しないと、道が寸断され逃げるに逃げられないでしょう。

最近は耐震補強して震度7で壊れたら補償します、という謳い文句の大手の企業があります。しかし、保険として考えるなら、これは当たり前で、リスクが低減させる努力をしているのなら、それだけ補償額は多くて当然でしょう。自動車保険でも事故を起こしにくい人ほど見返りは大きい。

~ただ、悪徳業者には気をつけましょう~
by 1年越しのコメントです (2008-06-11 20:41) 

さらに言うと

武谷三男氏の発言はおかしいですね。所詮は、「中間子論」を研究した物理学者(故人)。現場屋さんではありません。この人こそ現実を見ていないと言えます。私は、土木・建築関係に携わっており、現場の作業を見ていますし、地震の調査などにも出かけます。
コンピューターはあくまでも計算機で、操作しているだけです。頭を使っていないわけではないんですよ。
煩雑な計算過程を、いわば機械的にできる流れ作業、繰り返し作業部分を機械にやらせているだけです。
設計自体をコンピューターがやっているわけではありません。
地盤でもそうです。ハイテク化を想像されるかもしれませんが、貫入試験など、いまでも原始的なものを使っています。おもりをクレーンで吊り上げて落とす作業を何度も行い、その進み具合で地盤強度を測定します。もっと原始的な人力のものも簡便的に使われています。本当に土に関しちゃ今でもアナログです。それ以上のものはないでしょう。




by さらに言うと (2008-06-11 20:53) 

toyo

なるほど。
実際に現場で土木・建築・地震の調査を行っている方の意見はとても参考になります。特に・・・土に関しては今でもアナログです・・というのは現場の人にしかわからない貴重なご意見です。有難うございます。

私が言いたかったのは自然災害に対しては人間は無力であること。自然に対して私達は畏れ(恐れではなく)の気持ちをなくしていないか?というようなことだったんですが・・・不適切な表現だったと思っています。現場の方の努力と気持ちを傷つける意図はまったくなかったのですが、もしそのように感じれらたのなら私の舌足らずな書き方のせいです。心よりお詫びいたします。
ただ、前回の地震のときも県外からの悪質業者が跋扈して法外な料金を請求したりして問題が多々発生しました。そういう業者に対する怒りの気持ちがバランスのとれた書き方ができなかった遠因になっていたかもしれません・・・まあ、言い訳めいてみっともないですので止めますね。

ともかく、私としてはとても勉強になりました。ほんとに貴重なコメントです。有難うございました。
by toyo (2008-06-12 01:44) 

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