これはシロアリ?それともキクイムシ? [キクイムシ]
皆さん、こんにちは。
最近、キクイムシについて相次いで質問を受けましたので、今日は
キクイムシとシロアリについて説明します。 (詳しい説明は検索すれば
いくらでも調べられると思いますので、私の経験を主に説明させてもらい
ますね。)
まず、外観的な被害の形はシロアリとキクイムシはどう違うのか?
から説明します。 私のほうにも時々、「柱に穴が開いていますが、これって
シロアリじゃないですか?」と電話をいただくことがあります。
私 「その柱の穴は小さい丸の形をしていますか? それとも筋上の
細長い穴ですか?」
お客様「丸くて小さい孔です。 だんだん孔の数が増えてるようです。」
私 「その孔から、細かなメリケン粉みたいな粉が落ちてきませんか?
明らかに砂とか土の粉ではないですよね?」
お客様「落ちてきます。 メリケン粉みたいな粉です。 柱以外にも天井から
も落ちてきます。 それに階段にも、朝になるとよく粉が落ちていて、
灸のモグサみたいになって盛り上がっています。」
・・・・こういう場合はキクイムシです。 ポイントを整理しますと・・・
- 孔の形がキクイムシは小さい丸い形(直径1ミリ以下)をしているが、
シロアリは細長い筋上の形をしている。 (シロアリのほうの筋上の
孔は、{自分でできるシロアリ・チェック}の4月9日のブログに写真を
載せてありますので見てくださいね。 - その孔から出る粉が、キクイムシはメリケン粉のように細かい、が
シロアリのほうは、あきらかに砂か土でざらざらしている。
次に、キクイムシ用の薬剤はシロアリにも効くのか? ということですが、
結論は効かない、です。 というのは薬剤の剤型(さいけい)が全く違うからです。
ホームセンターにいくと、対象とする虫によって、様々な種類の農薬が売っています。
ナメクジ用、蟻用、アメシロ用・・・と多種類です。 よく見ると薬剤の主成分は案外
同じだったりします。
つまり、薬剤の主成分がいくらその虫に有効でも、その主成分が対象と
する虫に「届かなければ」意味はありませんね。 薬剤の表示をみると
複数の薬剤が混ぜられて作られているのがわかると思います。
薬剤は主成分だけではダメで、その主成分を虫に「送り届けるための副成分」
が必須です。 その副成分を「溶剤」といいます。
というわけで多くの化学薬剤は「主成分」+「溶剤」で、できています。
ついでに言えば、ホームセンターでもシロアリ用スプレーや液体の
シロアリ用薬剤が最近売られていますが、はっきり言って「使い方」が
わからないで使っても無意味だと思います。
「使い方」は、必ず「対象とする虫の生態と習性」に熟知していなければ、
わかりようがないからです。
たとえば、浴室から羽アリが出た!さあ大変!早速、ホームセンターに
行ってシロアリ用スプレーを買ってきて、羽アリに吹き付けたら、あら、
簡単に死んでいく!大成功!これでもう安心!
・・・・と思い込みやすいのですが、ではこういうことはご存知でしょうか?
羽アリはシロアリ集団の1割りくらいに過ぎません。 それに肝心の
「木を食べるのは羽アリではなく、働きあり」です。
そして、働きありの多くは一生、働き蟻のままで羽アリには「変身」しません。
スプレーでは働きありの駆除はできませんから根本的な解決にはほど遠い
わけです。 また、シロアリは女王蟻しか卵を産みません。
そして、その女王蟻をスプレーだけで駆除するのも100%不可能です。
だって、どこにいるかわからないんですから。
つまり「対象とする虫の生態と習性」がわからないでは、なにをやっても
徒労になってしまいます。 というわけで、シロアリ用スプレーではシロアリ
駆除は根本的に不可能です。 また、液体の薬剤も、かえって使い方を
誤ると健康被害の危険のほうがむしろ心配です。
それなのに何故メーカーはそういうものを一般に販売するのか?というと、
これまでのように私たち専門業者だけ相手にしていては売り上げが望め
ないので「利益を上げるために」一般販売に踏み切ったのだと思います。
「売り上げ本位」で、消費者が健康被害になろうが知ったことじゃない、
ということです。 かりに裁判になっても「薬剤の基準値」で押し切れば
なんとかなるさ。
そこには薬剤メーカーとしてのモラルなど見当たらず、なりふりかまわずの
浅ましい姿しか私には見えません。 今度、いろんな薬剤の表示に書いて
ある主成分の割合を見てください。 主成分はせいぜい1~5パーセントの
はずです。 あとはほとんど溶剤です。 如何に製薬メーカーがおいしい仕事か、
おわかりになると思います。 だからあんなに派手なTVCMができるわけです。
(つい、興奮して大脱線してしまいました。 恥ずかしー!)
もし、室内でキクイムシ用薬剤を使用する場合は、室内犬や猫が「舐めない」
ように注意してください。 大抵は動物のほうが利巧で、「本能的に」薬剤には
忌避反応を示して近寄りませんが、それでも「舐めてからでは遅い」ですからね。
近寄らせないようにすることはとても大事です。 動物が煩雑に出入りするような
場所での使用は避けたほうが無難です。
あと、これもよくあるケースですが、お隣との境にお隣の杭があって、しかも
その杭があきらかにシロアリに食われている。 お隣に言っても「余計なお世話」
という態度。 こういう場合は下手にお隣に言うと、近所づきあいもあるし、
あとあとが面倒になります。 「あんたらは専門業者だから、あんたがお隣に
文句言ってよ!」なんて私もよく言われます。
この場合の現実的な対応策は、「お隣が留守のときを見計らって、その杭の
根元にぐるりと、コップ2~3杯の灯油をかける」。 これでいきましょう。
下手に説明しても、相手は難癖をつけられたくらいにしか思いませんからね。
説明無用。 忍者気分で密かに行動のみです。 結果的に、お隣のためにもなる
ことですからね。
それから、自宅の周りの杭がシロアリに食われていて、しかもその杭が
1メートル以内にある場合の、自宅へのシロアリ侵入の防ぎ方は?・・・
という質問には、ガッカリさせて申し訳ないですが、既に侵入している確率が
とても高い、というしかないのです。 で、侵入しているか、いないかの判断は、
もう床下にもぐって目視で判断するしか確認のしようがない、というのが
正直な気持ちです。
如何ですか? ちょっと乱暴な説明の部分もありますが、もっと具体的な
事例をあげればよかったでしょうか? キクイムシについては生憎、写真が
ありませんので写真説明ができなくてすみません。 ことばだけではわかり
にくかったと思います。 今度、写真で比較対照して説明できるようにしますね。
それでは皆さん、ごきげんよう。
(眠たいにゃ~。おやすみ~)
5~6月は羽アリの発生する時期です。 もし心配なことがありましたら下記の
ホームページを参考にしてくださいね。 羽アリの時期が終わるまでは載せておきますので。http://www.niigata-boucyu.com です。 それでも判断できなかったら
下記へメールしてください。 shiroari@fc5.so-net.ne.jp です。
このブログのコメントからでもけっこうです。 私は新潟県人ですので、実際の施工は
新潟県以外には対応できませんが、アドバイスだけは精一杯させていただきます。
遠慮なくどうぞ。
いつもたいへん丁寧に教えていただきありがとうございます。
やはり今気になっている穴はキクイムシのようです。
床下はもぐって(洗面所・浴室・トイレはもぐれませんが)見ました。素人の目では今のところ他に害はないようですが、もしこれからシロアリの害を見つけたらどのように対処したらいいでしょうか? 過去のブログにございますか? いつも質問ばかりですみません。
by Aki (2007-05-23 08:41)
Akiさま。
まったくかまいません。どんどん質問してください。
「もしこれからシロアリの害を見つけたらどのように対処したらいいでしょうか?」
えーと、これについては状況によって答えが全く違ってきますので、答えようがないというのが正直な気持ちです。具体的に「何がどういう状態で・・現在、こうなっている・・」とか質問していただければお答えできるんですが・・・。あと、このブログを最初からお読みいただいて、そのつど具体的な疑問が湧いてきたら聞いていただけると、お答えできると思います。ごめんなさいね。
by toyo (2007-05-23 19:44)
ありがとうございます。
by Aki (2007-05-24 08:51)
ふむふむ~!プロの目から見ると…という記事はとてもおもしろいですね!
(もちろん、にゃんこやTOYOさんの"つまらない"シリーズ?も大好きなんですけれども。といいますか、TOYOさんの文章がお上手なんだろうなって思います。何を読んでもおもしろいんだもの!)
うちでは殺虫剤は使っていません。噴霧・吹きつけした後の薬害が怖くて。
今回の記事を読んで、あながち間違いでもなかったのかも…なんて思いました。
北海道は憎いGが出ないので、そんな悠長なことを言ってられるのかもしれませんけど…(うちでの主な被害?はカメムシです…)
>薬剤は主成分だけではダメで、その主成分を虫に「送り届けるための副成分」が必須です。 その副成分を「溶剤」といいます。
これ、満へぇくらいびっくりでした!
そしてにゃんこちゃん…かわいすぎます…しあわせそう♪
by りんごあめ (2007-05-25 11:41)
りんごあめさま
我が家のにゃんこちゃんを、褒め
てもらって、うれしいにゃ~。
これから、もときどき顔を出させてもらいます。
いっぱい、いっぱい、褒めてね~。
有難うございます。
by toyo (2007-05-26 07:53)