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良い大工さんの選び方 [シロアリ]


皆さん、こんにちは。

前回はちょっと大工さんの悪口めいたことを書いてしまったようです。 
そこで今日は大工さんについて私の感じるままに書いてみたいと思います。 
これから家を建てよう、あるいは増改築などのリフォームを計画している人の
参考になるかどうか自信はありませんが。

私はシロアリ業という仕事柄、自然といろんな大工さんと知り合いになりました
が、そうでなければ「大工の世界」とは無縁だったと思います。 

シロアリ業者は大工さんから仕事を貰います。 するとどうしても大工さんに
対して「弱い立場」になります。 今でも大工さんに対しての営業がとても苦手
です。 というのは一体この大工さんは何をどう考えているんだろう?と思うこと
しばしばだからです。
 
つまり、腹の中が見えない(見せない?)大工さんがほとんどのような気がして
いました。 ちょっと質問しても「そんなことも知らないのか!?」といった雰囲気で、
なんだか馬鹿にされたような目でみられるし。 
とにかく大工さんとのコミュニケーションはとてもとりずらかった印象があります。 

でも、次第にいろんな大工さんと知り合いなるにつれ分かってきたことは、多くの
大工さんは腹の中を見せないというより「コミュニケーションがとても下手」だと
いうことでした。 

なぜ下手なのかというと長年にわたってその必要がなかったからだと思います。 
私の家内の父上(故人)も大工でした。 良い意味で「変った大工」でした。 
とても寡黙な人でした。 でも「筋は通った」考え方をする人でした。 
私は頑固で変人といわれる人は決して嫌いではありません。 そういう人ほど
話してみると実際はいい人が多いからです。 
それに「筋さえ通せば」とても物分りがいい協力的な面もあります。

しかし、「コミュニケーションがとても下手」ということはお客様にとってはいいこと
ではありませんよね。 だって、お客様からすればとても不安ですもの。 
昔はそれでも良かったのです。 建築に関しては私達は素人、大工さんは長年の
修行を積んできたプロですからね。 大工さんにお任せでも、ちゃんと我々素人
には気づかない先々のことまで考えた家造りをしてくれたからです。

でも、近年はお客様のいろんな要望が増えてきました。 
家を建てることは一般の人にとっては一生に一度の夢ある大きな買い物でしょう
からそれも当然です。 
つまり、お客様の立場からすれば「ああしたい、こうしたい」という欲望を実現した
いわけです。 ところが多くの大工さんはコミュニケーションがとても苦手。 
ここにギャップが生まれます。 ギャップからクレームが。 
建築産業はクレーム産業ともいいますものね。 

きっと大工さんの立場からすれば「素人が馬鹿みたいなことばかりいうなあ」と
思うシーンがいっぱいあるのではないでしょうか? 

ちょっと極端な言い方をすれば、お客様のほうはマスコミの影響で「欲望が肥大化」
していますから、あれもこれも実現した家をと望みます。 
ところが、大工さんの側からすればその要求に対して「予算上の不足」「構造上の
無理」がある場合もありますよね。
 
「予算上の不足」についてはお客様にも理解できても、「構造上の無理」については
なかなか考えが及ばないというか理解しずらいのではないかと思います。 
だって建築については素人ですからね。 
ここを無理に押し通すと数年後に破綻(クレーム)が生じやすいと思います。

どういうことかというと・・・う~ん
具体的な例としては・・・たとえば近年、デザイン上の理由からでしょうか? 
庇(ひさし)のない窓が増えています。 見た目はスッキリしてかっこいい。 
でも、これは雨が外壁の内側に入りやすく腐りやすい。 
(それが原因で甚大なシロアリ被害を招いた家の駆除経験が私も何度かあります) 
だから、窓には絶対庇が必要なのですが、これを拒否する依頼主もけっこう多い
らしいですね。
 
床下関係についていえば、外基礎に通気口のない家も増えています。 
基礎パッキン工法というやつです。 
私に言わせればこの工法ではとても通気性には不十分だと思います。 
築後数年たってから床下にもぐればそれはわかるはずです。 そういう家のシロアリ
駆除経験もあります。 
(おそらくハウスメーカーでは基礎パッキン工法で床下の湿気もシロアリも心配
ありません・・・なんてきっと言っているんでしょうね。 でもそれはウソです。)

脱線したようです。 「良い大工さんの選び方」でした。 
かって私の友人がこう言っていました。 
「大工の世界って他の業界から比べたら10年は遅れていますよ」
これはどういう意味だと思いますか? 

その友人(実は私のところに一時勤めていた社員です。 現在は外壁関係の下請け
を自営でやっています)は、それまで主にサービス業を何種類か経験してきました。 
だから他の業界と比べた場合、如何に大工という業界がある意味「温室」で、その
「聖域性?」がとても鼻についたというのです。 

誤解されると困りますが、これは必ずしも大工さんを非難しているわけでは
ありません。 さっきも言いましたが 「長年にわたってその必要(サービス)が
なかった」からだと思います。 

いろんな業界は熾烈な競争社会ですが、建築関係は・・・もちろんそれなりに
競争はあったと思いますが・・・それでも他の業界に比べたら「甘い」・・
といったら怒られるでしょうか? 
実際私もそう感じます。 だって他の業界に比べればたいした「営業努力」を
しなくても今までやってこれたわけですからね。
(苦労している大工さん、ごめんなさい)

それに、お客様のほうでも大工さんに対してはなんとなく「遠慮」する気持ちは
ないでしょうか? それは相手は建築のプロでこっちは素人だから・・・という引け目
というか意識があるからですよね。 
ところが最近はこの関係が変ってきたようです。 大工の世界も熾烈な競争社会に
なってきたからですね。 素人も「要求が我が儘」になってきたせいもある気がします。 

すると・・・・大工の世界も「口八丁手八丁」の業者のほうがノシてきます。 
何にも知らないお客様にとっては「感じが良くて」「わかり易い説明をしてくれる業者」は
「いい業者に見える」からです。 
腕の良し悪しは見た目ではわかりませんからね。 
(この文を書いている今もTVで某ハウスメーカーが宣伝していますが、とっても便利な
機能だとか客受けしそうな話題を「素人にもわかりやすく」説明しています。 なんだか
歯の浮くようなCMです。 でも一般の人は、きっとこれいいなあ!なんて思うんでしょうね) 

そのいい例がリフォームの世界です。 リフォーム業なら特別の資格も経験も必要
ないからですね。 実際売り上げを上げているリフォーム屋の社長は大体、大工では
ない場合がほとんどです。
他の業界で培った集客のテクニックをリフォーム業界に「応用」しているだけ。 
もちろん全部が全部ではありませんがはっきり言えば建築素人が「知ったかぶりを
して」リフォーム業をしているだけの店も多いようです。   

あるリフォーム下請けの大工さんが皮肉まじりにこう言っていました。 
「今は素人が仕事を取ってきて、プロにさせる時代だからなあ~」と。 
つまり、「集客」するのは大工ではない人(リフォーム屋)で、実際の仕事はプロが
請け負ってするということです。 ここに問題(クレーム)が発生しやすいのです。 
「大工ではない人」=営業マンがお客様の「要望」を聞いて大工さんに「指図」する
わけですからね。 

そこには「一方的なお客様の要望だけ」があります。 リフォーム屋の営業マンは
お客様に良く思われたいですから「無理な要望」も受けてしまいがちです。 
無理な要望というのは先ほどの庇の例のようなことです。 あきらかに「数年後に
マズイ結果が出るような要望」でも知らないで通してしまうということです。
 
この場合、力関係では仕事を取ってくる営業マン(リフォーム屋)のほうが大工さん
より上になりますから、内心まずいなあと大工さんが思っても仕事欲しさでなかなか
言えないわけです。

もっと極端に言えば・・・たとえば大手ハウスメーカーにとって良い下請けさんとは
「文句を言わないで、言われたことを期日どうりに安価で仕上げる大工さん」です。 
もう昔ながらのうるさい職人的大工はかえって邪魔なだけです。 
昔、私の友達の家具製造販売の経営者も同じことを言っていました。 
「腕がいい職人はもういらないよ、だって家具の製造工程で、もう機械でかなりの
ことができるからね。 パートのおばさんのほうが使いやすいよ」 と。 

大手ハウスメーカーの工場見学のツアーに行ってきたお客様の話では、もう
ほぼ完全に自動化された工場で家のキットがコンピューター管理で作られていた
そうです(プレカット)。 家はもう完全な工業製品です。 車や家電品と同じ感覚で
生産されています。 そこに職人はいらないのです。
 
家をつくるのはプラモデルを組み立てるのと同じ・・・と某ハウスメーカーの下請け
専門の大工さんが言っていたのを思い出しました。 
「もうカンナなんかもいらないよ。工場で全部部品ができてくるからね」 と。

で、またまた脱線してしまいました。 こういう大手ハウスメーカーの家がお気に入り
の人にとっては関係ない話ですが、もし「工業製品」ではない「人間的?」な家が
作りたかったら、やっぱり信用できる確かな腕をもった大工さんを探さなければ
なりません。 

で、その探し方ですが、私はこう思っています。 まずいろんな家を見て廻って、
そしてこれといった気にいった家があったら図々しく「そこの住人に直接聞いてみる」
ことです。 実際住んでいる人が一番「結果」がわかりますからね。 
ちょっと勇気がいりますが、でもこれが一番じゃないかなあ。 

たとえば、いい家だなあ、と思ったら、住んでいる人に・・・
「素敵な家ですねぇ。 私もこんな家が建てたいなあ。 ところで実際に住まわれて
みてどうですか? 困ったこととか良かったこととか教えていただけませんか?」と。 
すると意外な返事が返ってくることもあります。
「いやー、いいと思ったんだけどねえ~あそこの使い勝手が悪くてねぇ~」 とか、
「最初はあんまりいいとは思わなかったけど、住めば住むほどよくなってきてね、
さすがと思いました」 とかね。 

なんだか平凡な結論になっちゃった。

ちなみに、さっきの・・・
「最初はあんまりいいとは思わなかったけど、住めば住むほどよくなってきてね、
さすがと思いました。」
これは、私の家内の父上が建てた家をお邪魔したときのお客様のことばです。 
こういうことばをもらえるようないい仕事をしていたんだ、と感動しました。 
私もそうお客様に言ってもらえるような仕事をしたいと思っています。
(小さな声で・・・実は私もときどきそう言われるんですよ、エヘン)       

 ・・・ということで長々書いたわりに脱線しっぱなしの内容のない文でした。 
 皆さん、ごめんなさいね。 それではごきげんよう。


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いとまたろう

大工さんのお話、とても興味深いです。私の場合、本当に良い大工さんに巡り会うことが出来、現在は家の不安は無くなりました。今の家に引っ越した当初、インターネットで調べたリフォーム業者に依頼し、実は酷い目に遭いました・・。 大工さんは畳屋さんからの紹介でして、畳屋さんは嫁の実家が昔からお世話になっている地元の職人さんです。 また大工さんからは水道屋さんや壁紙屋さんなど凄腕の職人さんを紹介していただきました。その道何十年のベテランばかりで心から尊敬できる方々です。ちなみに、この方々は私の知る限り広告・宣伝の類を一切しておりません。それでも電話するといつもお忙しいようで、毎回恐縮して仕事を頼んでいます。 まずは何らかの形で家に係わる信頼できる職人さんを一人見つけると、良い大工さんに巡り会えるしれません。あくまで私は運が良かっただけかもしれませんが・・・。
by いとまたろう (2008-01-05 19:11) 

toyo

いとまたろう様
「まずは何らかの形で家に係わる信頼できる職人さんを一人見つけると、」
これっていい大工さんを見つけるコツだと私も思います。
いい大工さんの仲間にはいい職人さんが多いですよね。
それに・・
「ちなみに、この方々は私の知る限り広告・宣伝の類を一切しておりません。」
これも私の知る限りその通りだと思います。
ほかには、きっといとま様の人柄もいい大工さんを引き付ける要因になっているんだという気がします。相性というか、これってけっこう重要だと私は思います。コメントありがとうございました。
by toyo (2008-01-05 21:09) 

たいせい

 昔、屋根工事の職人さんを見ていて思ったのが、腕のよい職人ほど仕事にあぶれ、腕がよくないのを口で補っていた職人ほど会社組織にして規模を拡大して利益も上げていらっしゃると言うことでした。
 もちろん、腕のよくない職人さんは自らの技術を自覚しているので、腕のよい職人など人をを使うことが得意でそれによるものもあるのですが何か変だと感じていました。

 ただ、ここ数年様相が変わってきたのでは?と思うのが、この建築不況の中で仕事で手一杯になっている腕のよい職人さんが現れ始めたこと。
 仕事がいっぱいあるから施工単価を落とす必要もなく、施工単価に余裕があるから手抜き工事を行わずに済み、結果としてそれが新たなる信頼の獲得へも繋がっていく。
 それが、口べたな昔気質の職人タイプだったりする事例が全国に何軒か現れ始めています。

 もちろん今までの通りで何もやり方を変えないというのでは通用しないのでしょうけれども、時代は酢こそ動き始めているような気がしています。
 
by たいせい (2008-01-08 09:22) 

toyo

 >ただ、ここ数年様相が変わってきたのでは?と思うのが、この建築不況の中で仕事で手一杯になっている腕のよい職人さんが現れ始めたこと。

私もそういう印象をもっています。
実は、最近お客様からリ「フォームをしたいので、いい大工さんを紹介して」と言われて私としては信頼できる大工さんを紹介したところ、大好評で工事完了後に私と大工さんに一席設けてくれたほどです。
工事中に小さなクレームはあったのですが何よりも「クレームが起きても絶対逃げないで逆にクレーム以上の良い仕事」を大工さんがしてくれたので、お客様も大感激でした。とてもうれしい兆候だと思います。こういう兆候がもっともっと広がることを祈っています。コメントありがとうございました。
by toyo (2008-01-08 11:05) 

たくぼ

母が近所の工務店に依頼して最悪でした。10年近く経つけど実家は未だ未完成です。大工さん紹介してください。
お願いします。m(_ _)m
by たくぼ (2018-02-12 11:11) 

toyo

たくぼ様
昔の拙い記事にお目を止めていただき感謝します。
えーと、私の近所なら紹介できますが・・たぶん近所じゃないですよね?。それにしても、10年経っても未完成というのは困りましたね。う~ん、下記の会社に問い合わせてみてください・・ということくらいしか思い浮かばないのです。該当する地域があればいいのですが・・。
https://www.kengiken.jp/
by toyo (2018-02-12 23:22) 

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