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フキューとシイタケと床下換気扇 その② [腐朽菌]


皆さん、こんにちは。

前回はシロアリに劣らず、もしかしたらそれ以上に怖い「木材腐朽菌の話」でした。 
そして、その繁殖を止めるにはどうしたらいいのかでした。

シロアリは気づかないうちに被害を拡大しますが、この腐朽菌というのも同じです。 
でも、「腐朽=腐れ」・・・っていってもそんな怖いイメージはない、というか「恐怖感」は
感じないような気がしませんか? たとえば以前、お客様から聞いた話。

  • 「うちのお隣さん、この間、畳がベコベコしてきたんで大工さんに見ても
    らったら床下があちこち腐っていて大変だったって。 そういえば大工さんが
    何日も仕事していたなあ」


  • 「へぇー、それでシロアリはいたんですかね?」

  • 「シロアリもいたらしいけど、それよりも腐れがひどくて結局、床板全部と
    フローリングもみんな張り替えて畳も新品に変えたからお金が相当かかった
    そうだよ。」


  • 「このへんは元々が田んぼですからね・・・」

・・・こういう話を聞いても「お気の毒に」とは思っても「怖い」という気分には
あまりなりませんよね。 湿気で腐ったのかあ、そうかあ、お気の毒に・・・っていう感じ。 
ゾクッとするシロアリの恐怖感よりは易しい?感じというか。

腐朽菌による家屋の全国被害額統計ってあるんでしょうか?
もしあったとしたら私はきっとシロアリ以上の被害金額になっている気がします。 
たしかシロアリの年間被害額は火災のそれよりも上回っていて2000億円くらいって
聞いたことがあります。

この腐朽菌の被害って想像以上なのになぜか一般的にはそれほど怖がられて
いないのは「腐れは自然現象だから」という漠然としたイメージのせいかもしれ
ませんね。

それで、その怖さを感じてもらうために前回は・・・
「シイタケの原木がわずか数年で樹皮を残して内部がスカスカになること。 
それはシイタケ菌が木材の養分を分解、吸収するから。 およびそのメカニズムを
腐朽といい、実は木材を腐らせる腐朽菌もシイタケと同じキノコの仲間であること
」 
・・・を、お伝えしたかったのですが伝わったかしら?

で、前置きが長くなりましたが、じゃあこの腐朽菌に対してはどういう対応策が
あるのだろう?ということですが・・・床下専門業者としては真っ先に思い浮かぶ
のは「床下換気扇」ですね。 
では、一体、床下換気扇でこの腐朽菌に対抗できるんでしょうか? 

いきなり独断的な結論を言わせてもらえれば私の経験からは期待薄といえます。 
確かに「停滞している床下の空気を、床下換気扇で強制換気・攪拌する」ことには
一定の効果はあると思います。 昔の吹き抜けの床下のような状態に近づける
わけですからね。 

しかし「中基礎の問題」があります。 
現在は家の周りの「外基礎」のほかに各部屋の下も中基礎で床下が細かく
仕切られています。 中基礎にも通気口はありますがとても不十分です。 
まあ校舎の体育館のようなつくりなら、中基礎も細かくないですから効果は
あるかもしれませんが。 

ですから、もし床下換気扇で効果を出そうと思ったら、最初から中基礎を含めた
床下の空気の動き全般を充分計算したうえでなければ無理だと思います。 
徹底した空気力学?的な計算が事前に必要な気がします。 
たとえば換気扇を付けた通気口以外は全部塞いで床下に負圧状態を作り出す
とか!?・・・。

それにもっと重要な問題、それは腐朽菌の繁殖条件である「水分・温度・栄養・酸素」
のうち水分を・・・具体的には床下の土台等の木材の「含水率」を床下換気扇は
どの程度まで下げることができるのか?ということですが。   
「木材の含水率」、これが家の寿命を決める決定的なポイントですからね。
 
で、またここで「木材の含水率」・・・なんていっても一般の方にはピーンとこない
なじみのないことばですよね。 実はこれってほんとに重要なことなんですが。
 
何故、重要かというと、理論的には先ほどの腐朽菌の繁殖条件である「水分・温度・
栄養・酸素」のどれかひとつでも、もしカットすることができれば腐朽は起こらない

わけです。 

まず「温度」条件は4~45℃ですから現実的には制御は不可能。 
「栄養」っていっても木材そのものですからこれも不可能。 
次は「酸素」これだってまさか真空空間に私達は住めませんからね。 
ただし材木を水中に沈める「水中貯木」は例外。 

意外に思われるかもしれませんが「水中貯木」の目的は材木を水中に浸すことによって
材木中の空気を追い出すことです。 水中に浸漬した材木はだから腐りません。 
でも人類が水棲人にでもならなけりゃね。   

すると残るは「水分」の制御ということになります。 
木材含水率を20%以下にできれば腐朽菌は繁殖できませんからね。 

なんか分かりにくい説明ですね。 教科書的になったみたい。  
これじゃあなぜシロアリ以上に腐朽菌が厄介なヤツなのか、皆さんに伝わらない
気がしてきました。 う~ん・・・どうしよう?

続きは次回にさせてくださいね。 

それでは皆さん、ごきげんよう。

 (木材腐朽菌ということばは、木材を腐らせる多種類の菌の総称です。 
 写真は白い菌なので白色腐朽菌と呼びます)

 

 


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コメント 5

こう

木材をせっかく乾燥させているのに、床下で含水率を上げたら意味がなくなりますね。
by こう (2008-01-16 12:19) 

toyo

こう 様
そうなんですよね。床下については昔の吹き抜けのつくりが圧倒的に優れていたと思うんですが・・・でも冬は寒いですしね~。
by toyo (2008-01-17 10:10) 

toku

腐朽菌の情報ありがとうございます。
 私も建築関係の仕事をしていますが、工務店を含め、リフォーム屋等々知識実績の無い人が多過ぎて、この腐朽菌の事もあまり知られていないのが現状だと思います。
 
 私は電気関係中心なので、床下換気なのですが効果なしと思います、逆に自然乾燥の威力が比べ物にならないので、それでも湿気るのに、換気を付けて塞いだら更に菌が繁殖します。
 マンションの風呂が自然乾燥用の窓が取れない中央に配置されている事が多く、換気扇を24時間回してもカビが生えます、ところが、小さくても外壁窓の付いた風呂は窓を全開までしなくても24時間後に風呂に入る時は乾いています。
折角自然乾燥の為の開口部を塞いで、あろうことかタイマーで止まっている時間が有ったりしますが、考えられません。
 換気扇は回っていれば換気するとは限らないです、まして換気能力の低そうな床下換気をよく見ますが論外です
by toku (2010-09-05 01:22) 

toyo

toku 様

おはようございます。
拙い記事に目を止めていただいて心から感謝いたします。

>それでも湿気るのに、換気を付けて塞いだら更に菌が繁殖します。
たしかにそういう事ってよくあると思います。換気扇のつけ位置が不適切だったり、中基礎の通気も考えないとそうなると思います。

>マンションの風呂が自然乾燥用の窓が取れない中央に配置されている事が多く、換気扇を24時間回してもカビが生えます、ところが、小さくても外壁窓の付いた風呂は窓を全開までしなくても24時間後に風呂に入る時は乾いています。

これも仰る通りだと思います。外壁窓の両脇を10センチくらい開けておくだけでも凄い効果がありますよね。

>あろうことかタイマーで止まっている時間が有ったりしますが、

これも同感です。タイマー自体が壊れても気づかないでいる場合もありますし、時間が大幅に狂っていて夜中に作動したり・・いろんなケースが今までもありました。

実際に現場で働いていないと、なかなかこういう事って気づかない・・
と思います。だからおっしゃること、私なりにわかるつもりです。
私も建築関係の人には「腐朽菌とシロアリの知識」は必須だと思っていますが、現実は逆ですよね。
まあ嘆いても仕方ないのでなるべく大工さんにも教えるようにしては
いるんですがこれが難しい・・下手なこと言うと生意気に思われちゃうし(笑)

コメント、ありがとうございました。
まだまだ暑い日が続いていますが、どうぞtoku 様も
お身体ご自愛くださるように。そしてtoku 様にいいことが
いっぱいありますように。



by toyo (2010-09-05 08:15) 

toku

 早速コメント有難うございます、また丁重なご挨拶有難うございます。
 追加でコメントなんですが、トイレ・風呂の換気扇で100Φのものが多いのですが、1万円程度の換気扇が主流で、それは現実ダクトの5m位しか換気出来なく、良心的な工務店だと途中換気扇を設けていますが、あまり付いていない現状も多いです、湿気を含んだ重い空気を換気するのは難しいのです。
 吸い出すのが難しいので、床下換気扇では外気を取り込むものも有りますが、梅雨や雨や夜はわざわざ湿った空気を床下に取り込みます、一般に洗濯物はPM4時位までには取り込みした方が良いのは主婦の常識です、それは夏でも湿度が上がるからです。
 怖いのは、情報過多で推測で書き込みをし相談者の家の基礎の状態・立地条件(裏山が有る等)・在来軸組か2×4か軽量鉄骨造りかも分からないのに、床下換気扇が良いとか、床下拡散ファンが意味が無いとか、無責任な書き込みが多い現状に憤りが隠せません。
 toyo様に於いては、まだまだ暑く床下・天井裏等潜っていて、死なないのはどうしてと思いながら仕事していらしゃると思いますが、体だけが資本のこの世界で気を付けて仕事されてください。
by toku (2010-09-05 17:43) 

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