SSブログ

これって言い訳かなあ?シロアリと保証について [シロアリ]


 
皆さん、こんにちは。

今日はちょっと恥さらしの内容になると思います。
というのは、実は最近クレームがありました。 
それについて皆さんはどう思われるかお聞きしたいのです。 

そりゃあ、あんたプロとしてあるまじき言い訳だよ、と思われるか。 
それとも、いや~そりゃあもっともな言い分だよ、と思われるか・・・。

状況はこうです。
5年前に駆除した(正確にいうと4年と11ヶ月目)お客様から電話を
いただきました。 玄関脇の和室の畳を変えようと畳屋さんに来て
もらって畳を上げたら床板に蟻道が!畳も2枚喰害されていました。 

当然、お客様はびっくり!
連絡を受けた私は再発したものとばかり思って入念に床下を再調査
しました。 ところが、いくら調べてもシロアリの姿はなく、喰害のあった
畳の下に蟻道さえ見つかりませんでした。 
土台や床板・垂木も全く被害に合っていません。

で、最初に発見した畳屋さんに一匹でもシロアリを見かけなかったか
聞いたら、見なかったということ。 
蟻道もカラカラに乾いていてどうやら「死んだ蟻道」らしいのです。 
「死んだ蟻道」というのは、シロアリが放棄した蟻道のこと。 

こういう蟻道はときどき見かけます。 放棄した理由は他の昆虫に
攻撃された?あるいは蟻道としての機能を果たせなくなった・・・
真相はわかりません。
で、どうも納得がいかずにモヤモヤした気分でいたら・・・思い当たる
ことがありました。

実は、このお宅は駆除2年後にシロアリが再発したことがあるのです。 
そのときも入念に侵入箇所を調べたのですが結局判らずじまい。 
それでもある程度の範囲は特定できたので、とにかくその範囲に
薬剤を徹底注入しました。 
そのときに薬剤がシロアリにヒットしていたと考えると納得がいきます。 

でも、お客様は激昂。 
お客様の立場からすれば当然ですね。 高い駆除代を払ったのにも
関わらず・・・というわけです。 
私がお客様の立場だったらやっぱり怒ったと思います。 

で、今回は「再消毒」と「畳代の弁償」ということでお許しをいただきました。 
畳屋さんも原価同様に協力してくれました。 感謝しています。 
(再消毒はほんとは必要なかったのですが、お客様を安心させる
パフォーマンスです)

で、3年前のクレームのとき、なぜ侵入箇所がわからなかったかというと・・・

  1. 基礎が化粧モルタルだったこと。
  2. 「玄関脇の外壁面の下部がポーチに埋め込まれた玄関のつくり」
    だったからです。 

これはことばだけではわかりずらいですね。

しかし、今後このようなパターンのクレームは増えることはあっても減る
ことはないと思います。 それはこのような「玄関脇の外壁面の下部が
ポーチに埋め込まれた玄関のつくり」はどこにでもふつうに見られる
光景になりつつあるからです。

今回のクレームで思ったのは、それでは一体どこまで保証すれば
いいのだろう?ということでした。 決して逃げてるつもりはありません。 

はっきりいえば今回のクレームは私でなくとも起こったと思います。 
理由は明らかに・・・・

  • 「最初の駆除後に外部からシロアリが再侵入」したからです。 しかも、
  • 化粧モルタル→外壁下部→あるいは玄関ポーチ下部からの侵入・・・

・・・となると、これはもう「造り」から直さないと対処できないのです。 

そこをなんとかするのがプロだろう、という意見もあろうかと思いますが、
それは私にとっては理不尽な要求です。 透視能力あるいは持ち運び
できるレントゲンのような機器でもない限りは・・・。

で、こんな想像をしました。
もし胃ガンで胃を摘出したとする。 しかし再発する可能性は常にある
わけです。 以前、身内が手術したとき、お医者様に聞いたことがあります。
「再発する可能性はありますか?」
「それは・・・抗がん剤を打ってはおきましたが時間が経たないとわからない
のです。 それで5年生存率50%ということです」

で、仮に5年後、ガンが再発したとして、そのとき患者はお医者さんに
こういうでしょうか?
「あんたの手術ミスで再発したんだから保証をしてください!」・・・と。 
明らかなミスで無い限りはそんなこと言いませんよね。
(人体→ガン 家→シロアリ・・・と、例えると問題がわかりやすくなる
ので私はときどきこういう例えでお客様に説明します。)

ところが、シロアリが再発した場合は「責任を取れ!」
これが現実。 再侵入の原因が「造り」であってもです。 
勿論「造り」が原因でない場合は私達のミスです。 
その場合は非難されて当然です。

プロならその「造り」に対して最初から予防処置をとればいいだろう、と
反論されるかもしれません。 それは可能です。 新築時に基礎を作る
前にそのへん一帯の土壌に猛毒を撒けばいいですからね。 
つまり、家を建てる地盤を最初から徹底的にあらゆる虫が住めない
ように「土壌汚染」すればいいだけですもの。

で、最初の駆除で保証書を発行したのは間違いなく私です。 
だから私に責任があります。 

ただ化粧モルタルに限らず外(内)断熱・土間床・床暖房・・・の家が増えて
います。 こうした「造り」はシロアリ駆除する際、困難を極めます。 
これは私だけの問題でなくシロアリ業界全体の抱える問題だと思います。

解決方法は、新築時に私達に図面を見せてさえくれれば「シロアリの
侵入しやすい箇所」を指摘できますからそこを「改善」してくれれば
いいのですが・・・。 
それだけで新築時の予防も不要になるのですが残念です。 
しかし、これが難しい。

だって、シロアリ業者=悪徳っていうイメージが世間では圧倒的ですものね。 
私達の助言など欲しいとは誰も思わないでしょう。 
あ~あっていう気分です。 

「同情するなら金をくれ!」じゃなくて私はこう言いたいです。
「同情するならどうか着工する前に図面を見せて!」・・・と。 

(クソ!クソ!私はやっぱり怒っているのかなあ~?、あっ、お客様に
対してではないですよ。 建築業界とシロアリ業界の双方に対してです。)

それでは皆さん、ごきげんよう。

(下の写真は化粧モルタルの下部を掘り起こした様子です。 
このような外基礎と化粧モルタルの隙間からシロアリに侵入されると
打つ手なし、が現実です。)

 DSCF0802.jpg
 


nice!(7)  コメント(17)  トラックバック(0) 
共通テーマ:住宅

nice! 7

コメント 17

くるにあ

なかなか難しい問題ですね。 家は以前メールで相談差し上げた事があり
ますが、例の会社(=Aとしましょう)と契約を結ぶ際にこんな事を言ってま
した。

「100%の駆除、虫の侵入を防ぐのは不可能です。 それでも5年の保証
書を付けるのは・・・ まぁ、しょうがないんですよね」 実に正直な人(A社
ではなく)だなぁ、と思いました。 

最初に家の図面を見て、それから実際に床下へ潜り、方眼紙に見取り図を
書き込み有効な設置場所、効果が上がりそうな場所を選んで薬剤のカプセ
ル埋め込み。 その際柱に数ミリの穴を開けますが家の強度には問題無い
旨の説明。 施工後、施行箇所の写真を確認します。

もう5年過ぎてますが1年に約1.5回ほど、定期点検に来てくれます。 で
も蟻道も腐朽も見当たらない、で無理なセールスはせずに帰ります。 

今、朝日新聞でシロアリ特集記事 「アメリカカンザイシロアリ」 について
組んでますがそういった外来種には日本のシロアリ業者は対応出来ない
のが現状だそうですね。 

法的にはどうなのか分かりませんが、消費者の不利益にならない程度に
(不法行為の禁止) 「免責事項」 として契約書に記入しておくのがやは
り適切かと思います。 

医者の場合も誓約書、書かされますからねぇ・・・
by くるにあ (2008-07-01 15:46) 

ijimari

☆う~ん。難しい問題ですね~(汗汗
5年が長すぎるのではないのでしょうか・・・?
業界自体をよく知らないので、なんとも申し上げづらいのですが、
ほかの会社も5年保証なんですか?
お客様の立場からすると、ありがたいお話なのですが・・・。
やはり、保証をつけている以上、対処せざるを得ませんよねぇ?
もやっとしても、負けないでください!!!
by ijimari (2008-07-01 17:37) 

toyo

くるにあ 様
「免責事項」 が一番妥当かなあ、と思いますが・・
現実には営業の障害になりそうです。だって「当社は完全責任保証します」と「当社はこういう場合は責任もてません」じゃあ、お客様は前者に頼むでしょうね。それに仕事欲しさで(自信がなくても)前者の営業トークが有利ですものね。なんか愚痴っぽくなってすみません。私なりにベストを尽くすしかないかなあと思っています。nice!&コメントありがとうございます。
by toyo (2008-07-01 19:41) 

toyo

ijimari様
どやされちゃったー!
でも、ありがとうございます。
もやっとしてないで、頑張りまーす。
nice!&コメントありがとうございます。


by toyo (2008-07-01 19:44) 

南雲しのぶ

記事を読んだだけですので理解は薄いですが、駆除後の外部からの侵入であることをキチンと伝えて、対応策を施主さんと話し合うのが一番でしょう。
今回、再施工したところで根本的な改善をしない限り再発することが確実なおであれば尚更です。

施主さんとしても再発してまたtoyoさんに依頼すれば自分がクレーマーと誤解されるのでは、と二の足を踏んでしまうかも知れません。
クレーム対応は心底話し合いお互い腹蔵の無い状態にしておかないと再発すれば大変なことになります。
施主さんとの末永いお付き合いこそtoyoさんの業種には大切なのですから。

まぁ、こんなこと言っている私も完璧なクレーム対応は出来ずに日々悩んでいますが。
by 南雲しのぶ (2008-07-01 19:53) 

toyo

南雲しのぶ 様
愚痴っぽい内容ですみません。

>クレーム対応は心底話し合いお互い腹蔵の無い状態にしておかないと

おっしゃるとうりだと思います。
参考にさせていただきますね。ありがとうございました。
nice!&コメントありがとうございます。

by toyo (2008-07-01 20:43) 

こう

家の構造によって条件を付けてはいかがでしょうか?
それが、世間に浸透すれば、どうしてもNGな構造が理解されるとおもいます。
何を言っているか分からなくなってきました・・・
by こう (2008-07-02 08:54) 

たいせい

 ある程度危険が予測できる物件に対して保証をつけるかどうかについては、営業判断になると思いますのでコメントは差し控えさせていただきますが、商売上でもっとも嫌なのはプロとしての信頼が揺らぐことだと感じました。

 免責事項にするしないは別として、構造上危険性がある箇所を指摘しておいて対処の使用が無い旨を明らかにしておけば、お客様はその箇所のを気にして自ら点検されることで早期発見に繋がるように思いますし、予測通りの箇所からの侵入があった場合には、プロとしての信頼感は上がることはあっても下がることはないように思います。
(言うほど単純なことではないのでしょうね...。)

 何はともあれ保証期間中に、駆除だけでは済まないような被害があったら更に大変なことだったろうと思います。
 遙かに人生経験の少ない私が言うことではないと思いますが、頭を切り換え前向きに!!
by たいせい (2008-07-02 13:02) 

toyo

たいせい 様
ありがとうございます。
そうですね。下手な説明をするとプロとしての力量を疑われますし、それが一番堪えます。実際はクレームは滅多にないことなんですが。
今では最初の駆除の際に気づいた危険性については説明しています。
ただ、お客様の立場としては説明されても困ると思いますが。
結局はお客様と、どこまで裸でコミュニケーションできるかに尽きると思っています。
シロアリ駆除は決して万全ではない場合もあることをこれからも発信してご理解を得たいと思っています。
いろいろご教示いただいてありがとうございました。
nice!&コメントありがとうございます。

by toyo (2008-07-02 14:12) 

toyo

こう 様
条件を付けるのは必要なことだと思います。
特に昨今、駆除しにくい構造の住宅が増えていますからね。
建築家の皆さんはほとんどシロアリには無頓着で設計されていると思います。ほんとの被害者はお客様ですからね。そういった意識をもっと建築関係全般にもつ必要があると思います。
実はクレームって自分のスキルアップのためには絶好の機会でもあるわけですからね。だからクレームに感謝すべきなんだとも思っています。
コメントありがとうございます。
by toyo (2008-07-02 14:19) 

denn

大変ですね~ 同情いたします。

5年保障はあくまで施工した部分ではないのですか?
弁償で話は収まっても 信用は回復していないでしょうからもやもやする気持ちは良くわかります^^;

免責事項うんぬんよりも 施工時の記録
原因の特定、現状、施工範囲、施工状態、等々を写真つきで残しておいた方がいいですよね。
自分の仕事の場合であれば とことん責任の所在は話し合うようにしてますね^^

オイラなら新たな要因が原因のクレームであれば^^
保障ではなく 新規での対応にしたいと思います。

そうしないと5年分の保障を代金に乗せないと商売成り立たないですよ~~^^;

うまく言えませんでしたが!がんばりましょう!!
by denn (2008-07-03 08:53) 

toyo

denn 様
ありがとうございます。
>免責事項うんぬんよりも 施工時の記録
原因の特定、現状、施工範囲、施工状態、等々を写真つきで残しておいた方がいい・・・・
これは勿論、昔から実行していますが・・・たぶんそれ以上にシロアリは手強い・・ということなんでしょうね。または私の技術が足りないのも大きな原因だと思います。反省してがんばります。いろいろ御意見いただいてありがとうございました。nice!&コメントありがとうございます。
by toyo (2008-07-03 14:47) 

マルコメX

わたしなら、「アンタが、チンケな家しか建てられないから何回も被害に合うんじゃ!」と言え・・・ません。
by マルコメX (2008-07-05 08:39) 

toyo

マルコメX 様
おー!
実は私も何度心の中でそう思った・・か・・・いや思っていません。
電信柱が高いのも〒ポストが赤いのも・・みんなみんな私が悪うございました・・・ということでムニャムニャ・・・
nice!&コメントありがとうございます。

by toyo (2008-07-05 20:56) 

くるにあ

免責事項についていろいろと意見が出されているようですが、免責事項
の定義としては 
1)消費者の不利益に当たらない。 
2)販売者の重要事項説明に於いて(消費者が受ける)瑕疵、錯誤が無
い。 という要件が挙げられます。 

逆に言えばこれらを要件として押さえておけば販売者の責任義務も無くな
る、ということです。 これらに違反した場合は不法行為として罰せられま
す。 

お二方から出されている意見、これを見ますと上記2条件に当てはまりま
す。 基本的には消費者保護という観点から出来た法律ですが、販売者が
瑕疵、及び錯誤を与えなければ 「販売者が」 保護を受ける、という事で
す。

簡単に言えば、例えば自動車保険。 「飲酒、その他麻薬、覚せい剤等
を使用していた場合に起こした事故に関して保険会社は免責と致します」 

たいせい様のおっしゃる >「構造上危険性がある箇所を指摘しておいて対
処の使用 (仕様・・?) が無い旨を明らかにしておけば・・・」

或いはdenn様のおっしゃる >「施工時の記録原因の特定、現状、
施工範囲、施工状態、等々を写真つきで残しておいた方がいい・・・」

これらは 「免責事項うんぬん」 では無く 「免責事項」 に当たります。 

コメント欄というのは意見の交換の場、と私は考えております。 こういった
議論は賛成です。 が、しかしながら、他ブログ様の場において行われるべ
き物では無い、と思います。 

toyo様には大変失礼かとは存じますが、この場をお借りいたしまして軽率
な書き込みを致しました事をお詫び申し上げます。 

by くるにあ (2008-07-06 23:45) 

toyo

くるにあ 様
とんでもないです。大変勉強になりました。
いつも基本的な情報を教えていただいて感謝しています。
ほんとにありがとうございます。
by toyo (2008-07-07 00:12) 

くるにあさんへ

>簡単に言えば、例えば自動車保険。 「飲酒、その他麻薬、覚せい剤等を
>使用していた場合に起こした事故に関して保険会社は免責と致します」
遠い昔の話を蒸し返して申し訳ないのですが
上記項目は自動車保険において自らのため(車両保険や人身傷害など)の
特約についてはそうではありますが、対人対物などの賠償に関する保険では
「飲酒、その他麻薬、覚せい剤等」を使用していたために起こした事故であっても
保険金は支払われます。

あしからず。
by くるにあさんへ (2013-05-19 03:19) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。