木の腐れ=腐朽について [腐朽菌]
皆さん、こんにちは。
「湿った場所」にある木っていずれは腐れますよね。
それって「自然現象」だと思いますか? つまり・・・
腐れ=自然現象=だから仕方のないこと・・・っていうふうに
私達はなんとなく思い勝ちではないでしょうか?
で、今日はこの腐れについて一言。
ちょっとだけ、この腐れ=自然現象=だから仕方のないこと
・・・という観念を変えてみて欲しいのです。
(前にも同じようなことを書いた覚えがありますが・・)
写真を見てくださいね。
そのほうが判りやすいと思いますので。
まず最初の一枚・・・
よく見る床下の光景です。 見た目は特別変ったこともないよう
ですね。 木部がちょっと黒っぽいこと以外は・・・
なんとなく束柱が傷んでいる感じはしますが・・・
でも蟻道もないのでシロアリは侵入していないようです・・・・
ところが・・・
ドライバーを差し込むと・・・
あら!簡単に刺さってしまいました。
ついでに、くじって見ると・・・これも簡単に剥がれてしまいます。
まるで発泡スチロールをくじっているような柔らかくて軽い感触が
します。
面白いようにドライバーが刺さってしまいます。
へぇ~! これってもしかして内部が空洞化しているからシロアリ
でもいるのかなあ?
なんて思ってしまいます。 あるいはキクイムシのせいかしら?
で、実はこれが木の腐れ=腐朽のチカラです。
シロアリやキクイムシに負けないくらいに木を破壊してしまう力・・・。
これが腐朽のチカラです。(しつっこいなあ)
これは自然現象でしょうか?
自然現象だからどうにもできないことなんでしょうか?
いえいえ、これも(目には見えませんが)れっきとした「腐朽菌」
という「菌」の仕業です。
つまり、菌という「生き物」の仕業です。
菌はシロアリやキクイムシに比べると、あまりに小さな微生物
なのでどーしても見過ごしてしまいます。
なんか木に黴がついてるなあ~っていう感じですね。
まさかその黴が木を内部から破壊するチカラを持っているなんて
ふつうは思わないですよね。
では、この腐朽菌ってなぜ繁殖するんでしょう?
腐朽菌が繁殖するためにはいくつかの条件が必要です。
酸素・温度・栄養・水分です。
ですから、もしこのうちひとつだけでも阻止できたなら木の腐れを
ストップさせることができます。
川に丸太を浮かべている光景を見たことはありませんか?
アレは水中貯木といいます。
ふつうに考えたら川=水分・・・に丸太を漬けたら腐ってしまうだろ?
って思いますよね。
ところが水中貯木は「木を腐らせないための方法」です。
意外でしょう。
・・・というのは、木を水に漬けることによって木材内部の酸素を
押し出してしまい・・・従って、先ほどの腐朽の条件のひとつを無く
することができるからです。 ちょっと「目からうろこ」じゃないですか。
あと、ときどき発掘調査で地中の木片が発見されたという新聞記事
を読んだことはないですか? 古代の木片なのに、腐らないでしかも
書かれてある文字も読めたなんていう記事。
これも地下水に長く漬かっていた木片が「酸素に触れない」条件
だったからですよね。
床下の場合は結露や湿気で、ある程度以上の水分を木が吸い
込むことによって腐れがはじまります。 これを木材の含水率と
いいます。
で、腐れが始まる木の水分量は決まっています。
ということは・・・床下の木を腐らせないようにするには常に
「腐れが始まらない程度に」木の水分量を下げてあげれば
いいわけですね。 すると腐れは止まります。
だから、この「含水率を下げる」ってことは家の寿命を伸ばすため
にはとてもとても重要な条件になります。
神社とか、お寺の床下がなぜ何百年ももつかというと、この含水率が
とても低いからですよね。
・・・ということで今日は腐れについてのお話でした。
- 腐れは自然現象ではなく菌という生き物の仕業であること。
- そして、それは充分阻止できるんだ、ということ。
- シロアリやキクイムシに負けないくらい腐朽菌ってすごい
チカラを持っているんだということ。
・・・それを皆さんにお伝えしたかったのです。
では、腐れを止めるには具体的にどういう方法があるのでしょうか?
それについては長くなりそうなので次の機会に説明しますね。
今日はこのへんで。
それでは皆さん、ごきげんよう。
(以上の知識は、知っている方からすれば珍しくもないことなので・・・
なんだか当たり前のことをくどくど書いたかなあっていう気もしますが)
☆ドライバーがサクッ!!
どんな感覚なんでしょう!?
菌の力はおそろしいですね!
人間も菌に負けないように気をつけなくては!
by ijimari (2008-06-19 12:11)
腐朽菌もキノコも同じ腐朽菌類なんだからどうせなら 「食用キノコ」 で
も生えてくれればいいのにね。
しかし腐朽菌の分解生成物はしろありんこの誘引物質を含んでいる、と
いう噂が・・・ やっぱりシイタケなんかの菌種を直接打ち込んどきます
か・・・
by くるにあ (2008-06-19 17:30)
腐朽菌恐るべしですね。
怖いけどヤッパリ木の家に住むのが夢です。
by こう (2008-06-19 21:00)
腐朽菌、初めて聞きました またまた勉強になりました
確かにどのお宅でも古い浴室の場合、いつも湿気がある入り口の框、敷居の類いは腐ってぼろぼろと崩れてきますからね
by yanasan (2008-06-19 22:28)
ijimari 様
いつもコメント&nice! ありがとうございます。
感触・・としては・・箸で豆腐を突いた感じに似ているというか・・
腐朽が進んだ木はそんな感じですよ。
金なら歓迎ですが菌は嫌ですね~。
by toyo (2008-06-20 08:07)
くるにあ 様
ウソみたいな話ですが実際に土台にキノコが生えていたシーンを見たことがありますよ。たぶん食用には?・・・ですが。おっしゃるように腐朽菌はキノコの仲間ですから不思議でもないんでしょうね。
誘引物質についてはシロアリの教科書にはそう書かれていますが、う~ん、私はちょっと疑問に思っています。というのは、これも実際には腐朽した木には(意外と)シロアリはいないことの方が多いからです。どうなんでしょうかね?
コメント&nice! ありがとうございます。
by toyo (2008-06-20 08:17)
こう 様
私も木の家が好きです。
上手に建てれば腐朽菌は怖くないですよ。
腐朽菌対策についても今度書きますね。
コメント&nice! ありがとうございます。
by toyo (2008-06-20 08:19)
yanasan 様
コメント&nice! ありがとうございます。
yanasan 様もお仕事で、腐朽した木材と接する機会も多いのではないでしょうか。参考になったら嬉しいです。
コメント&nice! ありがとうございます。
by toyo (2008-06-20 08:24)
しゃくとりむし 様
nice! ありがとうございます。
by toyo (2008-06-20 08:25)
野地板の腐朽なんかはこちらの方なのでしょうね。
杉の荒板ではほとんど起こりませんが、コンパネの野地では良くある話のようです。
(屋根材に断熱性のある瓦ではなく、カラーベストや金属屋根の場合ですが)
by たいせい (2008-06-20 10:29)
たいせい 様
野地板の腐朽した場面は見たことないんですが、コンパネなら腐朽は充分あり得るでしょうね。コンパネって湿気にはとても弱いですからね。
施工性が簡単なのでよくいろんなところで使われているようですが疑問に思います・・・。
コメント&nice! ありがとうございます。
by toyo (2008-06-20 13:01)
わたしにとっては、当たり前のことではなかったので続きが聞きたい、というか読みたいです。
toyoさんの前半のご説明で、「気の含水率が高ければ、酸素が入り込む余地がないので木が腐らない」。
でも、後半では、「古代の神社仏閣の木が腐らないのは、含水率が低いから」と、理解してしまいましたが、間違ってますか。
間違ってないとしたら、相反するこの事実。結局どうしたら、木の腐敗が防げるのか、興味深々デス!
by マルコメX (2008-06-20 21:44)
グラスウールも黒ずんでカビが発生してそうだし、床下の通気がうまくいってないんでしょうかね?恐ろしい。
by umi-_-yas (2008-06-21 12:54)
マルコメX 様
いやー、目からうろこの質問です!
そうですよね。
前半では木から酸素を押し出すためにメチャクチャ含水率を上げて腐朽を防ぐのです・・・なんて言っておいて、後半は含水率を下げることが腐朽を防ぐ決め手です・・・なんて・・・一体どっちなんだ!オイ! ですよね。
正に矛盾そのもの。うっかりして雑な記事を書いてしまいました。
で、これはとても重要な質問ですので次回ちゃんした記事を書きます。
ちょっとだけ待ってくださいね。でもここまで読み込んでいただいて感激しました。nice! なコメントありがとうございます。
by toyo (2008-06-21 18:51)
umi-_-yas 様
おー!
グラスウールのカビに気づかれました!
実はそれについても言及しようと思ったのですが省いてしまいました。
おっしゃるとうり通気が上手くいってないんですね。
で、実はコレが一般的な住宅の床下の現状です。
決してこの家だけが特別、通気が悪い家ではないんですよ。
それを知っていただくのが目的でした。
コメント&nice! ありがとうございます。
by toyo (2008-06-21 18:57)