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ヨコからの湿気をご存知ですか? [結露]



皆さん、こんにちは。

どうもうちは押入れの中が湿気ってねぇ~。 
布団とかモノを入れておくと湿気っぽくなって困るんだ。 
だから「水取りゾウさん」とか除湿剤を入れてあるんだけど、
いまいち効果がないのよ・・・。 

たぶん床下の湿気が原因なんだろうね。 やっぱ、床下を
ベタコンにすれば良かったのかなあ~。 でも今更、工事も
大変だしね~。 これってどうしたらいいのかなあ?

・・・なんて、お客様から相談を受けることがよくあります。

で、皆さんはどう思いますか?  
大工さんに相談したら・・・そんなのビニールシートを床下に
張ればいいよ、ということで実際そういう工事をしたという
お宅をときどき見かけます。 
皆さんも床下をベタコンかあるいはビニールシートでも張れば
解決すると思いますか? きっとそう思うでしょうね。

それは、湿気の元は床下の土壌から上がってくる水分(蒸気圧)
が原因と考えるからですよね。 
だから、床下土壌にビニールシートかコンクリートで蓋をすればいい
・・・と思ってしまいます。 いわば「臭いものには蓋」の発想ですね。

たしかにそうすることで床下土壌から登ってくる水分は遮断できます。 
で、それで万事OKかというとそうは問屋が・・・の結果になることも
多いのです。 

論より証拠、下の写真を見てください。 
これは猛暑の真夏に床下を撮った写真です。 
(実はこの写真は前にも一度紹介しました。)
 
 画像 052.jpg

ビニールシートを張ることで、土壌からの湿気はシートの下に
集中して溜まります。 
だからシートの下はビショビショ。 これは納得できます。  
 画像 053.jpg

下の写真を見てください。何故かシートの上も水浸し状態。 
あちこちに半端じゃない水溜りが見られます。 
 画像 057.jpg
ビニールシートが破けていたのでしょうか? 
それとも、通気口から誰かがホースで水を撒いた? 
そうではありません。 
では、この水分は一体どこから来たのでしょうか? 

そう、これが「横からの湿気」=結露 です。
実は、エラソーなこと言っていますが、私もこの正体が結露で
あることに長い間気づきませんでした。 夏に床下に潜ると
どこの家も凄い湿気。 
これって、きっとよっぽど土地が湿地なんだろうなあ
・・と思っていました。

簡単に言うと、たとえばビールジョッキに冷たいビールを注ぐ
とジョッキの外側がビショビショに濡れますよね。 
この水分はジョッキの周りの空気が冷やされたから結露する
わけですね。

それとまったく同じことが床下で起こっています。
通気口から床下に流れ込んだ空気が床下で冷やされて結露する
わけです。 つまり「ヨコからの湿気」です。

下図は外気30℃の空気が床下で27、2度に冷やされると結露
が始まるという説明です。

 image3.gif

結露の凄まじさを物語るもうひとつのお話。 

動燃の低レベル放射性廃棄物の「地下貯蔵庫」の話はご存知の
方もおられるかもしれませんが・・・。
 
はじめ地下貯蔵庫に水が50センチも溜まっていたのでビックリ! 
これはきっとどこかの隙間から地下水が流れ込んだのに違いない
ということで防水工事をしたそうです。 

そしたら今度は水位が4倍の2メートルに増えて廃棄物のドラム缶が
プカプカ浮いてしまった。 ひび割れからの地下水の流入が原因
じゃないとするとさてこの水は一体どこから?

実はこの地下室に溜まった水は空気中の湿気が冷たい壁や天井に
触れて結露したものでした。 
ドアの隙間など空気の入り口が水の入り口だったという話。 
実際に起こった結露の凄まじさを物語る話です。 結露ってとんでも
ないチカラをもっていることを知っていただきたいのです。

で、最近の高気密高断熱の住宅って、この地下貯蔵庫化?
してるって思いませんか? 床下土壌が土ならまだこの結露をある
程度は吸い取ってくれます。 
しかし、ビニールシートやベタコンは吸い取ることができるでしょうか? 

それに「コンクリートは見た目は乾いていてももともと水分をたっぷり
含んでいます。 含んでいるからこそ形を成していられる」のです。 
これは日本一の宮大工といわれた故西岡棟梁の言葉。 
実際、含水計で図ればそれは一目瞭然です。

もし床下の湿気を減らしたいとしたら私は床下土壌面をビニール
シートやベタコンにするよりも発泡スチロールを敷き詰めたほうが
もっと効果があると思っています。 冷たい土壌温度を緩和する
からです。 
しかし、それでは結露は防げても今度はシロアリを呼び込んで
しまいそうだし・・・痛し痒しです。

今日の写真のお客様もあまりに湿気が強いので大工さんに
ビニールシートを張ってもらったら結果は最悪になったとのこと。 
ベタコンについても同じことが起こっても不思議ではありませんね。 

「臭いものには蓋」式の発想では無理だということが伝わったかしら? 
・・・ということで退屈な説明になってしまったようです。

とにかく床下土壌から登ってくる水分(蒸気圧)だけが床下の
湿気の原因ではないこと。 
「ヨコからの湿気=結露」も凄いんだということをお知らせした
かったのです。 
この点を考えないで防湿シートやベタコンをしても無駄な出費に
なりかねないので充分注意してくださいね。

それでは皆さん、ごきげんよう。


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ijimari

☆ここ最近のお話を聞き、まとめますと、
床下は全部水にして、居室には換気扇をたっぷり・・・。
が一番いいような・・・(笑)
新潟県は床下に冬の雪を入れて、空気を家中に循環させて
エアコンの代わりにするという住宅を3年前くらいにニュースで
見たことがありますけど、そこはどうなんですかね~?

by ijimari (2008-07-28 06:19) 

toyo

ijimari 様
>床下は全部水にして、居室には換気扇をたっぷり・・・。
が一番いいような・・・(笑)

そういう発想が(実現できるにしろ、できないにしろ)ブレイクスルーになるんじゃないのかなあ。とっても面白い発想です。

>エアコンの代わりにするという

雪を保管して夏に利用する氷室(ひむろ)って言うのがありますよね。
昔の人はエライ!って思ってしまいます。
nice!&コメントいつもありがとうございます。

by toyo (2008-07-28 08:00) 

アキラ

そーですね~、もうかれこれ15年ほど前になるでしょうか?
私の会社で、汚水処理場を建設したことがあります。
地下を15m以上も掘りこんで、水槽がいくつも並んだ部屋を作りました。
ゼネコンの指示で、内外共共に現住に防水処理をして・・・
ところが数日間で、考えられない程の水が溜まるのです。
専門家に調べて貰ったら・・・それは結露水でした。

それ以来、私の会社では床下の防湿シートは張らないことにしています。
防湿シートなしで床下換気を考えて基礎を作れば、ベタコンでも床下は乾燥していますよ^^
耐震上、ベタコンの方が布基礎よりは有利ですからね^^
by アキラ (2008-07-28 12:12) 

toyo

アキラ 様
そうですよね。
結局は布基礎であろうとベタコンであろうと、おっしゃるように「床下換気を考えて基礎を作ること」が最大のポイントだと思います。
実は、次回に私もそれを言おうとしたら先にいわれちゃった。
的確なコメント、ありがとうございました。

by toyo (2008-07-28 12:44) 

kappa

床面の裏側で結露するということは、断熱材は入っていないのですね。
何だか自分の家の床下も心配になってきました。

by kappa (2008-07-28 22:06) 

toyo

一真様
denn様
いつもnice! ありがとうございます。


by toyo (2008-07-28 23:55) 

toyo

kappa様
結露の問題は奥が深いので・・・ほんの一部を書いてみただけで心配させるつもりは無かったのですが・・・。でも機会があったら床下を覗いてみると思わぬ発見があるかもしれません。
nice!&コメントありがとうございます。




by toyo (2008-07-29 00:00) 

たいせい

 うちの業界でも長く雨漏りだと考えられていた水が、よく考えると結露だという話がよく起こっています。
 普段雨水に晒されている屋根の世界の方が、結露に関する認識は低いかもしれません。
by たいせい (2008-07-29 12:45) 

toyo

たいせい 様
そういえば以前うちの客様が・・・冬に雪が屋根(平屋)に積もると決まって天井が変色?して困っていましたが・・・
私はもしかして部屋が暖かくて、屋根裏が冷たいので結露が屋根裏に起こっているんじゃあないかな、と思いましたがどうなんでしょうね?
近年は雪が少ないので変色しなくなったそうです。
nice!&コメントありがとうございます。

by toyo (2008-07-29 12:57) 

Maki

nice&コメントありがとうございました(^-^)

床下も結露してるんですね(^^;)
ウチの床下もすごいことになっていそう・・・

by Maki (2008-07-29 19:59) 

toyo

Maki 様
こちらこそ、可愛いにゃんこちゃんの写真ステキでした。
娘さんにまた撮ったら見せてね、といってくださいね。

ちなみにわが家のネコ(ミーコといいます)の写真は下記で・・・
お暇なときでも見てやってくださいね。Maki様のネコちゃんと同じようなポーズで寝ているので 思わず笑ってしまいました。
http://siroari.blog.so-net.ne.jp/2008-07-17

nice!&コメントありがとうございます。

by toyo (2008-07-30 09:09) 

たいせい

再度のコメントで失礼いたします。

 雪国で雨漏りでは無い屋根に原因のある天井のシミというと、次の二つが考えられると思います。
 ① toyoさんの仰るように野地面で室内の湿潤な空気が冷却される事による結露。
 ② 屋内の熱で溶かされた雪が、軒先で再度凍ります。軒先にダムが出来たような形となり屋根の屋内側に水が溜まり、それがルーフィングの隙間や堅結用の釘で破れたルーフィングの穴から室内に侵入(「すが漏れ」と言われる雪国特有の現象です。)

 ①にかんしては、瓦堅結用の釘が野地板を貫通している場合には、釘が熱架橋として働く場合も多く、野地板を見ると釘から水が漏れている様にも見え、最近まで結露とは思われていなかった場合が多いです。
 ②に関しては、ルーフィングに釘穴シール効果の高い物をつかったり、ルーフィングの重なりを大きくして対策をとることが最近では行われています。

 ただその家の立地にも依りますが新潟県の気候から考えると、通常雪は瓦の上のみに存在していると想定され(山形まで行くと粉雪で瓦裏まで雪が大量に入り、ルーフィングの上にも雪が積もっているそうです。)、瓦裏の空気が断熱層になっていると思いますので、一般的には②の方が考えやすいように思いますが、屋根形状などによっても左右され(谷には雪が溜まり、また銅板の上に直接雪が乗ります)一概には何とも言えません。
 文章では表現が難しいので説明を省きますが、山形の場合はやはりその気候風土に合わせた独自の施工が存在しています。

 こんな話を聞いていると、職人の経験と智恵は素晴らしいと勉強させられるばかりです。
by たいせい (2008-07-30 09:09) 

toyo

たいせい 様

私も②のような気がしてきました。
丁寧な解説、ありがとうございました。
これでまた利巧?になった気分です。
ほんとにありがとうございます。
by toyo (2008-07-30 09:13) 

mogi

よく床下に発砲スチロール敷詰と図面に書くんですが
金額調整で止めてしまうこともあるんですよね
気をつけないといけませんね(焦)
by mogi (2008-07-30 22:29) 

南雲しのぶ

湿度管理って大変ですよね。
ベタコンにすれば良いって訳でもないんですけどね。
ましてコンクリは管理が大変だって言うのに見た目にみんな騙されちゃうんでしょう。
最近は何でも覆い隠したいっていのうもあるかも知れませんが。

by 南雲しのぶ (2008-07-31 21:10) 

toyo

mogi 様
nice!&コメントありがとうございます。
もうすぐ独立ですね。頑張ってくださいね。
by toyo (2008-08-01 23:38) 

toyo

南雲 さん
同感です。コンクリートってそんなにいいものじゃないのにね。
というか適材適所なんでしょうが。
nice!&コメントありがとうございます。

by toyo (2008-08-01 23:41) 

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