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シロアリVSベタ基礎・その3「あなたならどーする?」 [シロアリとコンクリート]


みなさん、こんにちは。

シロアリに関する地味なブログですが、本年もどうぞよろしく
お願いします。
で、さっそく昨年の続き・・「シロアリVSベタ基礎・その3」という
ことではじめます。

ベタ基礎というと一般的なイメージでは・・
床下をコンクリートで覆ってしまえば・・・

  1. シロアリに強い
  2. 床下からの湿気にも強い

・・・と思い勝ちではないでしょうか。
ところが、「シロアリ屋の立場から」いうと必ずしもそうでないこと。
むしろ逆に・・・

  1. コンクリートの下はシロアリの温床になりやすい
  2. コンクリートは水分を集めて実は含水率がとても高い
  3. 羽アリが出ると駆除がとても厄介

・・・・ということなどをお伝えしました。

で、今日は
「建築家の立場から」と「お客様の立場から」を一緒に
して架空の対話形式にしたほうがわかりやすいかな、と思うので
題して「あなたならどーする?」としてみました。

もし、皆さんが家を建てようとしている人だったら、こんな場合は
「どーする」かしら?

  • お客様
    「家を建てようと計画中ですが、どうも地盤がよくないようで・・」

  • 建築家
    「まず地盤調査をしてから、地盤改良工事をすることになります」

  • お客様
    「地盤改良ってどんな方法があるんですか?」

  • 建築家
    「ふつうは①表層改良工法が一般的です。地盤の軟弱さによって
    柱状改良工法③小口径鋼管杭工法などがあります」
    (下図参照)

  • お客様
    「費用はやっぱり①→③の順に高くなりますよね?」

  • 建築家
    「①の表層改良工法以外は杭を打ち込みますからね」

  • お客様
    「でも、それでちゃんと出来るんでしたら安いものですよね。
    で当然、床下はベタコンですよね?ベタコンなら湿気やシロアリも
    大丈夫ですよね?」

  • 建築家
    「まあふつうはそうですが、問題がないわけでも・・・」

  • お客様
    「というと?」

  • 建築家
    「先の話ですが、解体したときに大きな廃棄物になっちゃい
    ますよね。コンクリートの杭などは撤去するのが難しいですから・・
    まあ事実上埋めっぱなしになっちゃうかな」

  • お客様
    「なるほど、コンクリートですから家は解体できても床下の
    コンクリートまでは厄介ですよね。 地球環境には悪いかあ・・なるほど。
    コンクリートが埋まったままだと土地の評価額にも影響するかもね。
    う~ん、別の方法はないですか?」

  • 建築家
    「要は地盤沈下がしっかりと防げればいいですからね。
    杭に鋼管や松を使う方法があります。これなら抜くことも可能ですし、
    いずれは錆びたり腐ったりして自然に還ります」

  • お客様
    「そういえば、丸ビルも松の杭を使っていたとニュースでみたことあり
    ますがアレですね?地下に木の杭を打ち込んでも酸素が断たれるんで
    腐らないそうですね」

  • 建築家
    「そうです。ただこれにも問題が・・・」

  • お客様
    「また問題ですか、今度はどんな?」

  • 建築家
    「鋼管杭はとっても費用がかかるんです」

  • お客様
    「そーなんですか。松杭のほうはどうですか?」
  • 建築家
    「松杭の場合は鋼管杭より安いですが、今度は保証会社の
    保証が付かないんですよ。さっきの①~③は保証がつきますが」

  • お客様
    「えーっ!そーなんですか。だって松杭のほうが地球に
    優しいのにへンですね」

  • 建築家
    「改良しても数値で表せないので現行の法律では無理なんですよ」

  • お客様
    「絶対ヘンですよ。だって丸ビルで強度は証明されてるんじゃない
    ですか?」

  • 建築家
    「でも法律ではそうなっているんです」

  • お客様
    「まいったなあ、やっぱり①②③から選ぶしかないのか。
    どーしようかなあ?」

  • 建築家
    「個人的には松の杭をお勧めしたいんですけどね。
    ただ保証を考えるとお勧めしていいものか・・・」

  • お客様
    「予算が充分ならほんとは鋼管杭でお願いしたいけど、
    それじゃあキツいなあ~。どーしようかなあ・・・」

さあどうしよう?

子どもたちには地球環境が大事だぞ、なんて言っているけど
地盤改良にそんな問題が隠れてるなんて知らなかった。
日本列島が巨大なベタコン列島になっちゃうのも嫌だしね。

最近は①の表層改良工法がふつうになってきてるからね。
それで安心と思っていたけど、次世代のことを考えたらねえ。
日本中の団地がコンクリートの地盤だらけになっちゃうな。
コンクリートは腐らないから余計厄介な産業廃棄物になっちゃうな。

でも、この建築家の人は珍しいくらい正直だなあ。
別の工務店の人はこんな話、全然しなかったよね。黙ってりゃ
素人なんかわからないのにホンネを教えてくれたんだものね。 

私がお客様の立場ならどっちにするだろう?
う~ん、頭痛いなあ~。

さあ、皆さんならどうします?

保証を取るか、地球環境を取るか。


<参考>

①表層改良工法
一般的に1.0m~2.0m程度の柔らかい層に採用する。現場の土を
掘削してセメント系固化剤と攪拌して地盤の支持力を上げる工法です。


il-hyousou.jpg

 

 



②柱状改良工法
一般的に 6.0m程度までの柔らかい層に採用する。
セメントで柱状の柱を作り地盤の支持力を上げる工法です。

il-koguchi.jpg 




 





③小口径鋼管杭工法
一般的に20.0m程度までの柔らかい層に採用する。
小口径鋼管杭を使用して支持力を作り建物の安定を図る工法です。

il-tyujyo.jpg 

 

 

 

 

 

 



・・・以上は、私なりに地盤改良の問題点を調べたり地元の
大工さんにお聞きしたことをまとめてみた結果です。

問題点を正直に教えてくれる大工さんもいれば・・・・
んなこといわれてもなあ~と言う大工さんもいました。
あるいは地盤改良を業者任せにして問題そのものに無頓着な
方も・・。

私はシロアリ屋ですから、工務店の皆さんからすれば、
きっともっと「抜けている」点や「見過ごしている」点もあるかも
しれません。そのときはどうぞご容赦くださいね。
で、教えていただければ勉強になります。

ほんとはシロアリ屋としては「健康の面から」・・建築医学とか
磁場の面から・・・もっと書きたいことがあったんですがそれは
またの機会にします。

最後までお読みいただいてありがとうございました。

これから家を建てる方の参考になったら幸いです。
(かえって悩ませちゃったかしら?)


今日のジョークです。


 <ジョーク

始めての海外旅行で,得意の英会話を今こそ役立てようと
張り切っていた日本人観光客。


しかし
,ニューヨークの空港に降り立った途端,彼は,ひどい
眩暈がして倒れてしまったのである。


通報を受けて
,さっそく医師が駆けつけ,その日本人を抱え
起こした。

 
"How are you?"

日本人は
,かすれる声で答えた。
 
"I'm fine thank you, and you?"




それでは皆さん、ごきげんよう。





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コメント 18

Yuki

思わず、覚えた英会話の受け答えをそのまま言ったんですね!
わかるような気がします~。
シロアリは、鉄筋コンクリートの家でも油断できないのですか・・・?
by Yuki (2009-01-06 20:27) 

南雲しのぶ

地盤改良って難しいですよね。
専門家(建築士とか)に「必要です」って言われると断りづらくなったり。
どのような地盤にどのような方法が一番良いのか素人にはわからないですからね。

ウチの近所で新築しているのですが、支持層つきぬけてるんじゃないかって思うくらい深く杭打ちしていて、「マンションじゃないんだから、そこまでしなくても」って思っちゃいましたよ。
杭一本打つのだって相当かかるのに。
by 南雲しのぶ (2009-01-06 20:52) 

yanasan

やはり自然の物を有効に使って欲しいと思います。
保証会社も何時まで、何処まで保証できるかですよね、きっと逃げ道も作ってあるでしょうから。
by yanasan (2009-01-06 23:19) 

ジョージ

家がその役割を終えたとき、すべてが土に還るのが理想ですよね。というわけで、うちは鋼管杭にしました。費用も表層改良とそんなに変わらなかったですよ。やっぱり同じこと考えている方がいらっしゃるんですねえ。

その他の建材も、できる限りリサイクル、リユース可能なもの、焼却可能なものだけを使ってもらっています。とはいっても、例外もたくさんありますが。中でもベタ基礎は、大きさも重さも最大の例外かもしれません。数十年のうちに、経済的なリサイクルが可能になるとよいのですが。
by ジョージ (2009-01-07 00:49) 

toyo

Yuki 様

Yuki 様は海外によく行かれてるようですからきっと英語得意でしょう。
同じような経験って・・ない?でしょ?・・たぶん。あはは、

鉄筋コンクリートの家なら大丈夫だと思います。
ただ「木を使っている部分→床板とか」だけがは食べられることはありますよ。いつもお読みいただいてありがとうございます。nice! お礼申し上げます。
by toyo (2009-01-07 09:53) 

toyo

南雲しのぶ さん

退屈な内容なのにお読みいただいて感謝します。
私も地盤改良が自然破壊につながるなんて意識してませんでした。
調べたら地盤改良って必ずしもいいことだけじゃないんだと思いました。
おっしゃるように素人は専門家のいいなりになってしまいやすいですよね。
専門家の意見ももっとお聞きしたいです。
nice! &コメントありがとうございます。
by toyo (2009-01-07 09:59) 

toyo

yanasan 様

~ですよねえ。そう思います。
なんか納得できないような話を聞いたこともあります。
地盤調査の結果・・ほんとは改良の必要がなくても・・専門家に必要だって言われてしまうと素人はわかりませんものね。
(地盤改良には100万円くらいはかかるそうですから業者としては・・売り上げのために・・必要じゃなくても必要だと言う場合もあるんじゃないかな?という気がします。勘ぐり過ぎかしら?)
nice! &コメントありがとうございます。
by toyo (2009-01-07 10:09) 

toyo

ジョージ 様

>うちは鋼管杭にしました。費用も表層改良とそんなに変わらなかったですよ

そうなんですか!だったら鋼管杭にして良かったですね。
私、鋼管杭ってよっぽど高いと思ってました。いやー勉強になりました。

おっしゃるように「家がその役割を終えたとき、すべてが土に還るのが理想ですよね」まったく同感です!ジョージ 様のように考えてくれる人がもっともっと増えるといいですね。

(コンクリートもリサイクルは可能らしいですが、おっしゃるように「経済的」にはどうなんでしょうね?)

私にとっては貴重な情報です。今後ともジョージ 様の意見・体験をお聞きしたいです。
いつもいろいろ教えていただいて、ほんとにありがとうございます!
by toyo (2009-01-07 10:22) 

toyo

かなりあ猫様

nice! いつもありがとうございます。



by toyo (2009-01-07 10:23) 

たいせい

 田沼意次が推進したと言われる(?)江戸時代の印旛沼開拓では、松杭が使われ今でもそのままで大丈夫だと聞いた記憶があります。
 礎石の上に柱を乗せた石端建てなども、現在では確認申請が降りないようですが、現実に築百数十年の建物が地震にも耐え残っているのに何かおかしいです。
 ベアリングのボールのデカイのを使った免震工法が認められるならば、当然認められなければおかしいのにいったいどうなっているのでしょう?

PS.
 先日の雨漏りとシロアリについての記事に関連して面白い記事を見つけたので紹介しておきます。

日経のホームページ(写真もある丁寧な現場レポート)
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20080919/526356/

この方の記事で知りました。(木造伝統構法・在来構法にこだわりを持った設計士です)
築8年で構造がボロボロ
http://syotaku.cocolog-nifty.com/jyujyo_nikki/2009/01/8-c6ee.html

by たいせい (2009-01-07 14:17) 

toyo

たいせい 様

いつもお読みくださってありがとうございます。
紹介いただいた記事拝見しました。いつもいろいろ教えていただいて、ほんとにありがとうございます。私なりにとても参考になります。
ありがとうございました。

「松の杭」と「礎石の上に柱を乗せた石端建て」については私も同じ思いです。認めるべきだと思います。早くそうなって欲しいですね。
nice! &コメントいつもありがとうございます。
心よりお礼申し上げます。

by toyo (2009-01-07 22:44) 

kappa

松の杭はシロアリに喰われてダメになりますってオチだと思っていたら、そうではなかったのですね。ちょっと考えすぎでしたか・・・
地盤改良の方法は何が良いのか分かりませんが、家が傾いたら元も子もありませんから、確実に地盤沈下しない方法を選びたいです。
by kappa (2009-01-07 23:22) 

toyo

kappa 様

たまに、何年も前に家屋を解体した現場で、基礎のコンクリートだけはそのまま残っていて草が生えてる荒地・・・なんていう土地を見たことはないでしょうか?コンクリートの完全撤去って相当費用がかかるので結局家屋だけ解体したんだと思いますが・・・。
今の①~③の地盤改良の方法ですと、将来そういう土地がとてもたくさん増えてくると思います。できれば家屋の解体時に完全に更地に戻すような地盤改良であってほしいと思います。
すると「松杭」か「礎石の上に柱を乗せた石端建て」がもっとも土地に負荷をかけないのでいいんじゃないかな、と思うんですがどうでしょう?
まあ、そんな将来のことまで考えることないよっていう意見も当然あると思います。だっていくらいい方法でも費用を考えると難しい問題ですよね。
う~ん、費用を考えると・・私も答えはうかつに出せないなあと思っています。
nice! &コメントありがとうございます。
by toyo (2009-01-08 02:40) 

toyo

たーチャン様

お読みいただいてありがとうございます。
by toyo (2009-01-09 00:00) 

toyo

ijimari様

読んでいただいてありがとうございます。
nice! もありがとね。
by toyo (2009-01-15 01:57) 

toyo

kissk様
nice! ありがとうございます。
by toyo (2009-01-26 02:20) 

読者

松はシロアリの好物ですけど、食べられないのでしょうか?
地中にあるから木材腐朽菌に対しては強いのでしょうけど、
シロアリには無防備な気がします。
by 読者 (2009-09-20 03:09) 

toyo

読者 様

おはようございます。

>松はシロアリの好物ですけど、食べられないのでしょうか?

とても重要な指摘だと思います。実は私もこの業界に入った時
「松はシロアリの好物」と教わりました。で、そう信じていましたが
実際は必ずしもそうではないことが経験からわかりました。
いきなり答えを言えば・・

シロアリは「食べる樹種を選びません」
これ重要です。

シロアリはたんに行き当たりばったりに「とにかくなんでも齧ってみて」
そして「やわらかいものから優先して」食べます。

たとえば昔、NHKの「ためしてガッテン」という番組でこんな実験を
放映したのを見たことがあります。

それは、ある箱のなかに「松の木の木片」「杉の木片」「発砲スチロール」
の3個を置いて、シロアリを放したらどれを真っ先に食うか?
という実験でした。私は当然、松を一番に食うだろうなあ、と予測しましたが
結果は・・一番先に食ったのは「発砲スチロール」で、2番目が「杉の木片」。松はなんと一番最後でした。

で、その番組ではシロアリは「発砲スチロールが大好き」ということで
結論づけていましたが、実はこれは間違いです。というのは・・・
「発砲スチロールが大好き」だから最初に食ったのではなく、
「発砲スチロールがたんに柔らかくて齧りやすかった」から最初に食った
だけなのです。

つまり「好き嫌い」で選んだのではなく「柔らかい素材」の順に齧っただけ
なのです。これが真相です。

たとえば、その箱の中にもし「松だけ置けば」シロアリは松を食べます。
もし、(シロアリが嫌うと言われている)ヒノキの木片を置けばシロアリは
ヒノキも平気で食べますよ。これは経験から断定できます。

・・・ということで、説明が長くなりましたが、これは重要なことなので
あえて長い説明をさせていただきました。シロアリが松を特に好む、
というのは流説です。シロアリの習性や実態についてはこのような
流説がいつのまにか「常識になって」しまったことがとても多いのです。
一般の方にもこういう事実をもっと知ってほしいと思います。
シロアリ業界ももっと啓蒙運動すべきだと私は思っています。

ともあれ重要な御指摘をいただいて感謝しています。
ほんとにありがとうございました。




by toyo (2009-09-20 08:31) 

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