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気になること。まとめ [腐朽菌]


みなさん、こんにちは。

前回の続きです。
結局のところ、強い湿気のある床下の湿気対策には
どんな方法が有効なのか?についてまとめてみましょう。

まず、床下の強い湿気に対しては床下換気扇も調湿剤
も効果に限界があること。それらはそれなりに有効とは
思いますが、腐朽菌が夥しく繁殖しているような床下では
「手遅れ」だと思います。

手遅れというのは、それらは「腐朽菌」に対してはほとんど
無力というのが理由です。腐朽菌は胞子で拡大するので
この胞子を取り殺すことができないとストップできません。

(写真は腐朽菌の繁殖した様子です)
画像A 012.jpg

で、次に防湿シート、防湿コンクリートならどうか?
確かに、土壌から蒸発してくる水分(蒸気圧)に対しては、
完全に押さえ込めるのでかなり有効です。

でも、防湿シート、防湿コンクリートの下に滞留した水分
がシロアリに生息しやすい場を提供することになって被害
が一挙に拡大するリスクがあります。また「ヨコからの湿気」
で起こる結露まで止めることは無理です。

画像A 006.jpg

で、私の行き着いた結論は・・
とにかく、下からの湿気は「抑えこむ」よりは「吐き出した」
ほうがいい・・と思うようになりました。

結露については「外気の温度・湿度」と「床下の温度・湿度」
を同じにすれば発生しないはずです。つまり、床下を「外」と
同じ環境にすればいい。

すると、なんのことはない。結局は、昔の吹き抜けの床下が
ベストということになりました。

とは言っても、昔の吹き抜けでは基準法の耐震強度に抵触
するようですから極力、基礎構造でも昔の床下に近い状態
にする方法はないか?

そこで初めて私的には敷炭ということになります、というか、
なりました。

(糸状菌によって防虫紙まで分解されています)
画像A 007.jpg

調湿剤と敷炭は似たようなものじゃないの?どっちも湿気を
「吸って、吐き出す」のは同じでしょ・・と思われるかもしれな
いですね。たしかに「吸って、吐く」ということだけを考えれば、
むしろ調湿剤のほうが力は強いかもしれません。

でも、調湿剤と敷炭の決定的な違いがあります。
それは、調湿剤は腐朽菌を殺せないけど炭なら殺せること。
炭の孔に住み着いた各種の自然菌が腐朽菌を取り殺して
根絶させることができます。

この事実は意外と知られていないようですが、もっと知られ
てもいいことだと思っています。それによって住宅の寿命
が(厳密には土台とか構造材の寿命)通常の2~3倍には
長持ちします。たしか、船瀬俊介氏は、その著書で大学で
炭学科を新設して炭の力を広く啓蒙すべき・・と言っていま
すが同感です。

もうひとつは、住宅のイヤシロチ化(地場調整機能)がある
こと。これは個人的には大きなメリットだと思っています。
でも、まだイヤシロチについては広く認知されているとは言
い難いので誤解されそうですから止めましょう。

画像A 008.jpg

実際、私の経験でも敷炭で土台に付着した腐朽菌が徐々
に減少していくのは確認しました。また、カビ臭は敷炭の
施工が終わった直後に消えてしまうのもお客様に確認して
もらっています。

というわけで、私は強い湿気対策としては昔の床下に戻す
こと。具体的には、通気口を増やして床下の空気の流通を
よくすること。もし、予算が許すなら敷炭をお薦めしています。

考えてみれば敷炭って、なにも最近の方法じゃないんです
よね。昔からありました。法隆寺や京都御所などたくさんの
昔のお寺の土中には敷炭がされていたそうです。記録では
室町時代の貴族の雪隠が最初とか。

(こうなると換気扇も調湿剤も手遅れです)
画像A 009.jpg

結局のところ、日本の気候風土を無視した新工法はいずれ
は弊害が起こってくると思っています。
個人的には高気密・高断熱よりは中機密・高断熱が健康の
ためにも家のためにもいいと思っています。

でもねぇ、昨今の若い人は、家はそこそこ持てばいい。
100年住宅なんて必要ないよ。そこそこ見栄えが良くて合理
的で、そこそこの値段であれば充分と考えている人が多い
ようです。だから腕の良い大工さんはお呼びじゃない時代に
なったみたいですね。

昨今は住宅は車と同じ高耐久消費財・・というか、そんな気
がします。愚痴っぽくなりましたが、これも諸行無常というか、
すべては変化する・・と考えれば仕方ないのかなあ。
私のほうが柔軟性のない古い考えに固執・執着しているの
かもしれません。

画像A 011.jpg

このへんはどう考えるたらいいのか、皆さんの考えを教えて
欲しいです。あんたのはただの古い懐古趣味だよ、って言わ
れても仕方ない気もしないでもない。悩ましいなあ・・ぶつぶつ。

退屈な文に最後までお付き合いいただいて感謝します。
少しでも参考になりましたら幸いです。
どうか皆様にいいことがありますように。
ありがとうございました。



ジョーク

ブロンド娘は大急ぎで家の中から出てきて郵便受けへ向かい、
中を見て、郵便受けのふたを閉め、家の中へ戻って行った。 
数分後、彼女は再び郵便物のチェックをするが同じ動作の繰り返し。

ブロンド娘がこれを繰り返すこと5回。 
様子を眺めていたお隣さんが声をかける;
「郵便受けを覗きに何回も出て来るってことは、きっと大事な
  手紙を待っているんだろうな。」

ブロンド娘;
「そうじゃないのよ。今コンピュータやっているんだけど、
  しつこくメッセージが出てくるの、メールが来ているって。」

 


 


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コメント 4

心如

 いま現在、私は集合住宅に住んでいますが、実家は築60年近い木造住宅です。しかし、母が老人ホームに入居してからは誰も住んでいません。家は人が住んでいないと傷みが早いですね。、、
 せっかく立派な家を建てても誰も継ぐ者がいないのなら、そこそこの予算で、そこそこの耐久性があれば良いと考えるのは仕方がないことかも知れません。
 最近は高齢者専用の賃貸住宅が流行っているようです。歳をとったら、家を建て替えるよりも、そういう場所に入居するほうが便利なのかも知れませんが。、、
by 心如 (2014-12-23 22:13) 

sugar

基礎断熱の家が多い(我が家もですが)ですが、床下を外と考える場合、やはり床下断熱がいいんでしょうかね
by sugar (2014-12-25 19:11) 

toyo

心如様

コメント、ありがとうございます。
家は人が棲んでいないと傷みが早いのは同感です。
それに跡継ぎがいないのであればたしかに100年住宅なんて必要ないですね。昔みたいな大家族がなくなっていくからそれも必然なのかしら・・とか思います。おっしゃるとおりだと思います。
しかし、それによって在来工法・伝統方法の優れた技術が消えてゆくのは寂しいですね。寂しい・・と言ってもこれも時代の趨勢なんだと思います。これは建築だけでなく町工場などにも同様のことが言えるんでしょうね、きっと。
いつもお付き合いいただいて感謝しています。
どうか心如様にいいことがありますように。


by toyo (2014-12-26 12:39) 

toyo

sugar 様

個人的にはそう思っていますが、どうなんでしょうね。
他のいろんな意見も聞いてみたいです。
まあ、私は勝手なことを書いていますが商売となるとそうも言ってられないこともあると思うし・・私が工務店なら基礎断熱っていいですよ・・なんて言っているかもしれません(笑)
いつもお付き合いいただいて感謝しています。
どうかsugar様にもいいことがありますように。
by toyo (2014-12-26 12:43) 

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