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敷炭・・吸って、吐いて、の繰り返し。 [炭]

みなさん、こんにちは。

敷炭の調湿機能の疑問について書いてみます。

床下に炭を敷き詰めて、湿気を炭が吸うであろうことは
わかるけど、じゃあ、いずれ炭が湿気の水分で満タン
(飽和状態)になったらどうなるの?

水分を吸って飽和状態になった炭を定期的に取り出して
天日干しでもしないとダメでしょ?・・と昔、ときどき
質問されました。もっともな疑問だと思います。

答えは・・
いえ、取り出す必要はないですよ。天日干しの必要はあり
ません。敷きっぱなしでいいです。それでも効果は半永久
ですよ。

なぜ、敷きっぱなしでも効果は落ちないと言えるんだよ?
そんなの炭を売りたいだけの都合のいいウソだろ?
納得できないな。

えーと、それはですね。
四季の変化が日本はありますね。例えば日本の夏は猛暑
で空気がベトベトしますよね。これは空気の中の水分量
が多いからですよね。(温帯モンスーン気候)

ついでに・・真夏の床下と真冬の床下とではどっちが
湿気っていると思いますか?
多くの人は、真夏の床下は暑いからきっと乾いているで
しょ?!冬場は床下もジメジメしているんじゃない?
・・と答えます。

でも、事実は真逆です。真夏の床下はすごくジメジメして
いる場合が多いんです。びっくりするほど濡れている場合
がほとんどです。

これは実際に真夏に床下に潜れば確認できるんだけど、
なかなかそのシーンを見ないと信じてもらえないと思い
ます。私の撮った真夏の床下の写真を見てくださいね。
前にも何度もお見せしたことがありますが。

P8030028.jpg
P8030054.jpg
P8030008.jpg

で、この水分が土台や大引きなどの床下の木材にも吸い込
まれてしまいます。(木材の含水率が高くなる)

すると次に木材腐朽菌が発生して木部の所謂「くされ」(分解)
が始まります。くされ=菌類が木材の成分を分解して栄養
として取り込むこと・・です。
これが住宅の寿命を縮める大きな原因になります。


P8030042.jpg
P8030021 - コピー.jpg
じゃあ、なぜ真夏の床下はジメジメベトベトしてしまう
のか?その理由は下の図を見てくださいね。

コンクリート・ビニール敷設の問題点.jpg
簡単に言えば夏にジョッキに冷たいビールを注ぐと
ジョッキの外側に忽ち水滴が付着しますよね。
あの水滴は「ジョッキの周りの空気」が急激に冷や
されて水滴化するからですよね。結露と同じです。
これと同じことが床下で起こるわけです。

暖かくて水分をたっぷり含んだ空気が床下という日陰
に流れ込むと急激に水滴化(結露)して写真のような
基礎や土台、断熱材の上につぶつぶの水滴になる。
・・という説明でわかっていただけるかしら。
(露点湿度)


で、敷炭をするとこの水分(結露)を炭が吸い取って
くれるのでジメジメベトベト感がなくなります。
床下の結露現象もほとんど起こらなくなります。
同時に木材腐朽菌の広がる元である「胞子」も炭の孔に
棲む自然菌によって吸着され取り殺されてしまいます。
この事実はもっと広く知られてもいいと思っていますが
残念ながら知っている人はとっても少数だと思います。
悔しいなあ~。

つまり、くされの元を根本から無くしてしまうのです。
だから(即効性はないですが)敷炭をした1年半後には
木部の状態が下の写真のように改善されます。

014.jpg
じゃあ、真夏の水分をたっぷり吸った炭はその後は
どうなるのか?といえば、今度は冬場ですよね。
冬場は御存じのように「乾燥注意報」がよく発令され
ますよね。秋から冬にかけては気温が下がります。
寒いですね。

寒いということは空気が乾燥する・・と言うことです。
空気はその性質上、気温が下がれば下がるほど水分を
「取り込めなく」なります。だから、秋から冬場によく
「乾燥注意報」が発令されるわけですね。

さて、床下にこの冷たく乾燥した空気が流れると・・
当然、炭が吸った水分も「排出=乾燥」されます。
それで夏場に吸った水分が今度は排出されてしまいます。
夏場に吸って、冬場に吐いて・・の繰り返しというわけ
です。このサイクルは日本の気候が変わらない限り半永久
に続きます。

これが敷炭が飽和状態になっても取り出して「天日干し」
をする必要がないという理由です。そしてそれによって
土台の寿命も飛躍的に伸びます。試算では通常の2~3
倍は住宅寿命が延びます。これはちょっとすごいでしょ。

でも、そのためには外部の空気が床下に循環する=通気口
が必要です。基礎パッキンでもいいけど。
つまり炭を敷いても「通気」がよくないと冬場に飽和状態
になった炭が乾かないからです。最近の「床下も室内と考
える」造り=完全密閉の床下では敷炭はしないほうがいい
と思います。これも敷炭の大切なポイントです。



(最近の敷炭工事の写真です)
RIMG4844.jpg
RIMG4858.jpg
実は敷炭は別に新しい発想ではないようです。
炭を燃料に使っていた昔の農家や、有名なところでは
法隆寺、京都御所、その他諸々の神社仏閣の下にも炭は
埋まっているそうです。昔の人は「なんだか床下に炭を
敷いたり埋めたりするとなぜか建築物がものすごく長持
ちするぞ」と経験的に思っていたらしいのです。

そういえば、私がまだ炭に無関心だったころに十日町の
あるおばあちゃんが言っていた言葉を思い出しました。
「うちはじいちゃんが家を建てるときに俵で何俵分の炭を
床下に敷いたからな、なぁん~にも心配ないよ・・」と。

たしかに豪雪地方なのに床下に・・というか、昔の十日町
地方の床下は半地下みたいな造りになっていて燃料として
の炭蔵と芋などの貯蔵室になっていた家が多かったように
記憶しています。どの家の床下も古いのにカラカラに乾燥
していました。

なんだか、例によって途中から脱線してしまいましたが、
以上の敷炭の効果が事実であることは私の敷炭経験からも
確認できました。炭の研究はいくつかの大学でも進んで
いるようです。炭はある意味、先端材料だと思っています。

新築でも既築でもベタコンでもそうでなくても敷炭は住宅
寿命を手っ取り早く伸ばす最強の方法だと思っています。
但し、敷炭でシロアリも防げると宣伝しているサイトを見
かけますがそれはウソ。炭にシロアリを忌避するような成分
は含まれていませんからね。

まあ、敷炭で床下の湿度が下がって、結果、シロアリが生息
しづらい環境にはなると思いますが、それをもって「シロアリ
予防にもなる」・・というのは明らかに言い過ぎです。
売りたい気持ちはわかるけど誇大表現は感心しません。

また、余計なことかもしれないけど、ついでに・・
ホームセンターでも安価な床下用炭が売られていますが、
私見では「炭の粒が大きい」です。3~5センチの固形の炭
では効果は(全くないとはいいませんが)あまり期待しない
ほうがいいと思います。炭化温度も明示されていないし。

RIMG4859.jpg
(これはお客様が持っていた昔の炭です。白炭みたいで
もったいないから使うことにしました)
RIMG4860.jpg
(大雑把ですが、砕けるだけ砕きました。そうでないと
炭の力が発揮できないからです)

それから地場調整効果については前にも書いたので省かせ
てくださいね。個人的にはこの地場調整がほんとはお伝え
したいのですがテーマから外れるし、詳しく説明しないと
誤解されそうなので止めましょう。


というわけで、住宅寿命を伸ばす有効な方法として敷炭は
すごくいいと思っています。でも、良質な炭は高価なので
無理にお勧めしようとは思いません。
「その家が何年持てばいいのか?」は、人それぞれの事情
もあると思うし。

最後までお付き合いいただいて感謝します。
敷炭に興味のない方には退屈な内容だったと思います。

なんだか最近、敷炭への関心がじわじわと増えているよう
なので再び基本的なことを書いたほうがいいかしら、と思
って記事にしました。古くて新しい先端材料、それが炭だ
と思っています。

どうか皆様にいいことがありますように。
そして生きとし生けるものが幸せでありますように。


(過去の敷炭記事と重複した内容になってごめんなさい)


ジョーク

その夜、トムを見つけたデイブはとても心配に
なった。
こんなに酔いつぶれているトムは見た
ことがない。
 
デイブはトムの座っているカウンターに近づき
声をかけた。
 

「よぉ、相棒、どうした。何かまずいことでも
 あったのか?話してみろよ」
 デイブがトムをなだめる。
 
「お前の奥さんのことなんだよ.」
 赤い目を上げて、トムがぶっきらぼうに答える。
 
「おれのカミさん?うちの奴がどうした?」
 

トムが答える。
 
「あのなぁ、彼女なぁ、浮気してるみたいなんだ。
  俺ら2人とも騙されてたんだよ。」


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