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「きょとん」犯罪 ? [つまらない]


皆さん、こんにちは。

タイトルの「きょとん」犯罪ってことばは、お坊さんで作家の玄侑宗久
(げんゆう・そうきゅう)という人が、昨日の朝日新聞の「私の視点」に
寄稿した文{命軽き時代・はるかな誓願をもとう}の中からのパクリです。 

私としては、なんか以前からもやもやしていたことにハッキリ形をつけて
もらったような気がして印象的な一文だったので紹介させてくださいね。

氏が言うには、最近犯罪を犯した容疑者が・・・

  • 「きょとん、としていることが多い気がする。つまり重大な罪を犯した
    という自覚が本人に芽生えていないのである。 ときには人殺しと
    いう行為をしてみたかった、ということさえあって驚くのだが考えて
    みればこれも宣(むべ)なるかな、である」


なるほど、 たしかに私も犯罪者が「きょとん」としているように感じることは
多いような気がします。 犯罪者でなくても(年金問題などで)最近の政治家の
前言撤回(言い訳?)の会見などで似たような感じがしませんか? 
無責任な態度といえばそれまでですが、なんか当事者意識が希薄という気がします。

で、氏は「考えてみればこれも宣(むべ)なるかな」と言っています。 
一体どう考えれば「宣(むべ)なるかな」になるのかな? と思ったら・・

  • 「だいたい罪の意識というものは、誓いがあってこそ芽生える。 
    殺生をしないと誓ったことがなければ、殺人でさえ当人には罪と感じられ
    ないのである。」

なるほど、そうかもしれない。「誓い」かあ。 でもいまいちわからない。 
で、氏はこう続けます。

  • 「どうして命が大切で、なにゆえ殺生がいけないことなのか、それを理詰め
    で教育しようという風潮が今の世の中にはあるが、おそらくそれは無駄な
    ことだ。 理詰めで進めるかぎり、どんな意見にも必ず反対意見がありえる
    からである」

なるほど、そうかもしれない。 日頃、牛さんや豚さんを食っていて殺生はいけない
では理詰めに無理があります。 歩いていて知らないうちに蟻さんだって踏み潰して
いますからね。 菜食主義だって植物という生き物を殺生するので同じ。 
どうも理詰めでは分が悪い。 で、氏はこう続けます。

  • 「思えば完全に受身で産み落とされた我々の命。 そのままでは大切に
    すべき理由は見当たらない。」
  • 「しかしそんな命を大切なものとして慈しみ、育んでくれた人々がいた。 
    そのことで、感覚的に大切そうな命と感じる人々は多いだろう」

なるほど、なるほど。 たしかに私は存在したくてこの世に存在したわけではない
ですからね。 気がついたら存在させられていたって感じだもんなあ。 
それでも無条件で大事に育ててくれた親とか祖父母がいたわけです。 
(いきなり飛躍しますが、過保護であろうがなんと言われようが、幼児期の無条件の
スキンシップというかベッタリ感ってすごく大事だと思います。)

  • 「それでも同じような体験を全ての人が共有できる世の中ではないから、
    今は尚更誓いこそが大切なのである。」

なるほど、なるほど。 不幸にしてそういう恵まれた境遇に育たなかった人もいる
わけですからね。 ・・・だから「誓い」なのか。 
でも「誓った」くらいで効果あるのかなあ? 更に氏はこう続けています。

  • 「不殺生戒が仏教発生以来、ずっと続いてきたのは、それが遵守不可能で
    あるからだ。」

ここで、単純な私は・・・エッ!遵守不可能なのに何故続いてきたの? と思って
しまいます。 しかし、氏はそれに対して・・・

  • 「それほど実現不可能な戒をどうして立てるのか、不思議に思う方もいる
    に違いない。 しかしそれはあまりに合理性に慣れすぎた考え方といえる
    だろう。 実現不可能であるからこそ、戒は永遠のものとなる。 
    不偸ふちゅう)盗戒=盗むな、も 不淫戒=交わるな、 も 
    不妄語戒=ウソつくな も、つきつめれば完璧な成就が不可能であるゆえに
    永遠の誓いなのではないか。」

実現不可能であるからこそ、戒は永遠のものとなる?!

そ、そうだったのか!水戸黄門に不滅の人気があるのは、現実は悪代官が
絶滅しないどころかしぶとく生き残っているからだ。 だから正義の味方は
実現不可能な戒めなのだ。 ちょっと違うかなあ? いや違わない。
氏は更に・・・

  • 「不可能を目指し続ける人間は、たぶん美しくなる。 だから{美しい国}で
    あるためには憲法第九条も、現実に合わせて変えるなどと発想してはいけない。」

これは私と同意見。 私も美しくなりたーい。 でもたぶん「現実に合わせて」変える
べきだと考える人も当然いると思います。 だって右の頬を打たれたら左の頬を差し
出すどころか倍返しでケリを入れてやりたいムカつく気分のときも正直ありますもの。 

  • 「むろん個々人がそれぞれ遥かな誓願をもつことが何より大切なことだ。 
    どんなに細々と法令を作り、あるいは道徳教育に力を入れようとも、本人が
    それを守ろうと誓わなくては罪も自制も生まれないからだ。」

  • 「どうも最近は、外側から人を法令や決まりで一律に規制しようという風潮を
    感じる。 どんどん網の目のように法令が増えているのも事実だ。 
    しかしそんなことで「きょとん」犯罪が減るはずはない。」

ごもっとも。 で、その誓いは一体誰に対して立てればいいの? 自分自身にでしょうか? 
それに対して氏は・・・

  • 「問題は誰に向かって誓願を立てるのかということだが、尊敬する師匠が
    いれば最高だろう。 それがいなければ、・・・畏怖する雷親父。 
    神・・・、仏・・・、。 ああ、問題の中心が見えてきた。 」
  • 「近頃の人々の不幸は、実現可能な目標ではなく、遥かなる誓願をもとう
    という発想のないこと、そして誓う相手が見当たらないことこもしれない。」

・・・で最後を結んでいます。

例によってすっかり「直訳」になってしまいました。 
玄侑氏のこの視点、皆さんはどうお考えですか? 私はといえば単純ですから、
そうだそうだ、と思いましたが・・・。 
ところで、皆さんには{誓願を立てる相手}がいますか? 
私はといえば・・いるようないないような・・・ムニャムニャ・・・
 
きっと私も他人から見たら時々「きょとん」とした顔をしているシーンがあったの
かもしれません。  そ、そういえば思い当たることが・・・。 

きょとん顔かあ・・・・
実現不可能であるからこそ、戒は永遠のものとなる・・かあ。 
これってたぶん大切なことなんでしょうね。 
見果てぬ夢をそれでも諦めないっていうか・・・。

そ、それでは皆さん、ごきげんよう。

 (適当な写真がなかったので、家内のを拝借・右端が家内ですぅ)

 

 


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こう

なるほどです!

偉大な人は、常に理想の自分を追いかけていたようです。
そして、達成していない。
でも、少しは近づいたと言っていたのが印象的です。
確か、ベンジャミン・フランクリンの事だったような気がします。
by こう (2008-01-13 11:24) 

toyo

こう 様
ことばを変えて言えば、高い価値観高い理念をもつことの大切さを言っているのだろうとも思いますが・・・泥臭い現実とのギャップに私のような凡人はふうふうあえいでいる日常ですから・・・でも、そうありたいと思っています。
いつもコメント&ナイスありがとうございます。
by toyo (2008-01-13 12:23) 

nice及びコメント有り難うございます。今後も宜しくお願い申し上げます。
by (2008-01-13 17:25) 

たいせい

 犯罪に対する想像力の欠如が、この種の問題の背景のように感じています。
 核家族化で、自分がいつも暮らす身内の中で「死」というものを経験しておらず、何が起こるかを知識の上では解っていても皮膚感覚として感じられない事によるもののように思っています。
 理念や理屈では解らない、「経験」の絶対値が不足しているのではないのでしょうか?

 かといって対策は何も持ち合わせていません。
 せいぜい自分の子供に、豊かな感受性と感情を身につけさせるように心がけるしか、思いつきません。
by たいせい (2008-01-14 12:11) 

toyo

たいせい様
おっしゃる通りだと私も思います。
いくつの頃だったかは忘れましたが、たぶん祖母の祖母が亡くなった時、座敷の奥の居間の遺体の周りに大人たちが集まって荘厳な雰囲気だったシーン(湯灌のとき?)を今でも覚えています。
子供心に人が死ぬってことは何か圧倒的に大変なことなんだ、と無条件に刷り込まれたような気がします。核家族ではそういう経験も皆無でしょうしね。せめて幼児期はたとえ親ばかと言われても子どもにはベタベタしたほうがいいと思っているんですが。「豊かな感受性と感情を身につけて」ほしいので。コメント有難うございます。
by toyo (2008-01-15 08:48) 

アキラ

私の稚拙なブログをお訪ね下さって有り難うございます。
大変いいブログで、私などお恥ずかしい限りです。

これからもお邪魔させていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
by アキラ (2008-01-15 09:29) 

toyo

アキラ様
こちらこそどうぞよろしく。私もときどきお邪魔させていただきます。
ありがとうございました。
by toyo (2008-01-17 10:15) 

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