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フキューとシイタケと床下換気扇 その③ [腐朽菌]


皆さん、こんにちは。

いきなり前回の続きの続きを書きます。

たとえばシロアリの被害の「原因」は、当たり前ですが木を食う「シロアリ」ですよね。 
だから原因であるシロアリを殺せば解決します。 

では木を腐らせる「原因」は何だと思いますか? そうです。 
「木材腐朽菌」という菌が原因ですね。 で、なぜこの菌がシロアリ以上に厄介な
ヤツなのかというと、この菌はシロアリみたいに完全に殺すことができないからです。

なぜ殺すことができないのかというと、腐朽菌はキノコと同じく「胞子」で繁殖する
からです。 もうこの腐朽菌の胞子は空気中のどこにでも漂っています。 
なんと成層圏にも漂っているそうです。 目に見えない杉の花粉みたいな
イメージでしょうか。 

つまり・・・・

  • シロアリ被害の原因=シロアリ ですが
  • 腐朽の原因=空気中に漂う胞子

ですから胞子をシロアリみたいに駆除することは不可能です。
という説明なら・・・「なぜこの菌がシロアリ以上に厄介なヤツなのか」ということが
分かっていただけるでしょうか?

そこで、胞子そのものが駆除できないのなら、胞子の繁殖条件を制御するしか
方法はありません。 空気中にどこにでも漂っているこの胞子は木材に着床して
繁殖します。 この着床した木材の水分量が多いか少ないかで繁殖するか
しないかが決まります。 

なんだか当たり前のことをわざわざ難しく書いている気もしないではないですが・・・
つまり、ここで「木材の含水率」が決め手になるわけですね。 
簡単に言えば胞子が着床してもその木材が乾燥してれば腐朽は起こらない
わけです。

某中堅ハウスメーカーが「特別な乾燥室」でこの「含水率の低い木材」を
生産・使用していることをウリに宣伝していますがそれはこういうわけだからですね。 
(もっともその乾燥室にも問題はあるのですが・・それは別の機会に)

で、床下換気扇や床下調湿剤はこの「含水率」に対しては効果があるのでしょうか? 
もちろん何もしないよりはいいでしょう。 
でも確実に「含水率」を20%以下にできるかといえば疑問です。 
私の床下経験では若干の改善はみられますが、根本的に腐朽の進行までが
止まっているという例を今まで見たことがないのです。 
だから実際は床下換気扇+防腐施工とセットにすることが多いわけですね。

そして、これが私が床下換気扇や床下調湿剤を積極的にお勧めしない理由です。 
(床下換気扇や床下調湿剤のメーカーの皆さん、ごめんなさい。 もし効果的な
設置の方法があったら教えてくださいね)

つまり、ある程度の腐朽が進んだ段階では、現実的に床下換気扇や床下調湿剤
ではどうも芳しい効果は期待できないようです。 
ことばを変えていえば一度取り付いてしまった腐朽菌を排除することは
床下換気扇でも出来ないということです。

(ヘンなことを言いますが逆に腐朽が何も起きていない状態・・
つまり床下換気扇や床下調湿剤は新築時に施工したほうがかえっていいの
かも、なんて思います。 腐朽菌をとりつきにくい状況にするという意味でですが。 
あくまで「予防的処置」としてです。)

で、現実的に腐れを止めるには某メーカーの強力な木材防腐剤のほうが
はるかに効果があります。 
しかし、これは毒性も強力ですから神社仏閣以外の「人の住む場所」での
使用は危険なので、ほんとに必要なとき以外はお勧めしたくはないのです。 

 
(写真の白っぽい菌(白色腐朽菌)よりも実は黒っぽい菌(褐色腐朽菌)の
ほうが強力に木材を分解する力があります。 俗に言う黒かびです。 
これに注意してくださいね)

たぶん今までの説明は同業者の皆さんから見れば「何を簡単なことを難しげに
言っているんだよ」ってことになると思います。 
ただ、昨日だったか、またTVで悪質業者が床下に大量の床下調湿剤を撒いて
法外な料金を取ったとか報道されていました。 残念ですがそれも現実。 

こういう被害を減らすにはもっともっと「床下の現実」について皆さんに知識を
もっていただきたいのです。 そのためにこのブログを書いています。

だから精一杯分かりやすくを心がけているつもりです。 
だって床下業者が皆んな悪質なんて思われたら悲しいですからね。 
毎日、床下という狭く汚い空間でシンドイ仕事をしているのにこれでは報われ
ませんもの。 あーっ愚痴になっちゃった。 
やめますね。

 ・・・ということで、「木材腐朽菌が何故シロアリよりも厄介なヤツ」であるか
皆さんに少しでも伝わることを祈っています。 
(ほんとは含水条件とかもっと詳しく書くべきなんでしょうが皆さんに興味を
もっていただけるような書き方に自信がないので、この辺で終わりさせてくださいね。)
 
読みづらい下手な文なのに最後まで読んでいただいた皆さん、
ご精読有難うございました。

それでは皆さん、ごきげんよう。

 

 


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たいせい

 その②で指摘のあった「中基礎」の問題、そして床下換気の有効性。
 あまり知らなかった床下のことで、大変勉強になりました。
 今後も、専門家のみが知る床下の実態記事、楽しみです!

 時に、基礎と構造物の間に、中基礎も含めて基礎パッキン(?)で隙間を空けての換気の方が、有効性は高いのでしょうか?
by たいせい (2008-01-11 09:19) 

toyo

たいせい様
いつもコメントありがとうございます。
>時に、基礎と構造物の間に、中基礎も含めて基礎パッキン(?)で隙間を空けての換気の方が、有効性は高いのでしょうか?

・・・については「良い大工さんの選び方」でもちょっと書きましたが、私は有効性については疑問をもっています。確かに家の周囲の基礎と土台の間にグルッとパッキンで隙間をつくるので風のまわりはいいと思ってしまうのですが・・・図解しないと説明しずらいのですが・・・外壁の下部がその隙間を覆ってしまうので意外と「風はまわらない」のが現実です。実際この基礎パッキン工法でもシロアリが侵入して駆除したことが何度もあります。
私はやっぱり「丸い通気口」をできるだけ沢山開けるほうが有効だと思っています。何故「丸い通気口」かというと耐震性のためです。
by toyo (2008-01-11 09:56) 

しゃくとりむし

今セルフで増改築をしており、床下の環境、断熱、どの薬品を使うか
などについて悩んでいるときなので、
toyoさんのブログにとても助けられています。

この場を借りてお礼を言わせてください。
「ありがとうございます。」
by しゃくとりむし (2008-01-12 18:50) 

toyo

しゃくとりむし様
どういたしまして、こちらこそありがとうございます。
余計なお世話だと思いますが、見た目のカッコよさよりも耐久性重視、それと健康重視で考えられたほうがいいかもしれないですね。
増改築上手くいくことを祈っております。
by toyo (2008-01-13 10:06) 

こう

 腐朽菌などの対策を踏まえた設計方針を立てないと、良い家が建たないということがわっかりましたー。
by こう (2008-01-16 12:24) 

toyo

こう 様
駄文なのに、ご精読ありがとうございました。
コメント&ナイスもお礼申し上げます。
by toyo (2008-01-17 10:12) 

FUTTA

こんにちは、はじめまして
「丸い通気口」は文中にある、某中堅ハウスメーカーさんが採用さえてると思うのですが
「乾燥室にも問題」というのが気になります。
前に同じような話を聞いた事があるので、あながち噂だけではないような気がします。
by FUTTA (2008-01-30 10:59) 

toyo

FUTTA 様
コメントありがとうございます。
「丸い通気口」は最近見かけるようになりましたが私はいいことだと思っています。理由は言うまでもないですが基礎の強度を落とさずに通気ができるからですよね。
「乾燥室にも問題」・・・というのは、一時全国的にも有名になった新潟県内の某工務店では「木材が燃えそうになるほどの高温」で一気に乾燥させてるそうです。そのため何度か乾燥室のボヤ騒ぎを起こしています。このように急激に熱を加えて木材を乾燥させても「木材の芯の水分」は抜けません。だから見せかけの含水率を下げてるだけです。そして一般の人はそのことを知らないで乗せられています。もっともこの工務店にはコンサルタントがついていて商売的には大成功していますが地元では(実態を知っているので)悪評ぷんぷんです。
by toyo (2008-01-31 09:32) 

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