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「造り」がシロアリを呼び込む [シロアリ]


みなさん、こんにちは。

27~28日と施工をさせていただいた某事務所を紹介します。
(Y社長様、快くブログでの紹介を許可してくださってありがとう
ございます)


というのは、シロアリが侵入するかどうかは、世間でよく言われる
湿気ではなく「造り」であることを皆さんに知っていただくにはいい
事例になると思ったからです。

基本的には、この間の記事「二階が落ちていたかも」と同じ理屈と
いうか構造です。「二階が落ちていたかも」の原因はふたつでした。 
上からの「漏水」と、下からの「造り」でしたね。 
今回も基本的には同じ原因と思われます。

まず、漏水のほうから・・・


DSCF2436.JPG

外壁に縦に亀裂が
ありますね。
ここから雨(水分)が
内側に入ってしまいます。

この二階の部屋から
羽アリが以前、発生した
ことがあるそうです。

 

 

 

 

 

 




二階の窓枠の下です。亀裂がありますね。
地震のせいかしら?(下の写真です)

DSCF2518.JPG

 

 

 

 

 

 

 


ちょうどこのすぐ下に玄関があります。
玄関は浴室以上にシロアリの侵入しやすいところですね。

で、一階の玄関の裏側がここです。
ちょうど外壁の亀裂の延長線上になります。(下の写真です)

DSCF2443.JPG

 

 

 

 

 

 

 

少し押したらタイルが簡単に剥がれてしまいました。
タイルの裏側と壁面に蟻道(ぎどう)の跡=筋状の白い線
・・・がはっきり認められます。
茶色いのはシロアリの運んだ土です。

で、今度はこの部分の床下の写真です。(下の写真です)

DSCF2508.JPG

 

 

 

 

 

 


外基礎とブロックの隙間にシロアリが登ってきた蟻道が見えます。
上の木部が雨漏りのせいで腐朽しています。


シロアリにとっては水分で柔らかくなった木は食べやすいですね。
その部分をアップで・・。(下の写真です)

DSCF2504.JPG

 

 

 

 

 

 


その近くの土台と外基礎に塗った化粧モルタルの裏側にも蟻道が
見え隠れしています。(下の写真です)

DSCF2507.JPG

 

 

 

 

 

 

 

この外側は・・・(下の写真です)
DSCF2440.JPG

 

 

 

 

 

 



外基礎に化粧モルタルを塗っていますね。表面からみてもわかりませんが、
化粧モルタルの剥離した隙間からもシロアリが侵入しやすいですね。

(実際、化粧モルタルの裏側から侵入してるかどうかは剥がさないと
確認できませんが、今回はネコ土台だったので外側の土壌処理を
しなくても床下側から処理することができました)

それじゃあ床下はずいぶん湿気があったのかというと・・・(下の写真です)

DSCF2407.JPG

 

 

 

 

 

 



含水計で調べてもまったく問題ありません。
木材腐朽菌の繁殖するレベル以下でした。

他の床下の状態も・・・(下の写真です)

DSCF2477.JPG

 

 

 

 

 

 


とてもいいです。
こんな感じでカビさえありませんね。
もっともここは石灰が適度の量まいてありました。
(初期の適切な判断だったと思います)


で、まとめると・・・
やっぱり玄関の「造り」が一番の原因です。
で、これは住んでる方にはどうにもできないですよね。
「造り」ですからね。

外壁のひび割れだって地震のせいだとしたら・・・
これも住んでる人には
どうにもできないですよね。
(ひび割れは天災なのかしら?難しい判断ですね)

漏水・化粧モルタル・玄関・・・が原因となると、シロアリ屋と
してはかなり難易度の高い作業になります。
おまけに、もう数ヶ月もしたら羽アリの発生する時期(4月~5月)
に入ります。

ということは・・・もし羽アリが発生すれば私の負けです。
クレームです。
どうかそうなりませんように。(笑)

もし、クレームになったら再度シロアリと対決することになります。
でも、ピンチはチャンス。クレームのおかげで今までいろんな
ノウハウを手に入れることができたんですものね。
明るくそう考えようっと。
(お客様にとってはいい迷惑ですね。)

ということで、Y社長様、もし春先に羽アリが発生したら遠慮なく
ご連絡くださいね。
ありがとうございました。
(90%の自信はありますが・・・もし出たら・・・あわわ)

漏水・化粧モルタル・玄関・・・これが今日のキーワードです。
皆さんの家でもこういう気配があったら、ぜひ参考にしてくださいね。

それでは皆さん、ごきげんよう。
(今日はジョーク、お休みにさせてくださいね)


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たいせい

 toyoさんのシロアリ講座もいよいよ第二部に入って、高度化(応用問題)してきたのを感じます。
 今までの記事を読んでいて感じてきたのは「床下の湿気が高くて木部全体がシロアリの好む環境だと、ちょっとした侵入経路があれば、シロアリは侵入する」と言うことだったと勝手に思っていましたが、「雨漏りなど部分的にでもピンポイントでシロアリの好む環境が出来上がると、僅かな侵入の可能性であろうともシロアリはそれを見つけて侵入してくる」ということにでもなるのでしょうか?
 もっとも雨漏りなどが切っ掛けの場合、水の伝わりやすい隙間などで地表面に到達することもあるはずで、その経路がそのままシロアリの侵入経路になるということなのでしょうね。

 「造り」と言う意識はあまりなく、実際にどんなルートで入ってくるのか?今後の記事を楽しみにしています。
by たいせい (2008-12-30 08:53) 

toyo

たいせい 様

深い読み込みをしていただき感謝します。
実は「造り」なんていうと工務店関係の諸氏を「敵」に回すことにもなりますし・・・工務店様から仕事をいただいてる身としては言いづらい・・のですが、そろそろいいかな?なんて密かに思っています。
でも、なるべくなら「敵」云々じゃなくお互いに協力してシロアリに強い家を作れれば最高ですよね。そのときはたぶんシロアリ業はもう必要ない業種になってしまうと思いますが、それでもいいと思っています。もともと必要悪の仕事ですからね。

>もっとも雨漏りなどが切っ掛けの場合、水の伝わりやすい隙間などで地表面に到達することもあるはずで、その経路がそのままシロアリの侵入経路になる・・・・
というのは、まさにおっしゃるとおりです。大正解!

ついでに・・実はベタ基礎について書くべきか迷っています。以前、たいせい様に教えていただいた山形の柿崎様の意見に私は賛同しましたので柿崎様に私のブログで紹介したい旨、了解をいただけないかコメントしたら・・ちょっと難しいということでした。柿崎様の立場もよくわかりますので無理はいえません。
理想だけでは飯は食っていけませんものね。
それでもミッションはミッションとして失ってはいけないと思っています。今、自分がどうであるかよりも自分の目指すものを見失わないことのほうが数段大事ですもの。

つい愚痴ってしまったようです。脱線してしまいました。

たいせい様にとって来年こそ良い年でありますように!
(事業面でですよ。家庭面ではもの凄くお幸せとお見受けしてます。あわわ・・笑)
nice!&コメントいつもありがとうございます。

by toyo (2008-12-30 09:41) 

たーチャン

シロアリは年によって増えたり減ったりするものなのですか?

by たーチャン (2008-12-30 10:00) 

かなりあ猫

写真の建物はRC造かALC造だと思ってしまいましたが、木造ですか。それとも玄関部分だけコンクリートブロック造でしょうか。不思議な造りです。もし木造だったら、木造の外壁にタイルを貼るのは、好きじゃないです。
by かなりあ猫 (2008-12-30 11:11) 

toyo

たーチャン 様

統計的なデーターがないのでなんとも申し上げられませんが、温暖化に比例して増えていると思います。

増えたり減ったりではないですが、「羽アリの発生する時期」が年によってずいぶん狂ってきている感じはします。気候のせいだと思いますが。
nice!&コメントありがとうございます。
(ちゃんと答えられなくてごめんなさい)
by toyo (2008-12-30 18:20) 

toyo

かなりあ猫 様

木造です。
玄関の上がり框の周囲だけブロックでした。
外壁はタイルみたいに見えますがタイルではないです。
こういう外壁は私も初めてなので素材についてはわかりません。たぶん窯業系だとは思いますが・・・すみません、床下以外は無知なもので勉強しておきますね。ごめんなさい。nice!&コメントありがとうございます。
by toyo (2008-12-30 18:58) 

toyo

kissk様

お読みいただいてありがとうございます。
nice!お礼申し上げます。
by toyo (2008-12-30 18:59) 

yanasan

自然の中で生きている蟻の力が凄いかが解りました。 また来年もよろしくお願いします 
by yanasan (2008-12-30 20:55) 

toyo

yanasan 様

こちらこそ来年もよろしくお願いします。
良いお正月でありますように!
nice!ありがとうございます。
by toyo (2008-12-30 21:09) 

kappa

玄関をシロアリが侵入できない造りにするのは難しそうですね。
ウチは玄関外のポーチまで一体でスラブを打ち、これを貫通するか、家の外周の露出面に蟻道を作らないと玄関に侵入できない構造にしてありますが、スラブにひび割れが出来たら一発でアウトです。
せめて定期的な点検ができるような構造にならないものでしょうか。
by kappa (2008-12-31 02:04) 

toyo

kappa 様

>玄関をシロアリが侵入できない造りにするのは難しそう・・

単純に考えれば、昔のタタキの玄関に戻せばいいわけですがいまどきねぇ~って言われそうですね。
でも「家の外周の露出面に蟻道を作らないと玄関に侵入できない構造」にされたのはすごく賢明ですね。凄い!と思います。
ほんとは、私たちが大工さんと一緒になって「造る」ときに相談できれば一番いいんですが現実はなかなか・・・です。

定期的な点検は必要ですが、これも私たちでなくても住んでる方ができれば一番いいですよね。最初の一回だけ見せていただければ、こことここを注意してくださいね、とお客様にお教えできるんですが・・・(玄関の場合はいくつかのポイントだけ覚えていてもらえば、素人の方でも定期点検は充分できると思います)
・・・といっても業者の立場としては「教えたくない」業者もいるでしょうね。
もし、どこの家でも玄関が同じ造りならネットでも図解してお教えできるのですが・・・
きりがないので止めますがkappa 様の場合はずいぶん考えられておつくりになってる印象を受けますのでそれほど心配はないような気がします。

私もいろんな玄関の造りの具体的な事例と、対策法を調べてみます。

いつもnice!&コメントありがとうございます。
来年もkappa 様にとっていい年でありますように!

by toyo (2008-12-31 08:47) 

denn

明けましておめでとうございます^^
今年もよろしくおねがいいたします^^

人の営みに終わりがないように^^シロアリも たゆまぬ営みで生きてるんですね^^ ウチにもいるようなんで^^愛情を持って観察することにします^^
by denn (2009-01-01 14:56) 

toyo

denn 様

あけましておめでとうございます。
こちらこそ地味な記事にお付き合いくださって、心よりお礼申し上げます。

denn 様のお宅にもいらっしゃるようですが愛情をもっていただいてありがとうございます。
もし、目に余るようなおいたをするようでしたら私に言ってくださいね。厳しく躾け直しますから。(笑)
(ほんとに困ったことが起きたら、いくらでもアドバイスさせていただきます。遠慮なくどうぞ。)

本年もよろしくどうぞお願いいたします。
nice! &コメントありがとうございました。
by toyo (2009-01-02 09:24) 

toyo

tsk様

あけましておめでとうございます。
nice! ありがとうございました。
tsk様にとって今年がいい年でありますように!

by toyo (2009-01-02 09:26) 

南雲しのぶ

あけましておめでとうございます。
旧年中はおせわになりました。
一日遅れですが、今年も一年よろしくお願いします。

年後半、体調を崩し自分のブログの保守でせいいっぱいになってしまい失礼しておりました。
またどうぞ拙ブログへ御運びください。
by 南雲しのぶ (2009-01-02 10:04) 

toyo

南雲しのぶ 様

あけましておめでとうございます。
私も同様です。ご無沙汰してしまいました。
ときどきブログを書くエネルギーが途切れてしまって・・。
本年もよろしくお願いいたします。
nice!コメントありがとうございます。

by toyo (2009-01-02 13:49) 

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