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炭・・吸う力より吐く力。 [炭]


みなさん、こんにちは。

最近は炭の話ばかりでごめんなさい。 
もう少しガマンしてくださいね。 というのは、シロアリと同じく炭に
ついても誤解されてる面がけっこうあると思うんです。

たとえば、脱臭にしろ除湿にしろ、炭の吸着剤としての
「吸う力」
ばかりが注目されている気がします。 
でも、炭が凄いのは、吸う力よりも「吐く力」のほうなんです。

(写真はまた椿寿荘です。毎度同じ写真ですみません)
椿寿荘他 078.JPG

たとえば吸着剤としてだけなら、なにも炭でなくていいんです。
炭よりももっと強力な「吸う力」をもっている素材はたくさんあります。
シリカゲル、珪藻土、天然石を砕いてセラミック加工した商品・・
ゼオライト、セピオライト
とか炭以外にも様々な除湿剤がたくさん
あります。

それらは炭よりもたしかに湿気を吸う力は何倍も強いのです。
でもね、問題は「吸った後」なんです。 今日はそれについて書い
てみます。 参考にしていただければと思います。

まず、吸着剤には「親水性吸着剤」「疏水性吸着剤」があります。

  1. 「親水性」=水分を吸いやすい性質
  2. 「疏水性」=水分を吸いにくい性質

で、炭はどっちだと思いますか?

~ですよね。 ①だと思いますよね。 だって湿気を吸うんだから。
実は、炭は②の疎水性のほうなんです。 で、そこが炭のいいとこ。 
意味不明ですよね。 
さっき、問題は「吸った後」と書きました。

椿寿荘他 069.JPG

たとえば床下調湿剤を例にしてみましょう。

床下の湿気取りとして、もしシリカゲルを使った場合は・・・・
なるほど、最初は、床下の湿気をどんどん吸ってくれると思います。
ですが、たっぷり湿気を吸ったシリカゲルはその後どうなるでしょう?

「親水性」のシリカゲルは吸った水分を吐き出す力が弱いのです。
強く水分をくっつけ過ぎるからです。 
で、結局はそれでおしまい。後は「土化」するだけ。 
たしか以前「土化した床下調湿剤」の写真を紹介したことがあります。

椿寿荘他 077.JPG

イメージとしては・・・水を入れたバケツにスポンジを入れれば
スポンジは水分を吸ってくれますが、水分を吸ったスポンジは
そのままでは乾きませんよね。 絞ってやらなければね。
う~ん、下手くそな例えですね。

ところが炭の場合は、水分を吸う力は弱いけど・・・
つまり、水分を吸うけども、しっかりと炭に水分はくっつきません。 
ということは、吸った水分を「はじきやすい」ということなんです。
「はじきやすい」=吐き出しやすい・・ということです。

接着剤に例えれば、くっついても剥がしやすい・・というか。 
う~ん、これも下手くそな例えですね。 困ったなあ。

椿寿荘他 068.JPG

たとえば、四季の変化がある日本では、夏の空気はジメジメして
いますね。 
ジメジメ=空気の水分量が多いということです。
秋や冬は逆になりますね。 空気が乾燥します。 
(例年、秋になると乾燥注意報が出ることでそれはわかります
よね)

床下に敷いた炭はこの「空気の湿度変化」に敏感に「反応」します。

  • 夏のジメジメした時期は、空気の水分を吸って床下の湿度を
    下げます。 
  • 秋の乾燥した時期は、今まで吸った水分を吐き出して床下
    の湿度を上げます。 
     

この作用は繰り返しいつまでも無期限に続きます。 
自動湿度調節装置とでもいいますか。

椿寿荘他 066.JPG

ということは、炭の力を引き出すには「湿度変化」が必要ということ
ですね。 
ということは・・
敷炭をするときは、「湿度変化」が起こるように、
床下の通気を良くしなければ、
炭の吐き出す力を充分に引き出せ
ないということです。 これ、敷炭の際のとっても重要なポイントです。 

実に、ここを多くの人は誤解しています。 
単に敷炭をすればOKではないのです。

椿寿荘他 063.JPG 

・・・というと、
なんだあ、通気も良くしなければなんて敷炭ってたいしたことない
なあ~。 それなら通気だけで事足りるじゃん・・って思いがちです。 

で、そう思われると(炭が売れなくて)困るから、敷炭の説明では、
そこをお客様に話をしないというか、この原理そのものを知らない
場合がほとんどだと思います。 これでは困ります。 

だから・・炭を敷いたらカビが生えちゃった。 なんだあ、炭って駄目
だなあ・・ということになってしまうんです。 そこんところをちゃんと
しないとね。

おそらく四季の変化が少ない国では、この炭の力は発揮できない
だろうと思います。 
高温多湿の日本の気候風土にはぴったりですが。

椿寿荘他 059.JPG

まとめると・・

  • 炭は疎水性吸着剤で、吸う力は弱いけど吐き出す力が
    強いのが良いところ・・
    です。 
    だって、吐き出す力があるからこそ、いつまでも繰り返し
    無期限に使える
    わけですからね。
  • ちなみに通気を良くして敷炭をすればメンテナンスは必要
    ありません。 ほったらかしでいいのです。 
    これはとっても楽でしょ。

で、炭って、なんだか湿気を吸う力は弱そうだけど大丈夫かなあ?
とか思いませんでした? 全然大丈夫なんですけどね。
なぜそういえるのか?については長くなりますので次回説明します。

(そういえば呼吸法でも、吸うよりも吐くほうが大事っていいますね。
 関係ないですね・笑)

椿寿荘他 055.JPG

なんだか今日もつまらなかったと思います。 
でも、とても基本的なことなので、私はどうしても書いておきたかった
のです。 
炭は疎水性吸着剤で、親水性ではないからいいんだ、ということを。
(しつっこいでしょ・笑) 
果たして下手な説明でみなさんに伝わったか心配です。

で、「吸う力」だけが注目されるのは、たぶんそれ以前になんとなく
「湿気があることは悪いこと」と、思うからでしょうね。 
じゃあ、湿気があることって、そんなに悪いことなんでしょうか?  
これについては別の機会にお話します、というかあんまり長くなって
も退屈でしょうし。

退屈な文に最後までお付き合いいただいたみなさん、お疲れさまでした。
感謝しています。 それではごきげんよう。 


ジョーク

鮮血を体中に付着させた吸血コウモリが夜間の一仕事を終えて
パタパタと洞窟に帰ってきた。 
天井からぶら下がって一眠りしたいところ。


すぐさま他のコウモリ全員が血の臭いを嗅ぎ取り、帰って来た
コウモリの周りに集まってきて騒々しくチョッカイをかける。 
眠るんだからアッチへ行けと追っ払うが収まりがつかない。 
ついに音をあげた。


「分かったよ。 ついて来いや。」 そう言ってコウモリは洞窟から
飛び出し、何百羽のコウモリが後を追う。 谷を越え、川を横切り、
樹木茂れる森に一団は入って行った。 
やがて先頭のコウモリがスピードを緩めると、他のコウモリは全員
その周りを飛び回って興奮状態。


案内役;
「さ~て、向こうにあるあの木が見えるかい?」


「うん、見えるよ、分かった!」 
血に飢えて逆上したコウモリは全員絶叫する。


案内役はウンザリ気味;
「そうかい、良かったな。 オレには見えなかったんだよ!」

  


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コメント 15

組

こんにちは

いつも大変参考にさせていただいてます。
前回、微生物についての素朴な質問に対応していただきありがとうございます。

今回のお話も大変興味深いですね。
読み始めて真っ先にイメージしたのは…呼吸でした(笑)
最後に呼吸法に触れておられたので、さすが!と。

私事ながら
筋トレを少々やっているのですが、
それがある時、
トレーニングに行き詰まって(息詰まって?・笑)しまいました。
その時に息の吐き方に着目したところ
これが非常に効果的だった憶えがあります。

そんな経験からですが…
人間も炭も吸うには吸うんですよね、
でも吐くことが大事…とは呼吸法が私の中では決して無関係とは思わなかったという…(笑)

それにしても
シンプルに感じる炭も
個々の働きや性質が複雑に関連して
総合的に性能を発揮しているんですね。
相乗効果…と言ったらいいのでしょうか。

人間社会ってのは
ある部分だけを取り出して分かりやすく、使いやすくしようとしがちで、
それはまた合理的かもしれませんが…
実は相乗効果どころか片手落ちな結果を招くことも多々あるみたいですし。

炭も特質の1つの側面だけをもっては語れないのですね。
また、使い方も然り。
炭の性能を上手に引き出す為にも
現実的に使用した場合のノウハウが詰め込まれたtoyoさんのお話、
大変有意義です。
これからも期待しております。
by 組 (2009-11-19 03:00) 

組チョー

↑ 名前入力ミスでした。すいません。
by 組チョー (2009-11-19 03:09) 

ぶすねこ

大変勉強になります。
toyoさん、「へたくそな例え」なんて言っていますが、
よくわかりますよ。

それから、竹炭まくら、良い感じだったようです。
「夜中に一度も起きなかった」と、言っていました。
ありがとうございます。
by ぶすねこ (2009-11-19 09:44) 

小父蔵

 湿度が高い時に吸った水分を、湿度が低い時に吐き出す。昔は、土壁が湿度調節をしていたと思います。最近は、やたらと壁や床に断熱材を入れているので、断熱性は高いが、湿度調節ができていないような印象があります。
 そいう意味で、床下の敷き炭は有効なのかなと思います。
by 小父蔵 (2009-11-19 13:12) 

kido_azusa

湿度を吐き出す力が大切なことはよく分かります。通気性のよい床下に敷く炭は、調湿作用がいいこともわかります。ただ、通気性のよい床下は、自然のままでもいいのではないでしょうか。昔ながらの石場建ての家の床下には、ちょうどいい具合に乾燥してありじごくが巣をつくります。我が家も2年目でありじごくが巣をつくりました。家の中も、床下も風通しのよい家がいいと感じています。
by kido_azusa (2009-11-20 19:01) 

toyo

組チョー様

おはようございます。
いつもお付き合いいただいて感謝しています。

>人間社会ってのはある部分だけを取り出して分かりやすく、
使いやすくしようとしがちで、それはまた合理的かもしれませんが…
実は相乗効果どころか片手落ちな結果を招くことも多々あるみたいですし。

同感です。ある一面だけを説明するとほんとに片手落ちに
なってしまい、かといって他の面を書くと今度は伝えたい
ことがボケてしまったり・・・
特に文章を書くのが不得手な私には荷が重いと感じることが
しょっちゅうです。
どうか曖昧な部分は組チョー様の想像力でおぎなっていただけ
たらと思います(笑)

nice! &コメント、ありがとうございました。
お礼が遅れてごめんなさい。


by toyo (2009-11-21 11:26) 

toyo

ぶすねこ 様

おはようございます。
いつもお付き合いいただいて感謝しています。

>「夜中に一度も起きなかった」

わー!それは良かったです。嬉しいニュースをありがとう
ございました。で、家内に言ったら「まだまだ、これからだよ」
って言われました(笑)偶然かもって言うんですよ。
そうでないことを祈っています。
nice! &コメント、ありがとうございました。
お礼が遅れてごめんなさい。


by toyo (2009-11-21 11:32) 

toyo

小父蔵 様

おはようございます。
いつもお付き合いいただいて感謝しています。

>最近は、やたらと壁や床に断熱材を入れているので、断熱性は高いが、湿度調節ができていないような印象があります。

えーと、実は私も密かにそういう印象を抱いています。
実際の解体現場をみればはっきりするんでしょうが。
前に住宅展示場の解体現場を見た大工さんが「見かけは
全然傷んでいないように見えたけど、解体したら壁の中が
真っ黒だったよ」と言っていました。
これってもしかしたら凄い難しいことかもしれませんよね。

nice! &コメント、ありがとうございました。
お礼が遅れてごめんなさい。

by toyo (2009-11-21 11:37) 

toyo

kido_azusa 様

おはようございます。
いつもお付き合いいただいて感謝しています。

>ただ、通気性のよい床下は、自然のままでもいいのではないでしょうか。昔ながらの石場建ての家の床下には、ちょうどいい具合に乾燥してありじごくが巣をつくります。我が家も2年目でありじごくが巣をつくりました。家の中も、床下も風通しのよい家がいいと感じています。

おっしゃるとおりだと思います。
「ありじごくが巣をつくる」なんてもう最高です。
そういう家には「湿気対策としてなら」炭は・・炭以外の調湿剤も
無用だと思います。

で、「湿気対策としてなら」たしかに無用なんですが、私のほんとの
敷炭の目的は・・実は以前にも書いたことがありますが・・・
「住宅のイヤシロチ化」もあるんです。住宅全体を「高磁場化」して住んでる人の健康を守るというか、で、イヤシロチなんていうと、
それ何?ってことになるので止めましょうね。

炭の「吐く力」を説明するのに敷炭が都合がよかったので床下を
取り上げたわけですが一面的な内容になって片手落ちだったかなあ
と反省しております。

nice! &コメント、ありがとうございました。
お礼が遅れてごめんなさい。


by toyo (2009-11-21 12:07) 

toyo

takemovies様

いつもお付き合いいただいて
感謝しています。
nice! ありがとうございました。
お礼が遅れてごめんなさい。

by toyo (2009-11-21 12:08) 

toyo

plusgate様

いつもお付き合いいただいて感謝しています。
nice! ありがとうございました。
お礼が遅れてごめんなさい。

by toyo (2009-11-21 12:09) 

toyo

一真様

いつもお付き合いいただいて感謝しています。
nice! ありがとうございました。
お礼が遅れてごめんなさい。

by toyo (2009-11-21 12:09) 

福智山

無知をくり返しさらけ出すようですが、

炭の湿気を「吐く力」がポイント、ということ、全く
知りませんでした。
不勉強なためとは思いますが、初めて聞く説明で
目からうろこです。

四季との関係もあるのですね、やはり日本の風土に
育まれた建材、いやそれ以上のもの、が(適切な
温度で「蒸され」た)炭なのでしょうね。

ただ、炭が健康によいとして扱っている建築屋さんや
業者でも今回の内容は知らない人が多いのでは、と
いう気がします。

丁寧にポイントをまとめて下さり、大変有り難いです。

コメント欄をみて、調湿だけではなく、やはり磁場との
関係でも炭を重視するお考えがわかり、よかったです。

わが家は床下の通風はよさそうですが、やはり敷炭をして
正解だったと思います。

なお、先に教えていただいた埋炭、今度の金曜に外構工事の
関係で敷地を掘削するついでに行なう計画です。
残りの炭で置炭もしようと思います。

決して退屈な記事などではないので、自信をもって
今後も書き続けて下さい。
by 福智山 (2009-11-21 23:20) 

toyo

福智山様

おはようございます。
いつも駄文にお付き合いいただいて感謝しています。

>ただ、炭が健康によいとして扱っている建築屋さんや
業者でも今回の内容は知らない人が多いのでは、と
いう気がします。

非常に残念ですが、そのとおりだと思います。
少なくとも炭を扱うのであれば、これは基本中の基本ですから
業者の方は知っていて当然だと思います。付け焼刃の知識で
炭を売るのではなく、どこをどう聞かれても答えられなければ
炭は扱ってほしくない・・という思いがあります。
なぜかというと、それが結局は「炭ってたいしたことないじゃん」
というお客様の誤解を生むことになってしまうからです。

ずいぶん、私も生意気なこと言っていますね。
私の知識だってほんとは付け焼刃なんですが(笑)

>コメント欄をみて、調湿だけではなく、やはり磁場との
関係でも炭を重視するお考えがわかり、よかったです。

そのとおりなんです。
炭の調湿の力は私にとってはむしろ「副次的な力」で、
「磁場調整の力」こそが本質的力といいますか・・なんです。
でも、磁場調整やイヤシロチなんて言ってもねえ、疑似科学的に
思われる方も多いので誤解されやすいんです。
私に力があれば・・いろんな機器を買って「数値的に」誰にでも
納得できるような実証的な説明をできれば一番いいんですが・・
あー、こういうときはお金が欲しい!です(笑)

>なお、先に教えていただいた埋炭、今度の金曜に外構工事の
関係で敷地を掘削するついでに行なう計画です。
残りの炭で置炭もしようと思います。

私はきっといい結果になると思います。
すぐにはぴんと来ないかもしれませんが、長い目で見て
いただければとってもいい選択だと思います。

いつも参考にしていただいてほんとにありがとうございます。
ホンネを言うと・・福智山様のように「読み込ん」でいただける
方って、とっても怖いと同時に、いい加減なことは書けないなあ
という・・いい意味でのお緊張感を与えていただけるので
私としてはとっても感謝しています。
ときどきアホみたいなことも書いてしまいますが、どうか大目に
みていただけますように。 
ほんとにありがとうございました。
心からお礼申し上げます。(つい長くなってごめんなさいね)




by toyo (2009-11-22 09:28) 

toyo

かなりあ猫様

おはようございます。
いつもお付き合いいただいて感謝しています。
nice! ありがとうございました。
お礼が遅れてごめんなさい。

by toyo (2009-11-22 09:29) 

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