SSブログ

築27年・在来工法・2年の空き家・シロアリ・薪 [シロアリ]


みなさん、こんにちは。

いきなりですが、前回の記事で・・

  • 住宅から1メートル以内にシロアリがいた=でも、住宅
    にもシロアリが絶対、侵入しているわけではない。

・・・と、書きました。
今日はその実例です。 

「裏の外壁に薪をたくさん積んであって、その薪を動かしたら
シロアリがいっぱいいた!」・・という焦った様子の電話を昨日
いただきました。

で、調査にお邪魔して撮ったのが下の写真です。

私はこの光景を見たとき、残念ながら既にシロアリは侵入して
いるかもしれない・・と、思いました。
2010、10、26001.jpg 2010、10、26004.jpg

ここにシロアリがいっぱいいたそうです。
こりゃあ、シロアリがいてもおかしくない雰囲気ですね。
2010、10、26003.jpg

写真では分かりにくいですが、蝕害(シロアリの齧った形跡)が
いっぱいありました。
2010、10、26 002.jpg

で、この家は2年間、住んでいないんですって。空き家状態。
築年数は27年。 それに、この家のすぐ脇には川が流れています。 
周囲の状況をみても、シロアリが好みそうな土地環境・・でした。

きっと、床下もカビ臭くて被害も進んでいるかも・・・。

ところが!・・以下はこの家の床下です。
2010、10、26017.jpg

おー!全然いい状態です。 これはびっくり。
このカンナ屑はちょっと感心しないなあ~。 でも・・。
2010、10、26020.jpg

土台、大引等まったく傷んでいないんです。 腐朽の気配すらない。
2010、10、26 021.jpg

カビ臭もほとんどなし。
感じとしては築半年くらいの床下みたいに思いました。
えー!なぜなんだろう???
2010、10、26018.jpg

仔細に調査すればするほど意外な感じです。
もちろんシロアリもいませんでした。 初心にかえって隅から
隅まで調べたんですけどね。 う~ん、実に意外です。

土地環境はよくない、すぐ脇を川が流れている、外回りの
あちこちにはシロアリがいる、築27年である、おまけに2年間も
空き家状態・・でも、シロアリの被害は皆無。湿気もない。
腐朽もない。 もちろん、外壁やその他の劣化は進んでいましたが、
床下については極めて「健康的」でした。

完璧に私の予想は覆されました。
電話をいただいて状況を聞いたとき、これはけっこう厄介な
駆除になるケースかもと思って覚悟していたんです。

で、こんなに状態がいい理由を探りました。
写真には撮りませんでしたが、たぶんこういうことじゃあないかな、
と思っています。

  1. 床下の土壌は、決してよくはない土質でした・・
    粘土質で、おまけに大小の石ころがいっぱいです。
    で、その対策として、棟梁が全体に川砂を撒いていました。

  2. 典型的な在来工法で、壁は土壁でした。

  3. 一箇所から全部の床下に行けるように、あらかじめ
    通気口が確保されていました。 だから、床下の通気
    とってもいい。
    (そのぶん、冬は寒いと思いますが。)


たとえば玄関。 下の写真を見てくださいね。
2010、10、26025.jpg

上がり框(かまち)の下を見て下さい。黒いタイルが見えますね。 
近年はここはどこの家も完全に塞がっていますよね。

でも、この家は・・
下の写真を見て下さい。
2010、10、26 026.jpg

ね、隙間が作られていますね。
実際は2~3センチくらいの隙間でした。 昔の家はこれが
ふつうでした。 同時に、昔の棟梁は日本の風土を知り
尽くしていたんだなあ
~、と、なんかうれしい誤算というか、
改めて在来工法の威力を目の当たりにしたような気持ちに
なりました。

で、私なりの結論は、やっぱり通気のいいのが最大の原因
じゃあないかな?と思いました。
たしかに通気がいいと寒いしねずみが入りやすい・・とか
欠点はいろいろありますが、その欠点を補っても余りある良い
面があると私は思うんですが、どうかしら?

ということで、私にとっては駆除の仕事が入らなくて残念(笑)
・・でも、お客様にとっては、ほんとに良かったですね。
お客様(某会社の社長夫妻)も喜んでいました。

ただ、今日の記事でこうは思わないでくださいね。
なんだあ~、家の周りに薪を積んでおいても心配ないんだ
なあ~
・・ってね。 今日の記事は過度にシロアリを心配する
ことはないという見本ですけど、そうそうあることでもないです
からね。 
今日のまとめとしては・・・

  • シロアリに過度の恐怖心を抱く必要はないけど
    甘く見ることも危険です。
    要は、バランスをもって対処すること・
    ・かしら。

    実は、これを一番お伝えしたかったんです。

最後までお付き合いいただいて感謝します。
それではみなさん、ごきげんよう。


ジョーク

牧師さんがライオンズ・クラブでセックスの講演をした。 
帰宅してから、講演のテーマがセックスだとは妻に言いづらい。 
そこで、メンバーとの話題は乗馬についてだったと取り繕った。


数日後、妻はショッピングセンターでそのうちの何人かと
ばったり出会う。 彼らは口々に亭主が講演したスピーチに
賛辞を呈する。


妻;
「そうですね、聞きましたわ。でも主題については驚いたんですの。 
夫はたったの2回しか乗ったことが無いんですから。 
最初の時なんか、皮膚がただれてしまってほとんど歩けない状態
でしたわ。 2回目ときたら、転げ落ちちゃって。」



nice!(39)  コメント(8)  トラックバック(0) 
共通テーマ:住宅

nice! 39

コメント 8

わかって建築家

お久しぶりです。

うーん さすがです。勉強になります。
by わかって建築家 (2010-10-28 08:44) 

小父蔵

油断は危険ですが、神経質になるのもどうかな… バランス感覚って一番難しいかも知れませんね^^;
by 小父蔵 (2010-10-28 23:13) 

こう

技術は進歩すべきですが、どうもそうじゃないらしいですね。
でも、商売のためにわざとだったりして・・・
あと、住宅性能の評価基準のせいもあるのでしょうか?
by こう (2010-10-29 01:52) 

toyo

わかって建築家 様

おはようございます。
参考にしていただければ嬉しいです。

シロアリに対する反応って、極端な場合がとても多いんですよね。
①ものすごく怖がる人、と
②全然怖がらない人

で、①の人は悪徳業者に簡単に騙されてしまうタイプが多い。
②の人は、大被害になるまで気がつかないタイプ・・といいますか。
どっちの人もなかなか私の言うことをわかっていただけないので
こんな記事を書かせていただきました。やっぱりバランスをもって
判断することが大切だと思っています。バランスって何事についてもいえることじゃあないかな?と思っています。

わかって建築家様にいいことがありますように。
ありがとうございました。

by toyo (2010-10-29 08:35) 

toyo

小父蔵 様

おはようございます。
>バランス感覚って一番難しいかも知れませんね^^;

たしかにそうですよねえ。
渦の中に巻き込まれると・・当事者になるとバランス感覚を保つ
ことって、実際は難しいシーンが多いと思います。
う~ん、難しいですね。
判断の前提となる情報そのものが間違ってる場合は尚更ですね。
シロアリについては、間違った情報が一人歩きをしている場合が
とても多い気がします。業界の責任でもあると思います。

小父蔵 様にいいことがありますように。
ありがとうございました。

by toyo (2010-10-29 08:44) 

toyo

こう 様

おはようございます。
>商売のためにわざとだったりして・・・
>住宅性能の評価基準のせい・・・

あー、これは残念ですが、ある、と思います。
いや、あるんですよね~、実際(笑)

商売がうまくいかないと、人間って悪魔にもなっちゃうと思います。
そういうときほど矜持が大事だと思うんですが、難しい・・ですね。
追い込まれたときほど人間って本質が出るみたいです。
悪魔にはなりたくないですが(笑)

こう様にいいことがありますように。
ありがとうございました。

by toyo (2010-10-29 08:51) 

福智山

本当に具体的に、かつ「事実」に忠実に

シロアリの生態?との関係で住宅のつくりについて
語られていて、

良心的で参考になる記事だと思います。

まとめで述べられていた「バランス感覚」の必要、
というのは本当にそうですね。

逆に言うと、そうしたバランス感覚を感じさせる業者さん
こそ信用できる、ということだと思います。

また、伝統的な家づくりの知恵、
本当に、できるだけ多くの人に広まってほしいですね。

けっこう多くのモデルハウスを見学したり、建築屋さんたち
と接したりしましたが、

以上のような「バランス感覚」や「伝統的な家づくりの知恵」
を――片方でも――もっている人の数は寥々で、イメージを
売るか、セールストークに長けた人が圧倒的に多い、という
印象でした。

このブログに学んで、業界外の一般人が賢くならないと
いけませんね。




by 福智山 (2010-10-30 23:26) 

toyo

福智山様

いつもお付き合いいただいて感謝申し上げます。
お礼が遅れてすみませんでした。

あの~、ちょっと褒めすぎですよぉ~(笑)
私はそんなに大したことを書いてるつもりはないんです。
でも、参考にしていただけたらほんとに嬉しいです。

おっしゃるように・・
>また、伝統的な家づくりの知恵、本当に、できるだけ多くの人に広まってほしいですね。

同感です。新工法にもいい点はいっぱいあると思いますが、
伝統的な家づくりの知恵も活かしてほしいです。
なんといいますか、目先の快適性よりも、やっぱりその土地の気候風土をよーく、見極めた上での新工法であってほしいと思います。
生意気言っちゃった(笑)

福智山様ご家族がいつもハッピーでありますように。
ほんとに好意的なコメントをありがとうございました。

by toyo (2010-11-01 23:44) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。