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敷炭についての疑問? [炭]


皆さん、こんにちは。

最近の施工写真を見てください。 
といっても今日はシロアリではなく炭を敷いた写真です。 
炭を敷くので「敷炭」(しきたん)と私は言っています。 
で、よくこの敷炭の効果についてお客様から同じような質問を受けます。

おそらく同様の疑問をもっている方が多いような気がしますので、
それについて書いてみます。 まず代表的な疑問(質問)ですが・・・

  1. 「床下に敷いた炭が水分を吸うのはわかるけど、その水分を
    吸った炭はそのままでいいんですか? 
    取り出して乾かさなきゃあダメでしょう?」

  2. 「炭は、床下の全面を地面が見えないように覆わないとダメ
    じゃないんですか?」

まずについてですが、なるほど「炭の吸湿作用」は納得するけど、
では、たっぷり水分(湿気)を吸った炭をそのまま床下に置きっぱなし
にしておいたら、返って逆効果になりそうな気がするから、時々は
床下から取り出して「天日干し」しなきゃあ・・・
つまり乾かして水分を干さなけりゃダメなんじゃあ?・・・という疑問ですね。

ところが乾かさなくてもいいんです。 
何故っていうと炭には排出作用(機能)があるからです。 
「炭は吐くから偉い!」
と何かの本で読んだ記憶がありますが
まさにその通りです。 ・・・・といっても、まだ???だと思います。 
その前に「四季の変化と、それにともなう床下の湿度変化」について
説明しないと理解しろと言っても無理かもしれませんね。 

私はよくお客様にこうお聞きします。 
(これは依然も書いたことですが)
「夏場と冬場ではどっちが床下は湿気ると思いますか?」
すると大抵の人はこう答えます。(大体90%くらい)
「そりゃあ、冬場でしょう。 外が雪や霙でグジャグジャしてるからね。」
皆さんもそう思いませんか? 
単純にそう思い勝ちですよね。 

ところが正解は、冬場は床下はとても乾燥しています。 
反対に、夏場の床下は結露が出るくらい物凄く湿気っています。 
もしウソだと思ったら猛暑の夏場に一度床下を覗いてみてください。 
ビックリするはずです。 ベタ基礎の場合も同様です。 基礎の側面に
細かい水滴(結露)がびっしり付いているのを目撃するはずです。

なぜこういう現象が起こるのかについては、物理の好きな人なら簡単に
わかると思いますが、恥ずかしながら物理嫌いの私には長いこと分かり
ませんでした。 
セミがうるさい猛暑の日ほど、どこのお宅の床下も濡れているのを何度も
何度も目撃しながら分かりませんでした。 
きっと元々湿気っぽい地盤のせいだろう?くらいにしか思っていませんでした。

同様に冬場の床下がなぜ乾燥しているのかも・・・・私の頭脳の程度が
知れますね。 
もっとも、ある大学教授が自宅の「床下の湿度変化」を4年間にわたって
湿度の変化を調査したときに、同様に夏場の結露の凄まじい現象を体験して、
誰かが通気口からホースで水を床下に撒いたんじゃあないかと思ったほど
ビックリしたといいますから・・・

この結露の凄まじい現象というと御存知かもしれませんが私は「動燃の
低レベル放射性廃棄物の話」を思い出します。

動燃の低レベル放射性廃棄物の地下貯蔵庫に、最初は水が50センチ
溜まっていたという話です。 
慌てた関係者は、水が外部から染み込まないように更に防水工事を
したといいます。 つまり、その地下貯蔵庫の水は地下から湧いてどこか
ヒビ割れから侵入したと考えたわけですね。 
それで更に防水工事をした。 
 
ところが、その結果さらに水位が4倍に増えて2メートルも水が溜まって
放射性廃棄物の入っているドラム缶がプカプカ浮いていたという話(事実)。 
つまり水の浸入口はドアの隙間の「空気の入る道」でした。 
空気中の湿気が冷たい壁や天井などに触れて結露したものだったそうです。 
徹底した防水工事が逆に2メートルも水位を押し上げた原因でした。
 
実はこれと全く原理で同じ現象が夏場の床下で起こっています。
・・・・といったらご理解いただけるでしょうか。

ずいぶん炭の話から脱線していると思われたかもしれませんが、
実は大いに関係があります。 炭には、この夏場の結露の原因となる
空気中の水分を「結露が起きない程度に吸収する力」があります。 
ですから猛暑の夏場でも床下が湿気ることはありません。 

で、では吸った水分はどうなるかと言いますと・・・冬場に吐き出します。 
寒い冬の空気はとても水分の少ない乾燥した空気です。 
そこへ吸った水分を炭が吐き出します。 
「炭は吐くから偉い!」というのはこういう意味です。 
なんとなく分かっていただいたでしょうか?
 
空気の性質として、空気は温度が上がればあがるほど水分を沢山
取り込むことができます。 
そしてこれ以上取り込めない状態(これを露点温度というそうです)のとき
「結露現象」が起こります。 反対に温度が下がれば下がるほど空気は
水分を取り込めなくなります。 
だから冬場の床下は「乾燥」しているわけですね。

ということで床下に敷いた炭は「ほっておいてもいい」わけです。 
これは屁理屈ではなくちゃんとした実証データーで確認されています。 
但しこれには炭ならなんでもいいというわけではありません。 
吸・排出に優れた炭でなければなりませんね。 
それに床下が密閉状態では「外の空気が入りません」から通気もよくする
必要があります。 

何故って?「外の空気が床下に自由に出入りできる環境」でなければ
夏場の湿った空気を外に排出することも、また冬場の乾燥した空気を
取り込むこともできないからですね。 
ちょっとしつっこい説明でしょうか。

・・・・すると通気がいいなら炭なんて必要ないんじゃないの?
と言われそうですがそうではないのです。 木材腐朽菌の繁殖を完全に
止めるには通気だけでは不十分だからです。 

では、そもそも木材腐朽菌とはどういう菌で、それはどういう状況で繁殖
するのか?・・・・こういったことは家の寿命を伸ばすためにはとても
本質的で重要なことなのですが・・・・
という説明も必要になってきそうですが、きりがないのでその説明は
別の機会にさせてくださいね。 

については・・・すっかり長くなったので次回にさせてくださいね。
それに退屈な文だったと思います。 
ここまで読んでいただいた皆さん、感謝します。 
だってふつうは興味のない話ですものね。

でも、「夏場の床下はものすごく湿気るという非常識な事実」を知って
いる人はとても少ないと思いますので、覚えておいて損はないと
思いますよ。 

それでは皆さん、ごきげんよう!


 


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たいせい

 うちの床下は、素焼きの壺(同業者の不良品をもらってきました)にクズの炭を積めて沢山置きました。
 「地面を覆わないとダメなのかどうか?」に、大変興味があります。
 その2を楽しみにしています!
by たいせい (2007-11-09 08:51) 

toyo

たいせい様

いつもコメントありがとうございます。
たしか以前のコメントで瓦を砕いたものも使用されているように記憶していますが、それも今回の素焼きの壺と炭の利用法もとてもいいと思います。
廃材の有効利用にもなりますし壷も瓦もセラミックですから吸排出機能が優れているのは間違いないですしね。廃材になった瓦を細かく砕いて商品化したら面白いかもしれませんね。
by toyo (2007-11-10 13:23) 

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