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シロアリのシェルター  続き [シロアリ]


皆さん、こんにちは。

どうも前回の「シロアリとシェルター」は下手くそな説明でいまいちピンと
こなかったのではないでしょうか? 自分でも読み返してみてそう思いました。 
それで途中から文章をいじったりしてみたのですが・・・
それでもこれじゃ伝わらないなあと思いました。

それで、もう一度説明し直したいと思います。 

まず、私の7~8年前の経験からお話したいと思います。 
それは羽アリのシーズンに入った5月頃の出来事だったと思います。 
ある奥様から悲鳴に近い電話をいただきました。

  • 奥様 「羽、羽アリが家中にいっぱいいます!す、すぐ来てください!」
  • 私  「羽アリの発生した場所はどこですか? お風呂場ですか?」
  • 奥様 「お風呂場も出ています。 でも、玄関も和室も台所も洋間も・・・
        とにかく全部の部屋から出ています!」
  • 私  「ぜ・・全部の部屋から・・ですかぁ?!」

で、住所をお聞きすると、4~5年前に私が床下調査をしたことのある家だった
のでビックリ! 記憶を辿ると、たしかあの家は床下が過乾燥気味なくらい乾いていて
・・・それは土壌の10センチくらい下に、防湿ビニールシートを張ってあったからで・・・
などを思い出しました。 
だから予防すら必要なくて、おそらく私とは一生縁のない家と思い込んでいました。 

そう考えると、ますますこれはシロアリじゃあないな、と思いました。 
あんなに床下がカラカラに乾いていてシロアリなんか出るはずはないしね。 
だから、この奥さんはきっと小さなハエかユスリカをシロアリの羽アリと思い込んで
慌ているのだろう。 

それに、ふつうは、お風呂場か玄関または勝手口とか「部分的な場所」から集中して
出るのが一般的な羽アリの出方です。
 
ところが、お邪魔してみると!それは確かにシロアリの羽アリに間違いありませんでした。 
しかも、奥様のいうとうり各部屋中に大量の羽アリがあちこちに散在しています! 
どの部屋の窓にも羽アリが内側のガラス面にびっしり蠢いています。 
えー!これって一体どういうことだぁ?!

とにかく床下にもぐってみよう、ということで前の調査では「床下がカラカラに乾いていて
シロアリなんか出るはずはない」と思っていた床下に再度もぐってみたら・・・
(残念ながら、そのときは私も慌てていたので写真を撮る余裕がありませんでしたが。)

そこで見た光景は!
外基礎の内側に数え切れないくらいの蟻道が土台に登っている光景でした。 
こんな経験初めてです。 赤っ恥をかいた気分でした。 
だって、4~5年前の床下調査のとき、私はたしか奥様にこう言ったと思います。 
「ここまで乾燥していたら、おそらく一生シロアリの心配はないと思いますよ。 
予防すら必要ないです。 逆に過乾燥で土台にひび割れが起きるかも。」
・・・なんて言い切ってしまったんですから。

これはどういうことでしょうか? 

つまり、ビニールの下の土壌に地下からの水分(蒸気圧)が発散できずに年毎に
溜まってしまい、とうとう臨界点を超えたのだと思います。 
コップに水を注いで・・・コップの上辺まで水位が上がり・・・しまいに、こぼれた、
というイメージでしょうか。 

それまでも、大工さんがビニールシートを張っている光景を見たことは何度か
ありました。 
きっと単純に地下から登ってくる蒸気ならビニールシートで押さえ込めばいいと
大工さんは考えたのでしょう。 私は反対だと思いましたが、大工さんの顔を潰す
わけにもいかないのでまあ短期的にはそれでもいいだろうと思いました。

でも、それが原因で部屋中にシロアリが登ってきた光景を見てからは、
以後ビニールシートを張ってある場合はできるだけ撤去することにしています。 
今ではこの「地下から登ってくる蒸気」は「押さえ込む」のではなく「発散させる」ことが
絶対いいと考えています。 床下の自然通気を良くすることです。 
具体的には通気口を増やすことですね。

ところで、このビニールシートをベタコンに置き換えてもまったく同じことが言えます。 
ベタコンの目的は地盤強化ですが、同時に「地下から登ってくる蒸気」を「押さえ込む」
点ではまったくビニールシートと同じです。 
するとベタコンの場合、怖いのは「ひび割れ」と「漏水」になります。 

で、ちょっと脱線しますがベタコンに「水抜き穴」がないと漏水した場合にどうしようも
なくなりますので床下がベタコンの皆さん、確認してくださいね。 これ大事なポイントです。 
配管の接着がいい加減で漏水している家ってけっこう多いんですよ。 

(昔、床下調査をしようと畳を上げて床板を剥いで床下を覗いたら・・
なんと!そこに自分の顔が見えた!ことがありました。 つまり床下が20センチくらいの
水位でプールになっていたのです。 その水面に自分の顔が映って見えたわけです。 
漏水に気がつかなかったのですね。 そういえばお客様は半年位前から水道料が高く
なってなぜだろう?と、思っていたとおっしゃっていました。)

昨年、似たような工事をしましたので、そのときの写真をお見せします。 
参考にしてくださいね。 もし現在同じようなつくりでしたら早めにビニールシートは
撤去することをお勧めします。 これも大事なポイントです。 
ビニールシートの下はシロアリにとっては快適な環境ですからね。 しつっこい。

ご覧のように土壌は乾燥しきっています。 
これは土壌の10センチくらい下に防湿ビニールシートが敷いてあるからですね。 
基礎の近くにそのシートの端が見えると思います。
 
 

 
同じく手前のほうの土壌はカラカラに乾いています。 
でも基礎近くは湿っているのがわかると思います。 これはビニールシートの下に溜まった地下からの
水分が、臨界を越えてシートの端からあふれ出たからです。

 


 これも同じ現象です。 水を撒いたわけではないですよ。

 

 
 これも同じ現象。 しつっこいですね。

 

 
これは水分を押さえ込むのに破綻した場所から、シロアリが一挙に蟻道をつくって
土台に到達した様子です。 
ビニールシートがシロアリを誘発する結果になってしまいました。

 


上と同じです。 こうしてシロアリは土台に向かってきます。

 


これは浴室の真下です。 
奥に見える筋上の何本かの線がわかりますか。 これが蟻道です。

 

最後に・・・なんかくどい説明になってしまったようです。 

とにかく地中からの湿気は「押さえ込む」より「吐き出させた」ほうがいいと
言いたかったのです。
ご覧のように、下手に押さえ込もうとすると、かえってシロアリから逆襲されて
しまいますからね。 
これはベタコンについても基本的には同じです。 

それでは皆さん、ごきげんよう。 
しつっこい説明でごめんなさい。


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コメント 4

南雲しのぶ

建物の管理って大変ですよね。
特に床下は普段目に見えないだけあって気づいた時には厳しい状況になっていたりすることがあります。
私も職場で施設管理の担当もしているのですが、担当になるまで気づかなかったことが沢山ありました。
コンクリ造なら放っておいて良いのかと思っていたらかなりコマメにメンテナンスしないとダメだったり。
面倒でもキチンと管理する事で長持ちさせることができるのですよね。
by 南雲しのぶ (2008-02-13 08:07) 

toyo

南雲さん、ありがとうございます。
おっしゃるとうりですよね。どの分野でも一般の人が知らないでいることは多いと思います。私も仕事をするたびに、そこの御主人から異業種のことで教わることがとても多いです。おかげで雑学ですが裏情報については少し詳しくなりました。
by toyo (2008-02-13 08:51) 

アキラ

私も同じ理由から、床下防湿シートは施工しない方が良いと思っています。
その実、我が家は約12年程前に建て直しましたが、防湿シートはナシで基礎を造らせました。

私たち建築業者は、「設計図通りに」家を造る義務があります。
設計図に、「床下防湿シート」と指示されている場合には、「質疑応答」で、ナシぢしても良いかどうかを問い合わせますが、「どうしても図面通りにやれ!」と言う設計士も多いのです。
理由を言っても解って貰えず、せめぎ合いで、仕事をなくす事もありますよ。
by アキラ (2008-02-13 11:04) 

toyo

アキラ 様
そうですよね。いくら説明してもわかってもらえない場合ってありますよね。
悔しいけど現実は手強いです。最近では・・・お客様から外壁塗装の依頼がありました。私はどうみても外壁が傷みすぎているので反対して、張替えをしたほうがいいですよ、と説明しましが・・・結局、他の業者に塗装を依頼したようです。その塗装もかなり高額でもったいないなあと思いましたが仕方ないというか・・・私の説明能力が足りなかったのかもしれませんが。
それにしても良心的な塗装業者なら絶対受けないくらい傷んでいたのにねぇ・・なんて愚痴ですね。
by toyo (2008-02-13 12:22) 

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