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どうにも止まらない [シロアリ]


皆さん、こんにちは。

たとえば皆さんは羽アリが発生して、私たち業者に依頼したら
100%駆除できると思いますか? 
そんなこと当たり前だろう。 高い金を出して依頼するんだから
完全に駆除するのが当たり前じゃないか!
・・・っていわれそうですね。

シロアリ業者のどのホームページを見ても「当社が一番!どんな
シロアリでも完全に駆除します!」みたいな宣伝していますよね。
だってショーバイですからね。 そういわなきゃあ・・です。

でも、実際のところそうでもないんですよ。 これは秘密事項だから
本音はどこの会社も言いたくないでしょうが、大体5~10パーセント
くらいのクレーム率じゃあないかなと思います。 
つまり駆除しても翌年羽アリが再発する確率ですね。

私の場合は大体100件駆除して1~2件の再発があります。 
他社に聞くともっとあるらしいからまあいいかなんて・・・無責任ですね。 
私たちにとってまあいいかでも、再発したお客様にとってはそれが
全てですものね。 
「なんだ!あの業者は腕が悪いなあ!」と言われても一言もありません。

で、なんでこんな黙ってりゃあいいことをわざわざバラすかというと
・・・ちょっとだけ言い訳させてほしいからです。 

まず羽アリが再発する原因は・・・

  1. 業者の腕が悪い(これは言い訳できません)
  2. 建築構造の多様化
  3. 雨漏り

・・・が考えられます。 
1は勿論言い訳無用です。 2と3について説明させてください。 
まず2について・・・

最近「床下に潜れない構造の家」が増えています。 
調査の為にはふつう 床下収納庫をお借りします。 
それが設置されていない場合は和室の畳を上げて床板をカットして
床下に潜ります。 
ところが最近このふたつとものない家が増えています。 

また、壁も大壁工法がふつうで真壁の家って滅多に見かけなく
なりました。 (真壁って柱がむき出しになっているアレです)
大壁工法は柱が隠されて見えないので結露やシロアリで傷んで
いても剥がさない限り確認できません。
 
そんなら内視鏡みたいな検知器とか、それなりのシロアリ探知機が
あるんじゃないの?って言われそうですが・・・
それもどうも使い勝手が悪いのと確実性に疑問があるので私はパス。 
あんた機械音痴だろっていわれればハイそうですって言うしかない
のですが。 
 
(ちょっと脱線しますが以前、週刊誌に載っていた盗撮写真でスカート
の中が透けて見える写真・・・アレってホントなのかしら? 
そんなカメラあれば便利かも。 勿論、壁の中のシロアリを見つける
ためです。 どなたかそんなカメラがあったら教えてください。 
決して悪用しませんので・笑)

で、3の雨漏り。 これには手を焼きます。 
昔、こんなことがありました。 二階の部屋と階段の踊り場と
トイレから羽アリが大量発生。 でも床下に潜ったら明快に原因で
ある蟻道を特定できました。 これなら100%完璧に駆除できる。 
自信満々。 

ところが、翌年まったく同じ場所から羽アリの大群が発生! 

私にとってはありえないことが起こりました。 
再調査で床下に潜ったら処理したはずの箇所に見事に新しい蟻道が
作られていました。

詳しく聞き取りをしたら、実は数年前からトイレの天井から雨漏りが
していたとのこと。 大工さんに見てもらっても雨漏りの箇所が特定
できず結局そのまま。 
その後羽アリが発生して私が(初回)呼ばれたという事情がわかりました。

これはもう何がなんでも雨漏りの箇所を特定して止めてもらわないと
何回駆除しても無意味です。 
で、別の大工さんに依頼したら外壁の一部を2階まで剥がしてやっと
雨漏りの箇所を特定できました。 修復のリフォーム費用もだいぶ
かかってしまったようですが、それで完全駆除にやっと成功。

大壁工法の場合も似ています。
つまり原因箇所がなかなか特定できない。 クロス壁を解体すれば
特定はできますが実際問題それは不可能。 だってそのぶん余計な
メンテ代がかかってしまうからです。 

つまり、手術に例えるとなるべく開腹しないで病気を治すことが
私たちには要求されます。 
外科手術をしないで内部のシロアリというガンをやっつけるのが
私たちの仕事です。
(もっとも被害がよっぽど大の場合は大工さんに開腹?してもらい
ますが・・。) 

ここまでの説明を皆さんは、そりゃあ言い訳だと思いますか?
「言い訳」にとられれば言うことなしです。 
すみませんというしかないです。 

それから、これは何度も書きましたが「化粧モルタル」「内・外断熱
工法」これもシロアリの侵入経路を特定するのに大きな障害に
なっています。 
個人的にはこれら「柱を隠す大壁つくり」「化粧モルタル」「内・外断熱
工法」は駆除しても羽アリの再発につながりやすいと考えています。

お客様の前ではこういうことはとても言いずらいので我慢するしか
ありません。 
だって、私がお客様の立場だったらこう思って当然だからです。 

「シロアリを止められないシロアリ業者なんて。 お前は三流だな」
・・・と。

・・・やっぱり言い訳なんでしょうね。 ああ恥ずかしい。
(でも、私は逃げたことはありません。 何度も駆除を繰り返す私を見て
きっと、お客様は呆れているでしょうね。 ああ恥ずかしい)

反対に自分の推理が当たって一発で駆除できたときの達成感は
格別ですが・・・。 
達成感と激しい落ち込みの繰り返しの日々。 
ああどうにも止まらない・・・。

それでは皆さん、ごきげんよう。 

(写真は最近の工事から。) 

 H20,5,8,アンリ2 014.jpg
 H20,5,8,アンリ2 015.jpg

 (床断熱材の中にシロアリが侵入。)
 H20,5,8,アンリ2 023.jpg
 H20,5,8,アンリ2 024.jpg
 H20,5,8,アンリ2 020.jpg



 _羽アリの区別_NEW.jpg
(4月~6月は羽アリに注意してね)
(もっと詳細を知りたかったら私のホームページを参考にして
くださいね。全然更新していませんが・・・。
http://www.niigata-boucyu.com/
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roy

専門の方にも
こういう風に説明してもらえたら すごくわかります
覆って見えなくなってしまうのが一番いけないのですね
本当に メンテナンスのことを考えて家を作らなきゃいけないんだな
と 実感です

by roy (2008-05-21 08:54) 

toyo

roy 様

住生活基本法ではこの「メンテナンスのことを考えた家造り」が骨子のようで、それはいいことだと思います。
ただ、今現在、家をお持ちの方に対しては不親切だった、ともいえますよね。これから家を建てるときは~もいいですが、今現在住んでいる家のメンテについても考えてほしい気がします。その点では昔の家のほうが数段優れていたんですからね。コメントありがとうございます。
by toyo (2008-05-21 09:18) 

toyo

しゃくとりむし様
一真様
ijimari様

nice! いつもありがとうございます。




by toyo (2008-05-21 09:40) 

plusgate

なるほど。読んで納得しました。
こうやって記事にする当たりがすごいと
感心しながら読ませていただきました。
床下にもぐれない家ってそんなにあるんだと、
びっくりしてしまいました。
必ず、どこかにはつけないと
白蟻に限らず、給排水のトラブルがあったら、
どうするつもりなんでしょう・・・

by plusgate (2008-05-21 19:57) 

マルコメX

わたしもtoyoさんのご説明を読んで、なるほどと納得しました。
でもあれですよね、お客さんに「お宅の家屋の構造に問題があるので・・・」とは言いづらいでしょうね。しかし、事実を教えてあげない限り、いつまでも問題は解決しないわけだし・・・難しい。
by マルコメX (2008-05-21 20:02) 

denn

実は・・数日前に 羽蟻の大群が出ました^^
家は鉄骨とボードの家なんすが・・・ 
台所の裏辺りから(物置が設置されていて特定できない)ゾロゾロ・・・・
台所の床が 最近ブワブワしてきたんで><
休みの日に床下収納から潜ってみようかと思ってます^^;
by denn (2008-05-21 21:00) 

toyo

plusgate 様
ありがとうございます。
建築関係の方にそう言っていただけるととても嬉しいです。
床下を全部チェックできる点検口は絶対欲しいです。

それと御指摘の給排水のトラブルって意外と多いんですよ。
だって、CMの「水のトラブル~」とかいう設備会社っていつも大忙しですからね。給排水のトラブル+ベタ基礎=床下がプールになる。
だから、ベタ基礎の場合は絶対「水抜き穴」が必要ですが、これも意外と無い家が多いんです。
コメントありがとうございます。

by toyo (2008-05-22 00:28) 

toyo

マルコメX 様
ありがとうございます。
おっしゃるとうり言い方を間違えると責任回避にとられるので難しいです。
なるべく冷静に話すようにはしているんですが・・。

かと言っていわれたお客様のほうでも困ってしまうでしょうね。
駆除以外の予期しないメンテ代がかかってしまうわけですから。

やっぱり難しい・・・です。
コメントありがとうございます。
by toyo (2008-05-22 00:33) 

toyo

denn 様
不安な気持ち、お察しします。
でも、鉄骨なら家自体がどうこうなる心配はないですから焦らないでくださいね。
断言できませんが、台所のぶかぶかって(シロアリが原因の場合もありますが)私の経験では8割が板自体の劣化です。床板の見た目が傷んでなければ床下から「垂木」(たるき)を数本追加補強してあげれば素人でも簡単に直すことができますよ。単純な構造ですから床下にもぐって観察すればわかると思います。
(あとは羽アリの発生場所を特定できればいいのですが・・。)
コメントありがとうございます。
by toyo (2008-05-22 00:43) 

denn

そうか^^床下から支え上げるのも手ですね^^
思わないところで参考になりました^^それなら出来そうです!
床下探検楽しみになりましたよ^^
ありがとうございます^^
by denn (2008-05-22 05:58) 

こう

見た目重視と新工法の弊害ですね。
やはり伝統構法の家が一番のような気がします。
by こう (2008-05-22 08:42) 

toyo

denn 様
どういたしまして。
さらにわからないことがあったらdenn 様の床下の写真をdenn 様のブログに載せてください。アドバイスならいくらでもしますから。
by toyo (2008-05-22 09:02) 

toyo

こう 様
おっしゃるとうりだと私も思います。
nice!&コメントありがとうございます。
by toyo (2008-05-22 09:04) 

kappa

相手が生き物で木の中に隠れているわけですから、一発完全駆除が難しいというのも分かる気がします。
施主としては、点検しやすい構造を選ぶくらいしか出来る事はなさそうです。
因みに、防蟻処理を5年毎に行えば、被害に遭う確率が大幅に低くなるものなのでしょうか。
by kappa (2008-05-22 21:15) 

toyo

kappa 様
>因みに、防蟻処理を5年毎に行えば、被害に遭う確率が大幅に低くなるものなのでしょうか。

これはちょっと答えに窮してしまいます。
商売としてはそうですし、実際被害に遭う確立も大幅に低くなると思います。だからそのとうりです、といいたいのですが・・・個人的には5年ごとにすることはないと思います。特に化学薬剤の場合はリスクも伴いますので。あーどうしよう。
5年過ぎたら点検だけでいいのでは・・というのが私の本音です。
nice!&コメントありがとうございます。
by toyo (2008-05-22 22:15) 

たいせい

 屋根屋さんの話を伺っていると、雨漏りの修理も同様なことが結構あり、とりあえずプロとして対策はするものの、本当の原因がよく解らずに修理に望む場合も結構あると聞いています。(ただ経験による推定により、かなりの確率で止められるそうです)
 どうやっても雨漏りが止まらず、最終的に原因が壁にあったと言う例なんかを耳にする場合もあります。
by たいせい (2008-05-23 14:00) 

toyo

たいせい様
そうですよね。
かなりの腕の大工さんでもなかなか雨漏りは手強いと私も聞いています。
かといって雨漏り調査のプロに依頼すると10~15万かかるそうですね。
雨漏りとシロアリってけっこう関係あると私は思っています。
nice!&コメントありがとうございます。


by toyo (2008-05-24 08:27) 

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