腐っているのに腐ってない? [炭]
皆さん、こんにちは。
腐っているのに腐っていない・・・
というのはヘンな言い方ですが正直な気持ちでした。
何のことかといいますと、先日9年前に工事をさせていただいた
家を再調査したときの感想です。
この家は平成7年に完成して、4年後の平成11年にシロアリ駆除
させていただきました。 シロアリ被害としては大だと思います。
大引きや束柱が相当食べられていましたから。
(たぶん完成1~2年後にシロアリが侵入したものと思います)
で、そのときシロアリ被害以上に気になったことがあります。
それは強烈な湿気でした。 カビの臭いもムンムン。
このままでは腐朽もかなり進行しそう。
そこで炭(竹炭粉砕炭)を敷かせていただきました。
で、その結果はというと・・・・カビの進行は完全にストップして
いました。 カビ臭も見事にゼロ! これはお客様に頭を床下に
突っ込んでくんくん嗅いでもらって確認しました。
(こりゃあ、炭が効かなかったのかなあ? 参ったなあ)
・・・と思いました。
でも、カビの臭い・・9年前のあのキョーレツな臭いはまったく
しないのです。 へーっ?これってどういうことなんだ?
腐っている(風に見える)のに腐朽菌特有のカビ臭がまったく
しないなんて理屈に合わないぞ?
で、束柱の腐っている風に見える部分をドライバーで突っついて
みたら・・あら不思議! ふつうならズボッと突き刺さってもいい
はずなのに堅い!しっかりしていて全然大丈夫!
つまり、腐っているのに腐っていなかったのです。
腐っているように見えたのは「変色」でした。
地下からの水分が束石→束柱と染み込んではいるのですが、
束柱の強度そのものはまったく落ちていません。
これはどう解釈したらいいのかなあ?
ふつうならコレくらい木が水分を吸い上げて含水率が高くなれば
当然、次は腐朽菌が繁殖して当たり前。
それなのに繁殖していないのは・・・(腐朽菌は空気中を「胞子」で
漂っていて着床すると繁殖を開始します。)
ところが繁殖を開始していません。
ということは炭には胞子(腐朽菌)を取り殺すチカラがありますが
・・・そのせいかしらね?
補足すると「胞子を取り殺すチカラ」とは炭そのものにあるわけ
ではなくて炭の孔に住み着いた放線菌とか微生物のチカラです。
炭の脱臭力も、その住み着いた微生物が臭いの成分を分解して
しまうからです。 この微生物は自然界のどこにでもいます。
炭の孔は一律の内径ではなく大小さまざまです。
それでいろんな種類の微生物が炭の孔に住み着くことができる
というわけです。
炭の力とは実はこの住み着いた微生物のチカラのことです。
参考http://www.sanriku-pub.jp/olive28.iwashita.html
今までは敷炭の効果の理由として・・・
床下に炭を敷く→床下空間の湿度が下がる→土台等木部の
含水率が下がる→従って腐朽菌が木部に着床しても繁殖できない。
・・・というふうに考えていました。
でも、それでは説明がつかない現象が起きていました。
床下に炭を敷く→床下空間の湿度が下がる→土台等木部の
含水率は下がっていない、むしろ地下からの水分をたっぷり
吸い上げて木部が変色するほどの高含水率の状態→それなのに
腐朽菌は繁殖していない。
・・・一体これはなぜ?
どうも高含水率の木材に腐朽菌の胞子が着床しようとする前に、
放線菌とか微生物に空気中の胞子が捕獲されてしまう、ということ
らしいです。
これがもっとも合理的な解釈じゃあないかな、と私は思っています。
とにかく木部が変色するほど高含水率の状態なのに、腐朽が
ちっとも始まっていない!というのは驚きでした。
別の言い方をすると・・・たとえば水中貯木は川に木材を漬けて
高含水率にしても水が「酸素」をカットするから腐朽は起こらない、
とこの間、書きましたが・・・敷炭の場合は、炭の中の微生物が
腐朽菌の胞子をカットするから腐朽は起こらない・・・ともいえそうです。
でも、この写真を見ると
「なんだ腐れが起きてるじゃん。炭ってたいしたことないなあ~」って
勘違いされそう。 見た目のイメージ悪いなあ。
「いや、アレは腐れじゃなくて変色ですよぉ・・・」なんて言ってもね。
見た目は失敗、でも実質成功なんですけどね。
皆さんも、もしなんの説明なしにこの写真を見せられたら、まず腐れが
始まってるって絶対思いますよね。
こりゃあ説明に一苦労しそう。
ついでに「床下調湿剤」を敷いた部分も見てくださいね。
ちょっと判りずらいかしら?
「床下調湿剤」」の本来の色は白っぽいですが土壌の水分を
吸い上げて茶色に変色していますね。
つまり、ハッキリいうと床下調湿剤がすっかり飽和状態で「土壌化」
しています。 もっと「増量」する必要がありそうです?
「床下調湿剤」を敷いた真上の床板の裏側の状態です。
茶色っぽいのは全て褐色腐朽菌です。
これは「床下調湿剤」には炭のように「微生物が繁殖する
ことはない」からだと私は思っています。
だから腐朽菌は元気に繁殖しています。
炭と「床下調湿剤」のチカラの差は、孔の中に微生物が
繁殖できるかできないかの差だと思います。
(実はこれが私が炭にこだわる理由です。)
ただしどんな炭でも炭は炭と考えると失敗します。 酸性質の炭より
アルカリ質でないと腐朽菌を取り殺すことは難しいと思っています。
最後までお読みいただいた皆さん、ご苦労様でした。
今日は退屈な内容だったと思います。 ほんとにありがとうございます。
お礼にジョークをひとつ・・・
ルーブル美術館にて<ジョーク>
醜い女が美術館を訪れた。
彼女は何度もガイドに質問する。
「この絵はルノアールですか?」
「いえ、奥様。モネです」
「これは、マネ?」
「いえこれもモネです」
「あれはユトリロでしょ」
「いえ、ロートレックです」
「これは間違いない!ピカソだわ」
「いえ、奥様あれは鏡です」
それでは皆さん、ごきげんよう。
1.じゃ、ボクは炭をパンツの中に入れることにします。
2.「奥様、あれは・・・いや別に良いんです」と言われたらもっと感じ悪いような。
by マルコメX (2008-07-20 06:11)
マルコメX 様
1について。
既に、炭粉を繊維に練りこんだ下着は商品化されていますので、それがいいかも・・・ということではなく、もしかしてそれってさりげなく
「僕のパンツの中の束柱?は、いつも高含水率でギンギンなんだぞー!」って自慢してるんじゃあないですよね?ね?
2について。
私なら・・
「ビンゴ!!奥様自身がピカソの作品そのものです!」って
・・・言わない言わない。
いつもnice!&コメントありがとうございます。
by toyo (2008-07-20 10:13)
一真様
いつもお読みいただいてありがとうございます。
by toyo (2008-07-20 10:14)
toyo様、1につきまして。
ご明察・・・しかし「高含水率」って、文章で読んでみると割かしリアルなモノを想像してしうのは、わたしだけでしょうか。
by マルコメX (2008-07-20 18:02)
今まで、炭を使った商品の宣伝には少し疑っていましたが、本当だったのですね、改めて凄さに驚きました。
by yanasan (2008-07-20 20:25)
結局は調湿材を使っても水分の容量が増えるものの、水分の供給量と放出量のバランスが取れないと、飽和してしまって同じ事ではないのかと思っていました。
sっきんこうかが有ると言われている銅製品なども有効なのかも?
PS.
先日アキラさんとお話しした際に、toyoさんの下ネタやジョークは最高だとおおいに盛り上がりました。
こちらの方も楽しみにしています!
by たいせい (2008-07-21 13:49)
☆醜い顔も、ある意味芸術といういいお話ですね♪
by ijimari (2008-07-22 12:12)
マルコメX 様
高含水率→海綿体→高充血→???
・・・ってことでしょうか?ハハハ・・違うかしら?
再度のコメント、ありがとうございます。
by toyo (2008-07-23 21:57)
yanasan 様
たしかに凄い面があるのですが、使い方と炭の選定を間違うと無価値になることもあります。そのへんもおいおい書いてみようと思っています。いつもお読みいただいてありがとうございます。
by toyo (2008-07-23 22:00)
たいせい 様
>水分の供給量と放出量のバランスが取れないと、飽和してしまって同じ事ではないのかと
おっしゃるとおりだと思います。
たいせい様はいつも的確に要点をつかまれますねぇ~凄い!
いつもお読みいただいて感謝申し上げます。
by toyo (2008-07-23 22:03)
ijimari 様
深い!そこまで考えたわけじゃあないんですが・・深い!
素晴らしい!ありがとうございます。
いつもnice!&コメントありがとうございます。
by toyo (2008-07-23 22:07)
たーチャン 様
私の書くことに木の専門家であるたーちゃん様からみたら多々間違いもあろうかと思います。そんなときはどうぞ遠慮なく御指摘くださいね。
nice!ありがとうございます。
by toyo (2008-07-23 22:09)