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築36年後の床下と築15年後の床下・・続きです [シロアリ]


皆さん、こんにちは。

前回の続きです。 さっそく始めましょう。

築36年も経っているのに、カビもほとんどなくて土台の腐れもない。 
驚異的に良い状態を保っていたこの超優良住宅。 
あと30年は楽勝と言いましたが50年位はもちそう。 

(外壁や水周り等の傷みは順次補修が必要になると思いますが、
少なくとも、骨組みの土台や柱が大丈夫であればなんとでも
できますからね)

でもね、これだけ床下が適度に乾燥していてベストな状態でも
残念ながらシロアリをシャットアウトすることは出来ませんでした。 

それじゃあシロアリはどこにいたのでしょう? 
前回の最後の写真を見て気付かれた方もいるようですね。

そう、シロアリは地下から登ってきますからね。
「木部と土が接触したところ」あるいは「狭い亀裂」からですね。

DSCF2290(1).JPG

 

 

 

 

 







 

上の写真はちょうど玄関の上がり框(かまち)の裏側になります。
「木部と土を接触させてはダメ」なのにここは木部の下部が砂と
接触していますよね。 ほんと残念!

DSCF2294.JPG 
















 

こういうところです。

DSCF2295(1).JPG

 

 

 

 

 

 

 


 

ね。中がグサグサに食われてるでしょ。


DSCF2299.JPG

 

 

 

 

 

 

 



 

ほかにも「砂と木が接触している部分」が食われています。

実は今まで皆さんに言わなかったことがあります。 
それは・・・
まず下の写真を見てくださいね。 最初の写真の左側です。

DSCF2301.JPG

 

 

 

 

 

 

 


 


ドライバーで刺しているところ・・・この真上に「柱」があります。 
ここからシロアリは上の柱に一直線に登って行きました。 

次はその柱の写真です。

DSCF2266.JPG

 

柱の真ん中あたりから
ブツブツが吹き出ているの
分かります? 

シロアリがここまで木の
内部を登ってきています。 

ちょっとわかりにくい
写真ですが・・・

 

 





 

この柱を玄関側から撮ったのが次の写真(下)です。 

既に上がり框の内部も空洞化しています。 押すと簡単に穴が
あいてしまう状態ですから剥がすのは工事のときに。
つまり柱に一直線のグループと、上がり框の「横」へのグループとに
分かれてシロアリは食い進んでいます。

DSCF2275.JPG

 

 

 

 










 

その「横」の上がり框(かまち)の延長上がこうなっていました。
(下の写真です)

DSCF2274(1).JPG 

 

 

 

 

 

 




 

これで全体像がわかりますよね。(下の写真)
右側から左に向かって空洞化していました。
DSCF2272.JPG

 

 

 

 

 

 

 


 

実は今まで言わなかったこととは、お客様が最初にシロアリに
気付いたのがここでした。それで床下調査の依頼をされたわけです。

今回は抜群にいい床下状態でした。
それでもシロアリは防げませんでした。 世間でよくいわれる
「湿気っぽいほどシロアリは湧いてくる」というのはウソですね。
湿気とシロアリはあまり関係ないですよね。 
それより造りです。
 
この住宅を「シロアリ屋の視点」から言わせていただくと3っつの欠点
があると思いました。 
その一つ目が説明した玄関の裏側の作りです。
(なんだか私、重箱の隅をつついてあら探しをしてる小姑みたい?)

あとのふたつはこれです。(下の写真)
② ガス管の支えでしょうか? 地面と接触していますね。

DSCF2306.JPG

 

 

 

 

 

 

 




 

③はここ。(下の写真) 浴室の基礎です
正面はトイレ。 その右手の上が浴室になります。
浴室は以前、タイルからユニットバスにリフォームしたそうです。

DSCF2287(1).JPG

 

 

 

 

 

 

 



 


なぜここが気に入らないかというと通気口がないからです。
リフォームのときに通気口を開けて欲しかったなあ~。

なぜって、これでは内部が蒸れてしまいシロアリが棲息しやすいから。
それに浴室の真下が密閉空間では調べようもないし。・・・ということは、
被害が出ても気付くのが遅れそうで危険です。 

以上の3箇所さえ注意してくれたら、シロアリ屋としては100点満点の
床下だったのになあ~と思います。 でも、36年前ですからね。 
シロアリにはそれほど関心のなかった時代。 

だから、辛口の採点をしてもいい仕事してるなあ~と思いました。
この3箇所以外は文句の付けようがなかったです。 ふつうならもっと
傷んでいても当たり前。お客様もこの大工さんには相当惚れ込んで
いたみたい。

それから③の浴室リフォームは、この家を建てた大工さんが
亡くなったので別の大工さんに頼んだそうです。

なんでこんなことわざわざ言うのかといいますと・・・
実は、この家は私の家内の父上(大工・故人)が建てた家だからです。
生きていれば③の通気口はきっと言われなくても開けてたと思います。

「義父さん、あなたいい仕事なさっていたんですねぇ・・」

超頑固で寡黙で家族には随分と苦労をかけたみたいだけど仕事は
一流・・・今更ながらそう思います・・・しみじみと合掌。

みなさんはどうお感じになられたでしょうか。

適切な建て方さえすれば、家ってほんと、一生どころか二生?も三生?
も充分持つってことを知っていただきたくて書いてみました。
家は見かけよりも骨組みです。 見かけに騙されないでね、みなさん。

下手な文章で皆さんに伝わったか心配ですがこれで終わります。 

(それからついでに・・・中古住宅を買おうかなと思っておられる方に。
絶対、床下を見てからにしてくださいね。概観が傷んでるように見えても
すごくしっかりしたお買い得の物件はけっこうありますよ)

なんだか今日はしみじみしてきたので・・・
ジョークはお休みにさせてくださいね。


それでは皆さん、ごきげんよう。
 
(最後までお読みいただいてほんとにありがとうございました。
 少しでも皆さんの参考になりますように)


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コメント 16

しおり

おはようございます☆
朝からtoyoさんのブログ見てました(^^)
いやービックリ!こんなに綺麗な床下でもシロアリがいたんですね(^^;
義理のお父さん、素晴らしい仕事をなさっていたんですね!私も合掌m(__)m
ところで、toyoさんに聞きたい事が…
toyoさんなら、どのような玄関の作りにしますか?基礎はどんな基礎で、最低でも何センチの基礎の高さにしますか?
って、いきなり朝から質問してゴメンナサイm(__)m
いつも言っていますが、今日もまたまた勉強になりました!
toyoさんに感謝~(^_-)
by しおり (2008-12-20 07:16) 

マルコメX

toyo様、おはようございます。

どうやらわたしは、シロアリのことをかいかぶっていたようです。
だってそうじゃないですか!浴室の下に隠れ住んで、その家のキレイな奥さんの入浴をコソコソ覗き見するなんて、なんというドスケベ野郎なんでしょう!

今後も出歯亀シロアリの退治をお願いしたく。

・・・でも、わたしに関しては大目に見てくださいません?


by マルコメX (2008-12-20 09:05) 

たいせい

 職人の仕事は、自分が死んでも仕事は残ると言うことですね。
 宮大工などの本を読んでそんなことを思っていましたが、一般の民家大工でもやはり同じなのだと改めて感じました。

 この建物は真壁だからこの段階で気付いたのでしょうが、今風の大壁だったら大変ですね。(真壁復権の会でも結成せねば...。)
by たいせい (2008-12-20 09:32) 

アキラ

この家が造られた時代は、現場監督なんて居なかった時代です。
棟梁が設計士兼大工さんの頭兼現場監督でした。
そして、自分が住む地域が主な仕事の場でした。
下手な仕事をして問題を生じたり、人が悪かったりすると、たちまち悪い評判が流れて喰うに困ることになります。
義理のお父様も、きっと地域に信頼されていた、立派な棟梁だったのでしょうね。
HMはどこから来た職人かも判らない人が携わっていて、仕事が終われば、もう二度と会うこともない・・・だから、いい加減な仕事がまかり通ってしまいす。
家を建てる人も勉強が必要なことを訴え続けているのですが、知らないことを逆手に取る業者が多いのも悩みの種です。
by アキラ (2008-12-20 10:28) 

toyo

しおり様
お読みいただいてありがとうございます。
私はシロアリ屋ですから、あくまで「シロアリと腐朽に強い家造り」を基準に考えますので異論もあろうかと思いますがその点、ご了承くださいね。

①どのような玄関の作りにしますか?
・・・については、先日も某工務店の社長と一緒だったので同じ質問をしたんですよ。私は上がり框の下は、昔みたいに吹き抜けにしたほうがいいと思いますがどう思いますか?
そしたら困っていました。困る理由もわかる気がします。そうすると冬は寒くなるからですね。それにネズミなども(玄関が開いてるときに)簡単に床下に侵入しますしね。
だから私は「取り外し自由な板」を用意して、冬は塞いで、夏は開けるようにしたらいいと思っています。特に夏場の床下の結露は凄いですから結露防止にもなっていいんじゃないかと思っています。(図解しないとわかりにくい説明かも)

②基礎はどんな基礎で
・・については養生さえしっかりしてくれれば特にこだわりません。ついでに・・・基礎パッキン工法では通気口はないのですが、それでは不十分ですので、たとえ基礎パッキン工法でも通気口は欲しいです。耐震性を考えて丸いスリーブ(管などを通す丸い輪)のちょっと大きめの通気口がいいと思います。数は適当というか10~15箇所くらいでいいです。

③最低でも何センチの基礎の高さ
・・・は、床下の地上面から60センチは欲しいです。通気も良くなるし何かあった場合、ご主人でも簡単に床下がチェックできるように。

ちょっとわかりにくかったでしょ?う~ん。以上はシロアリ屋としての意見です。①については他の方法も考えられますが図解しないと説明ができそうもないので・・・要はシロアリの侵入経路を断てればいいんです。

それから、アキラ様もいいアイデアをお持ちかもしれませんので相談してみてください。アキラ様には、しおり様から相談があったら力になってください、とお願いしたら快諾をいただきましたので・・・以下アキラ様の快諾のコピーを載せさせていただきます。

{青森の方からご連絡いただくようなことがあれば、誠心誠意ご返事させていただきます。青森(八戸)は娘婿の田舎でもありますので、親戚のつもりで^^}

以上です。スペースが少ないのでこれくらいの説明しかできなくてごめんなさいね。今度ご質問をテーマにした記事を書いてみようと思います。ありがとうございました。



by toyo (2008-12-20 19:12) 

toyo

マルコメX 様

シロアリ・・出歯亀・・・シロ・・出歯
あっ、なるほど!
シロアリ夫婦が多産なわけがわかりましたよ!

きっとマルコメX 様のおっしゃるように、キレイな奥さんの入浴をシーンを密かに覗き見しながらコーフンしてヤッテるに違いないですね。でなけりゃあ同じ相手と毎晩なんてヤレるわけないものね。 
こりゃあ学会に発表しなくっちゃ!
題して「シロアリが多産な理由は入浴シーンの覗きだった」
なんてどうでしょ。

nice!なコメントいつもありがとうございます。
(コレ30分考えましたあ)
by toyo (2008-12-20 19:34) 

toyo

たいせい 様

>自分が死んでも仕事は残る・・

同感です。私もまったく同じことを思いました。

それに引きかえ、私が死んでもなんにも残らないなあ~なんて。モノ造りって羨ましくなるときがあります。
真壁復権の会ってあったらいいですよね。ほんとに。

nice!&コメントいつもありがとうございます。
by toyo (2008-12-20 19:42) 

yanasan

やはり人間関係と同じでジメジメ、どろどろはいけませんね。サラリとした関係が一番ですね
by yanasan (2008-12-20 19:45) 

かなりあ猫

毎回、すごいなぁ~って思っています。床下とシロアリの話は奥が深いです。
ところで、最近はプラスティック製の束が既製品でありますが、対シロアリに関しては有効なのでしょうか。でも、耐久性に乏しいような気がしますよね。
by かなりあ猫 (2008-12-20 21:15) 

ジョージ

初めてコメントします。ずっと愛読していました。
いつも有益な情報をいただき、感謝しています。

昨年から家を建てて、今年春に入居、初めての冬を迎えました。
東京都の多摩地区なので、すでに何度か氷点下まで下がってます。

このブログの影響もあって、玄関も土間ではなく床下のある、
他の部屋と同じ構造としてもらいました。室内は完全にフラットです。

基礎パッキンのあるベタ基礎ですので、床下は外気なのですが、
しっかり断熱をとったので、全然冷たくないです。玄関隣の部屋(DK)
のエアコン一台+床暖房で家全体を暖めているのですが、
夜でも15度くらいありました(非接触の温度計で測定)。

今回の記事を読んで、自分の考えていたことは間違ってなかった
のだなと、うれしくなりました。

ちなみに、風呂場(ユニットバス)の下も外気ですが、オプションで
断熱材を入れてもらったので、こちらも全く寒くありません。
まあ、もっと寒い地域だとこうはいかないんでしょうが・・・。
by ジョージ (2008-12-20 21:26) 

toyo

アキラ様

>この家が造られた時代は、現場監督なんて居なかった時代です。棟梁が設計士兼大工さんの頭兼現場監督でした・・
>自分が住む地域が主な仕事の場でした。下手な仕事をして問題を生じたり、人が悪かったりすると・・・
>HMはどこから来た職人かも判らない人が・・・だから、いい加減な仕事がまかり通って・・・
>知らないことを逆手に取る業者が多い・・・

もう、まったくおっしゃるとおりだと思います!
おっしゃること、いちいち腑に落ちます。
で、こういう状況をなんとか変えようと頑張っておられるアキラ様には敬服してます。私なんか大工さんが家を建ててくれるからこそ成り立つ商売です。
だから、その私が建築のことに口を出すのは最小限に控えてるつもりですが・・ただ、お客様目線で考えるとついつい出しゃばったことを書いてしまうときもあろうかと思いますがどうぞ大目にみてくださいね。

それから、青森のしおり様がもし相談されたらOKとのこと、了解いただきましてありがとうございました。

いつも眼をとおしていただいてありがとうございます。
心よりお礼申し上げます。

by toyo (2008-12-20 22:18) 

toyo

yanasan 様

そうですよね。何事もどろどろはカッコ悪いですよね。
・・・といいつつ私、ときどきジメジメどろどろしたこと書いてしまっていないか気になります。(笑い)

サラッとして深ーいコメント、そしてnice! ありがとうございます。
by toyo (2008-12-20 22:31) 

toyo

かなりあ猫 様

お読みいただいてありがとうございます。
私も、かなりあ猫 様の記事ではずいぶん教えられることが多いんですよ。やっぱり当事者でなければ知り得ないことを教えていただけますからね。感謝してます。

お尋ねのプラスティック製束についてはまだ数年前に販売されたばかりなので、どうお答えしていいか正直迷います。
で、独断と偏見的な予測ですが・・・

メリットは・・
①木製みたいに「腐らない」ので耐久性はそれなりにある。②地震や揺れに対して「上からの圧縮強度」には強い。

デメリットは・・
①「横からの力」にはかなり「弱い」こと。
②柔らかいのでシロアリが齧るのは簡単。
③束の上に「蟻道」を作るのも容易。
④夏場に表面に夥しい結露が発生する。

・・・と並べると、あんまりいいとは・・・ってことになるかしら?優柔不断な答えでごめんなさいね。

実は、私も緊急の場合、2~3本使うことがあるんですよ。
これ内緒ですよ(笑) 
nice!&コメントありがとうございます。

by toyo (2008-12-20 22:59) 

toyo

ジョージ様

わぁー!

お読みいただいてたんですかぁ!感激です。
ほんとにありがとうございます。こういうコメントいただくと気が引き締まります。いい加減なこと書けないなあって。
それに凄くいいこと教えてもらった思いです。

なるほど!なるほど!

>玄関も土間ではなく床下のある、他の部屋と同じ構造としてもらいました・・
>床下は外気なのですが、しっかり断熱をとったので、全然冷たくないです。
>風呂場(ユニットバス)の下も外気ですが、オプションで
断熱材を入れてもらったので、こちらも全く寒くありません。

要は「しっかり断熱」・・ですね。う~ん、素晴らしい!

私、とっても勉強になりました。

(青森のしおり様にもぜひジョージ様の体験をお教えしたいですね。この欄を読んでくれてるかしら?)

とっても、ためになるコメントです!
ほんとにありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
by toyo (2008-12-20 23:15) 

toyo

takemovies様

nice! ありがとうございます。
参考になったらうれしいです。

一真様
 
いつもnice! ありがとうございます。

by toyo (2008-12-20 23:19) 

しおり

こんにちゎ☆
仕事で忙しくて、こちらに訪問出来ずでした(汗)
toyoさん、とても大切な事を教えてくれて、ありがとう!そしてアキラさんにも伝えてくれて、ありがとうございましたm(__)m
ジョージさんのコメントも大変、勉強になりました。

私はtoyoさんの『シロアリと腐朽に強い家造り』を基本に新築したいです!
toyoさんのblogに出会えて本当に良かったです(^^)
by しおり (2008-12-26 11:24) 

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