再びキシミ音について。 [シロアリ]
みなさん、こんにちは。
不思議なもので、前回の記事に似た調査依頼をまた受けました。
今度は廊下のキシミではなく、DKのフローリングのキシミ音です。
築年数は15年。
今回は依頼してきた工務店の部長さんと一緒に床下に潜りました。
床下での、私と部長さんの会話形式のほうが生中継っぽくて、
わかりやすいかもしれないですね。
あ、その前に部長さんの名誉のために言っておきますが、この家は
その工務店が建てたものではないです。
建てた工務店は倒産したそうです。
で、こんな会話をしながら調査しました。
まず、ここがキシミ音のする真下です。
断熱材が張ってありますね。(下の写真です)
- う~ん、これではわかりませんね。ちょっと断熱材をはずして
みますね。
- あー、これはフローリングの下に合板を貼っているなあ~。
これだと難しいね。(上の写真です) - この上にフローリングがあるわけですが、まさかこの合板を
剥がすわけにはいかないですものね。 - そうだね。 でも丁寧な工事をしていると思うよ。 キシミの原因が
この合板とフローリングの隙間だと調べようがないね。
- ちょっと、ここがグラグラするね。(上の写真です)
- 地盤が微妙に沈下したせいですか?
- う~ん、それはなんとも言えないなあ~
- 束柱が微妙に浮いていますよ。 これがキシミの原因かしら?(上の写真です)
- う~ん、かもしれないけどなんとも言えないね。 これは高さ
調節できるジャッキ式束柱に変えたほうがいいよね。 - それなら簡単に調節できますものね。
- あ!ここにも微妙な隙間ができているよ。(上の写真です)
- ほんとだ。 あ、他にもありますよ。 ほら!ここも。(下の写真です)
- 結局、こういった隙間を調整すればキシミ音って直りますか?
- いやー、うまくいくかいかないかはやってみないとわからないよ。
だって、合板とフローリングの間の隙間だとねえ・・。 - あれですよね、基本は隙間を接着剤で充填する・・ですよね?
- でもね、あんまり接着剤を使うとね、今度はそれ以外の場所が
キシむこともあるんだ。 - あー!なるほど!それは気づかなかった。 そうすると接着剤
の多用も考え物・・ということですね。 そうかあ~。 - それと、冬と夏ではキシむ場所が違うこともあるしね・・。
- そうですね。 冬場の今の床下は乾燥期だけど、夏はこれが逆に
なりますからね。 でも、状態はいいと思いますよ。
- あー!これはマズイね。 基礎の鉄筋が偏っているよ。(上の写真です)
- えー!ほんとですか! あ、これがそうですか!
こういうのって、初めて見ましたよ。 - (アップに撮ったのが下の写真です)
- これ、ほんとにマズいですね。 でも、お客様には内緒にしましょうか?
今更、どーにもできないし・・・心配させるだけだけですから。 - う~ん、そのほうがいいかもね。
- こんなとこに木が埋まってますよ。 シロアリ屋的には
感心しないなあ~。 これって何でしょう?(上の写真です) - たぶん枠板の押さえで打ち込んだものがそのままなんだ
と思うよ。 それ、取れない? - ちょっと、掘ってみます。 あー、取れないなあ~。まあ、食害は
ないみたいですが・・(下の写真です)
- これもマズイね。土台に穴を開けちゃあよくないよ。
(下の写真です) - えー!でも私、ときどきこういう光景を見ますよ。
今まで深く考えたことないけど、そう言われればマズいですよね。 - あんまり感心しないな。 初めから基礎に穴を設定すればいいのに。
- これも、お客様には内緒にしたほうがよさそうですね。
- ここも楔を噛ませていますよ。 これって、どうなんですか?(下の写真です)
- う~ん、なんか事情があったんだろうけどねえ・・。
- ところで、この家はツーバイ工法ですけど、これは何か起こると
修復が難しいんですよね? - うん、柱がないしね。 面で荷重を支えているからね。部分的な
修復が難しい作り・・とは言えそうだね。
お客様には内緒・・なんて言っていますが、いたずらに不愉快な
情報を与えて、心配させるだけなら言わないほうがいい場合もある
・・という配慮からです。
もちろん緊急的にマズイのなら言うべきですが。
ということで、シロアリ屋の見方と建築家の見方の違いがわかって
私的にはとてもためになりました。
ほんとはシロアリ屋的には他の気になること(基礎の亀裂とか)も
あったのですが、それは写真に撮りませんでした。
そういう写真をお客様に見せて心配の種を与えるのもね・・・
う~ん、このへんの判断って難しいなあ。
私の収穫としては・・
- でもね、あんまり接着剤を使うとね、今度はそれ以外の
場所がキシむこともあるんだ。
・・という言葉。 これは想定外というか想像外の言葉でした。
接着剤を使うことで、その場所の音が治っても、今度はそれが
他の場所に影響を与えて、新しいキシミ音が始まることもある・・
なんて想像できなかったですもの。
う~ん、やっぱり、キシミ音を完璧に音がしなくなるようにするのは
とても難しい・・ということですね。
どうしても素人からすれば、歩く度にキシミ音がすると、何か悪いこと
が床下で起こっているのではないか?と疑心暗鬼になりますものね。
でも、だからと言って、家屋にとって重大な問題でないキシミ音も
ある、ということを知っていただけたら・・と思います。
ということでおしまいです。
少しでも皆さんの参考になったら幸いです。
最後までお付き合いいただいて感謝します。
それでは皆さまにいいことがありますように。
<ジョーク>
とたずねた。
「これは、生命の木になるリンゴだよ」
父親は詩的な表現でその場をきりぬけた。
その話を娘から聞いて、母親は、
「それで、その上の、枯れちまった小枝のことはなにか言ってたかい?」
こんにちは、問題がある箇所が見つかっても処置のしようが無い場合は内緒にしておく、と言うのは何か人間と場合が似ていると思いました。よく聞くのは脳に
腫瘍が見つかったが場所が神経の束が集まっている所にあるので下手に手を付けると命に関わるのでそのままにして置いた、と言う話ですが、そのどうにもならない問題も排除せずにうまく付き合っていく事が大事だと言う事を今回気付かせていただきました。そういえばラジオの「人生相談」で「変えられるものは変える努力をしましょう、変えられないものは受け入れましょう」という言葉が頭に浮かびました。
by わ~い、お茶 (2012-01-08 11:37)
家にもキシミ音がする所があります。
良くわかりました。
分かりやすい貴重な内容でした。
ありがとうございました。
ジョークも良かったですよ。
by kawasemi (2012-01-08 12:00)
わ~い、お茶 様
いつもお読みいただいてありがとうございます。
そうなんですよね。ほんというと、もっとマズいケースも
あるんですが、いろんな状況を考えるとお客様に
内緒にしたほうがいい・・と思えることは多々あります。
かと言って、後日というか数年後にそれがマイナスに
なって顕現しても困るので・・言うべきか、言わざるべきか、
悩む場合もあります。
おっしゃるように、「変えられるものは変える努力をしましょう、変えられないものは受け入れましょう」
・・というのも大事なことだと思います。
丁寧なコメントをほんとうにありがというございます。
どうか、わ~い、お茶 様にいいことがありますように。
ありがとうございました。
by toyo (2012-01-09 08:47)
kawasemi 様
いつもお付き合いいただいてありがとうございます。
少しでも参考になったら嬉しいです。
キシミ音で過剰な心配をされている方は意外と多い
ような気がしたので記事にしてみました。
案ずるより産むが易し・・の場合がほとんどなので
あまり心配しなくてもいいと思います。
もっとも絶対、大丈夫とは言えない場合も稀にあります
ので、よほど気になる場合は機会があったら、調査くらいは
しておいたほうが無難かもしれないですね。
いつもコメントをほんとうにありがとうございます。
どうか、kawasemi様にもいいことがありますように。
ありがとうございました。
by toyo (2012-01-09 08:57)
我が家でもたまにフローリングが鳴る時が
あります。
まあ 木造なんで鳴る事もあるだろうと
思うようにしています
一応、「床鳴り止まるんです」という鳴り止め防止液が
ありますので、それを注入して音は止めてますが。。。
by sugar (2012-01-09 12:49)
sugar 様
鳴り止め防止液・・とは、そういうものがあるとは知り
ませんでした。なるほど!それも試してみるようにします。
有益な情報を有難うございました。
床鳴りは原因が多岐に渡るので厄介ですよね。
うまくいけばラッキーです。
どうか、sugar 様にいいことがありますように。
ほんとうにありがとうございました。
by toyo (2012-01-09 18:59)
接着剤でピッタリとくっつけてはいけないんですね。
何事もあそびが必要ということでしょうか。
by こう (2012-01-09 22:24)
こう様
いつもお付き合いいただいてありがとうございます。
>何事もあそびが必要・・・
う~ん、深い言葉ですねえ。
そこまで考えなかったけど、そういうことなのかも
しれませんね。いろいろ考えさせられます。
私も遊び心のない人間なので(笑)
人生全般の遊び心ってどうしたらもてるのかしら?
そのような人間になりたいですが・・と、脱線しそうなので
これくらいに。
どうか、こう様にいいことがありますように。
ありがとうございました。
by toyo (2012-01-11 08:51)