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バリケードと祈り [インド巡礼]


みなさん、こんにちは。


またまたインドの話をします。
つまらなかったら、どうぞパスしてくださいね。

(実は、インドの記憶も薄れかかってきたので、今のうちにブログに
 書いてメモ代わりにしよう・・という個人的な魂胆もあります・笑)



それは  「釈尊最後の雨安居の地、ヴァシャーリー」に向かって
バスで走っている途中に起こりました。

(雨安居とは、雨期に布教のために滞在する拠点・・という意味らしいです)

広大な北インドの地に点在する仏遺跡群をA地点からB地点に
移動するだけでも相当の時間(5~6時間)がかかります。
少しの時間ロスがあっても、積み重なれば踏破は不可能です。

だから、ハンさん(添乗員)は内心相当、焦っていたと思います。

そんな強行軍の途中で、思わぬ障害が起こりました。
田園風景の中の一本道の左脇にトラック群が延々と列をなして
停車していました。

なにか、おかしい。
ふつうなら我先にと暴走?して走っているはずのトラックが
渋滞で停車しているなんて・・きっとこの先に何かが起こって
いるんでしょう。

それでもバスは止まっているトラック群の右側を抜いて、
とにかく進めるところまで行きました。
しかし、その先にはなんと丸太がバリケードのように道路上
に置かれていました。

1322.jpg

そして、あちこちから農家の住民が集まってきます。

なんか住民は苛立っているようです。言葉はわかりませんが、
雰囲気としては「お前ら!帰れ!」・・みたいなことを
言っているようです。

添乗員のハンさん、現地ガイドのクマールさん、バスの
運転手が降りていきます。
土地の住民となにか交渉しているようです。

1327.jpg

1324.jpg

で、結論を言うと、ここはだいぶ待たされましたが通行
することができました。
私達が巡礼団という特別な団体だったので住民も通行をOK
してくれたのかもしれません。

なんで、住民が苛立って交通妨害をしているかというと
・・その道路上で交通事故があって、子どもが怪我をした
らしい。だから、住民が車に怒っているようだ、と聞き
ました。でも真相はわかりません。

だいぶ時間をロスしてしまったとハンさんはかなり焦って
いるふうですが、ほっとした表情もしていました。

でも、実はこれは序の口だったのです。
すぐに、もっともっと厄介なことが待っていました。
ほっとしたのも束の間でした。

それから少し先に行くと・・ここはある街の入口みたい。
またもやストップです。 

なんと!今度のバリケードは丸太ではなくタンクローリー
が行く手の道を塞ぐように止めてあるではないですか!

おー!今度は本格的な妨害だ。

1331.jpg

人もどんどん集まってきて暴動が起こりそうな感じ・・
とでも言ったらいいでしょうか。騒然とした危険な雰囲気
を感じます。一体どうしたんだろう??

で、またハンさん、現地ガイドさん、運転手の方が降りて
行きました。向こうの代表者と必死で交渉してるようです。
その様子は人ごみで車内からは見えませんでしたが。
しかし、今度は簡単には埒があかないようです。

ハンさんは降りる前に私達に・・

「絶対にバスを降りないでください。何が起こるか
 わからないですからね」


と随分と困ったふうでした。

もし、この道を通れないとなると戻って、別の道を迂回
しなければならないのです。 そうすると数時間の遅れ
が生じるでしょう。 迂回といっても、そもそもそんな
道を見つけられるかどうか・・です。そうなると根本的に
巡礼計画が狂ってくるでしょう。困りました。

1329.jpg
(大人たちの騒然とした雰囲気とは別に子どもたちは
 野次馬というか、面白がっているようでした)

で、かなりの時間が経ってから、ハンさんが真剣な顔で
戻ってきて、こう言いました。

「お坊さんにお願いがあります。どうか私の言うとおり
 にしてください。すぐに仏衣に着替えて、5~6人で
 いいですから私と一緒に来てください。どうかお願い
 します」

そして、すぐに何人かのお坊さんが着替えて車を降りて
行きました。私達には詳しい事情はまったくわかりません。
なぜ仏衣なのか?なぜ5~6人なのか?

それからしばらく経ちました。(20~30分くらい?)
皆さん(ハンさん、お坊さん、現地ガイドさん、運転手さん)
が戻って来ました。

ハンさん曰く。

「OKです!私達は通してくれるそうです。皆さん、全員
 いますか。あちらの気が変わらないうちにすぐに出発です!」


見ると、タンクローリーが移動しています。
ああ、良かった。それで騒然とする群衆の中をバスはゆっくり
と動き始めました。ガンジー通りという文字が見えたような気も
します。この街の名前は忘れました。

一体、何が彼等にバリケードを築かせたのでしょう?
真相は未だにわかりません。何しろ言語が通じないのですから。
一説には、政府に対する不満という人もいましたがそうすると
ストライキ? やっぱりわかりません。

224.jpg

「それで、言葉が通じないのによくOKしてくれましたね?
 どうやって彼等を説得したんですか?」

と、後でハンさんに聞いたたら・・

  • 「それで、仏衣に着替えてもらったんです」

  • 「えっ??」

  • 「言葉は通じなくても、ひたすら仏衣姿のお坊さんに
     相手に向かってお祈りしてもらったんです」


  • 「えっ、えっ、あー!そうだったんですか!」

なんとなく分かって来ました。
「言葉」は通じなくても「心」は通じた・・ということ
ですね。ひたすら祈りの姿勢で押し通した・・そういう
ことですね。

言葉のコミュニケーションは通じなくても心のコミュニ
ケーションは通じた・
・ということでしょうか。 
ちょっと感動しました。
さすが、ハンさん!偉い!というか戦略家(笑)

(ちなみにハンさんとは中国人ですが日本に帰化したので
 正式な日本名は別にあります。この道25年の海外専門の
 ベテラン添乗員だそうです。人格・人間性ともに優秀な
 方とお見受けしました。ハンさんならきっとリピートで
 添乗をお願いする人も多いと思います)

ということで、バリケードも祈りで打ち破った・・という話
でした。いやいや、これもお釈迦様のおかげ・・とお坊さんは
言っていました。そのように謙虚になるべきかもね。

265.jpg

そうかあ、いざとなったら「祈る姿勢」をひたすら示すこと
で心は通じるものなんだな・・とかなんとか思いました。

今度「ねえ、小遣い、もうちょっとだけ上げて」と、ひたすら
奥様に「祈りの姿勢」で交渉してみようかな?(笑)

まあ、結果はわかっているけどね。
だって相手は仏様じゃなく、どっちかというと閻魔様だもの
・・ぶつぶつ(笑)

最後まで駄文にお付き合いいただいて心から感謝します。
どうか皆様にいいことが沢山ありますように。合掌


ジョーク
妻を亡くした男が司祭に会いにきた。

「死んだ女房のためのミサをあげていただきたいんですが・・・
 無料でお願いできませんか?」

「いや、それは駄目です。いろいろ経費もかかりますので。
 どなたか親戚の方に援助していただくわけにはいきませんか?」

「姉がいるのですが・・・まともじゃなくて」

「どうなさったのです?」

「いや、修道女なんかになってるんですよ」

「何てことを言うのです。修道女というのは天の賜物です。
 あなたのお姉さんは主キリストと結婚されたのですよ」

「なるほど! ではミサをあげてください。
 つけは私の義理の兄にまわしてもらえれば結構です」



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コメント 10

楽しく生きよう

怖い思いされましたね。
でも本物のお坊さんがいることで心が動かされたというのは佳い国なのかもしれませんね。
by 楽しく生きよう (2012-03-13 12:36) 

心如

 我が家も、どちらかというと閻魔さまかな…^^;
by 心如 (2012-03-13 22:02) 

わ~い、お茶

こんばんは、バリケードで思い出したのですが、ジャズピアニストの山下洋輔氏は昔大学で築かれたバリケードの中でピアノの演奏をした事があるそうです。シャーマンと呼ばれる人たちは音楽と祈りによって神や
精霊の声を聞き、託宣を享けたり、或いは一体化したと言うので、祈りと言うのは不思議だと思います。
by わ~い、お茶 (2012-03-14 20:43) 

ラック

拝み倒しって言葉思い出しちゃいました。
(不謹慎ですね)
前回の神秘体験された奥様そのごの生活のなかで
変わられた事などないのかなととても気になります。
by ラック (2012-03-14 22:27) 

toyo

楽しく生きよう 様

おっしゃるように佳い国だと思います。

真相はわかりませんが、「子どもが交通事故にあって、それで
丸太でバリケードをした」というのを聞いた時、私も佳い国だなあ~と思いました。うまく言えませんが日本ではそういうことはあり得ないでしょうし。ストレートに直接的な抗議を住民がみんなでするというのは素敵な感性だとも思いました。あー、ほんとにうまく言えませんが・・・。

どうか、楽しく生きよう様にいいことがありますように。
ありがとうございました。
by toyo (2012-03-14 22:28) 

toyo

心如 様

それを聞いてホッとしました(笑)
何処も同じ・・なんでしょうか。
祈り以外の方法を考えないと・・ですよね(笑)

いつもお付き合いいただいて感謝しています。
どうか心如 様にいいことがありますように。
ありがとうございました。
by toyo (2012-03-14 22:31) 

toyo

わ~い、お茶様

ほんとですね。祈りなんて主観的な思いだけで現実的な
効果など期待できないし、なんの効果もない・・と思うのが
ふつうでしょうが、そうでもないと思います。
大げさに言えば「時空を超えた」効果というか、何か発現
することはあるような気がします。そのチカラがなんなのか
わからないですが、確かにチカラはある・・と思っています。

>シャーマンと呼ばれる人たちは音楽と祈り・・・は決して
迷信とか無意味な習慣とは思いません。おそらく彼等に
とってはかなりリアルな・・なんというか・・経験?作業?
ではないかしら?
・・・と、最近、思い始めています。
バリケード内での山下氏の演奏だってきっと何か効果?
というか影響を学生たちにあたえたはず・・と想像します。
目に見えなくても・・。

・・と、勝手なことばかり書きました。すみません。
でも、ほんとに祈りは不思議です。

どうか、わ~い、お茶様にいいことがありますように。
いつもコメントを感謝しています。


by toyo (2012-03-14 22:43) 

toyo

ラック 様

いやいや、まさに拝み倒し・・だと思います。
でも、拝まれる方が素直でなければ拝み倒しも効果がない
と思いますので、結局、インドのみなさんは良い人達ばかり・・
と私は思っています。
くだんの奥様にはその後一度しかお会いしていないので
「変化」はわかりませんが、今度、お会いする機会があったら
聞いておきます。その奥様の性格は大人になっても「子ども
のような感性」をお持ちの方だとお見受けしました。
珍しいくらい素直なレディだと思います。だからそういう経験を
されたのかもしれませんね。

どうかラック様にもいいことがいっぱいありますように。
コメントをありがとうございました。
by toyo (2012-03-14 22:49) 

dasocks

原因は部族間の賃金闘争だったようです。同行僧によると、ひたすらパーリ語で南無帰依仏、南無帰依法、南無帰依僧と唱えたとのこと。それでわれわれのみ通してくれたそうです。実は、お釈迦さまはヒンドゥー教の聖人の一人に入っています。
by dasocks (2012-04-18 22:51) 

toyo

dasocks様

コメント、ありがとうございます。
そうだったんですか。賃金闘争とは知りませんでした。
しかし・・同行僧によると、ひたすらパーリ語で南無帰依仏、南無帰依法、南無帰依僧と唱えた・・・とは凄いですね。
臨機応変、適切な対応だったのですね。
でなければ、ルートが狂って、とんでもないことになっていたかもしれないですね。今更なんですが、ほんとうにお疲れ様でした。
後で振り返ると、こういうことが旅の思い出に・・なんて、無責任かしら?すみません。
でも、実力のある住職様だったので回避できたなんてやっぱり凄い!ありがとうございました。
by toyo (2012-04-19 12:27) 

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