SSブログ

まるでアリスのように。 [インド巡礼]


みなさん、こんにちは。

今日は雑談です。
実は先週、ちょっとしたはずみでギックリ腰になってしま
いました。まあ、恒例の職業病みたいなものですが車の
乗り降りもキツイ。

で、パソコンを使うのも少しキツいので・・そうだ、お寺様に
頼まれている寺報の原稿の下書きをコピーして記事代わり
にしよう・・という魂胆です。 

だから、つまらないと思いますので、もしお時間があったら
お付き合い下さいね。



{不思議の国で}


インドに行ってきたよ・・と知人友人に言うと決まって同じような
ことを聞かれます。

「で、どうだった?人生観とか変わったんじゃないの?」
う~ん、難しい質問ですね。なぜみんな同じようなことを聞くん
だろう?でも、逆の立場ならきっと私も同じようなことを聞くかも
しれないな。

これがもし香港なら、「買い物ツアーだったの?北京ダックを
食べてきた?」とか聞かれることはあっても「人生観が変わった?」
なんて聞かれることはないでしょうね。

(写真はネパールとインドの国境近くのインド側)
1016.jpg
(国境のど真ん中の緩衝地帯)
802.jpg

(朝早くバスを待っている女性たち。お仕事かしら?)
1038.jpg


どうも、インドという国には「訪れた人の人生に何か影響を与える
らしい・・」という特別なイメージがあるようです。

かの三島由紀夫氏は
人間にはインドに行ける者と行けない
者があり、さらにその時期は運命的なカルマが決定する」
と語ったそうですね。

すると私はインドに行ける者だったのかな?いや、三島氏の
言葉はもっともっと深い意味でアホな私の場合には当てはま
らないでしょう。

(デリーの郊外。なぜか懐かしい風景?)
069 - コピー.jpg
(豪華なホテル。対照的です)
073.jpg

昨年、私の父が九十七歳で急逝して東龍寺の渡辺住職様
にお世話になりました。その縁で今回、渡辺様から誘われて
仏跡巡礼の旅のお仲間に入れてもらったわけですが、もし父が
健在ならインドには行くこともなかったでしょう。

もしかしたら、不信心者の私を覚醒させるために父がインドに
導いたのかもしれないな?そう考えると実に不思議です。

(路上生活者の家族の朝)
143 - コピー.jpg
(ネパールの国境沿いの市場)
805.jpg
(インドの市場)
1237.jpg

で、不思議といえば・・
インドは私には驚異と不思議の国=ワンダーランドそのもの
でした。御一緒した若いお坊さんがインドでこんなことを言って
いました。


「僕は、ここはディズニーランドみたいな感じがしてならないんです。
 たとえば、あそこの物乞いの子も、そこの路上生活者の家族も、
 市場でフルーツを売っているオッサンも、サリー姿のおばさんも、
 みんなほんとはインドという巨大なテーマパークの従業員(キャスト)
 で、僕達旅行者(ゲスト)を楽しませるために演技をしているのでは
 ないかと・・そんな錯覚を覚えて仕方がないんです。もちろん、そうで
 ないのはわかっているんですけどね・・」

(インドですが、どこだか忘れました)
1090.jpg
(インドですが町名は不明。田舎の町です)
274.jpg


これはインドで目にする光景が、どれも信じられないほど
強烈すぎて、こんな現実あるわけない。きっとここは一種の
人工的で巨大なテーマパークじゃなかろうか?・・という思い
に陥ったのではないかしら?

その気持はわかるような気がします。私もまるで不思議の
国に迷い込んだアリスのようでしたから。どうやらあまりに
強烈だと、これは夢のなかの世界で現実ではないんだ・・と
逆に信じられなくなってリアリティがなくなるようです。

なにしろ人口十二億で言語も八百種以上だそうですから
地域が違えば言語や文化も違う。インドは国というよりは
多民族の住む大陸・・というほうがピッタリな気がします。

(農村地帯。女の子がお昼寝?)
1065 - コピー.jpg
(子どもたちはみんな元気。生き生きしてます)
1034.jpg


で、先ほどの自問に戻る。
インドで私の人生観は変わっただろうか?たしかに変わったよう
です。というより現在進行形で変わりつつある・・ようなのです。

・・ようなのです、というのは奇妙なことに、旅の記憶がなかなか
風化せず、時が経つほどいくつかの光景が力を増してくる感じが
するんです。

・・と、ある奥様に話したら「それは漢方薬みたいですね。後から
じわじわと効いてくるなんて・・でも、それって、とても大事なこと
・・」と言われました。なるほどそうかもしれない。

(夜の祇園精舎)
423.jpg

1366.jpg


たとえば祇園精舎の濃密な夜の闇。対照的に乾いた仏跡群を
ギラギラと照りつける真昼の太陽。道端に牛の糞が干されている
農村光景。牛と羊と犬と人間が共存している街並み。
そして、裸足の愛らしくシタタカで陽気な物乞いの少年少女達。

かと思えば、都会の近代的なビル群と宮殿みたいな豪華なホテル。
これらが渾然一体となって私に何かを問いかけてくる。

545.jpg

(子どもが授かった時にお礼に建てる塔?みたい)
1062.jpg
(菜種は油を採るための貴重な農産物らしいです)
1048.jpg


では、自分の何が変わったというのだろう?

それを言葉で掬うのはとても難しい。匂いや香りを言葉
ではなかなか捉えられないように・・。

いや、言葉にしたら忽ち、ありきたりの意味に「変質」して
しまいそうで哀しい。あるいは輝きや匂いが朝露のように
消えてしまいそう。

338.jpg

771.jpg

乾いた空気にジャスミンの香りが妖しく漂い、そして、お釈迦様が
生まれたこの地の原風景がいつか漢方薬のようにじわじわと効い
てくるような予感がする・・・それが私にとっての不思議の国・インド
の印象でした。合掌。


288.jpg

1592.jpg
(トイレに置かれてあった柄杓と桶。勇気がなくて使いませんでした)483.jpg

駄文に最後までお付き合いいただいて感謝します。
どうか皆さんにいいことがありますように。


ジョーク
今時の子ども

ある夜、トムが父親に質問した。
「どうしてボク生まれたの?」

頭の古い父親は、紋切型の答え方をした。
「コウノトリが持って来たんだよ」
「じゃ、パパはどうして生まれたの?」
「パパもコウノトリが持って来たのさ」
「じゃ、おじいちゃんは?」
「おじいちゃんも、コウノトリが持って来たのだよ」
「ふーん、すると、わが家は三代にわたって、
 インポだったんだね」



nice!(49)  コメント(8)  トラックバック(0) 

nice! 49

コメント 8

sugar

ギックリ腰は大変ですね
私も腰が悪く、椎間板ヘルニアでした。
とうとう8年前に左足が麻痺して歩けなくなり
救急車で運ばれ、そのまま入院し手術しました。

今では普通に生活は出来ますが、重たい物は持てなく
なりました。

悪化すると大変ですので、お体を大切に!
by sugar (2012-06-30 19:38) 

ラック

インド旅行のある記憶が時が経つほどに力を増してくる=漢方薬と例えたご婦人は聡明な方と思われます。
やはりインドは不思議の国なんですね。
僧侶と同行されるというインド旅行も確かにお父様の導きかも
知れませんね。

by ラック (2012-07-01 00:30) 

toyo

sugar 様

椎間板ヘルニアとは大変でしたね。大工さんにも多い
ようです。私は仕事柄、床下の狭い空間で作業する
ことが多いのでどうしても腰を捻ったり、頭を打ったり
することが多いんです。お互い気をつけましょうね。

いつもコメントをありがとうございます。
どうかsugar 様にいいことがありますように。
by toyo (2012-07-01 08:43) 

toyo

ラック 様

コメント、ありがとうございます。
インドって国は、ほんとにわからない国です。
もうわかろうとすることは諦めました(笑)
というか、わかりっこない、という絶望的な気分です。

でも、それでいいのだと思い始めています。
ただ、匂いというか・・雰囲気というか・・ああ、どう言ったら
いいのか適切な言葉がみつかりませんが、・・なんか
インド全体の空気感のようなものは、わからなくても
そのまま消えないでいつまでも身体感覚として残って
います。だからこれでいいですよね?

あー、なにを書いているんだか(笑)ごめんなさい。
あ、漢方薬と例えた聡明なご婦人は、実は地元の某寺
の住職の奥様なんです。私もさすがだなあ~と思いました。

どうかラック 様にもいいことがありますように。
ありがとうございました。

by toyo (2012-07-01 08:54) 

ぼんぼちぼちぼち

前回ケータイからの閲覧だったので 改めて大きな画像観させていただきやした。
インドに行くと人生観変わる とは、あっしの周辺でもよく聞く言葉でやすね。
で、実際行った人も よく口にしてやす。
で、変わった人も多く、それを機に脱サラして カレー&チャイの店やインド雑貨店をオープンさせたりしてやす。
あっしが住んでる地域(東京・中央線沿線)は そんな人多いでやす。
あっしも 行ってみたいなぁと思いやすが、たぶん ぶしょうして行かないと思いやす。
toyoさん、実にいい人生経験になりやしたね(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2012-07-01 22:44) 

こう

日本にも貧富の差がありますが、インドのカースト制の前では、ほとんど平等に見えますね。
それは錯覚でもあるのですが。

海外はタイとオーストラリアに行った経験があります。
「日本みたい」というのが素直な感想です。
観光ですから。
by こう (2012-07-03 08:07) 

toyo

ぼんぼちぼちぼち 様

コメントありがとうございます。
たしかにショックをたくさん受けてきました。
しかも、そのショックがじわじわと後で効いてくる感じです。

これはきっと・・うまく言えませんが・・死と生が日常的に
自然に共存してる光景や、あるいはカーストという
やりきれない制度が不動のごとく人々の暮らしに圧倒的な
位置を占めていて、それは生半可なヒューマニズムなどでは
変えられないような絶望的な状況・・というか、それでも
なぜかみんな・・特に子どもは明るく陽気・・といいますか。

牛や犬も見方を変えれば元気がないんですよね。
元気がない・・というのは、なぜかというと虐待はされて
いないけど、ある意味厳しい環境なのかもしれません。

私なんか、ほんの上っ面しか見てこなかったのでほんとの
ところはやっぱり数ヶ月滞在しないと実感としてはわから
ない・・と思っています。でも、考えるヒントはたくさんいた
だいたと感謝しています。

ぼんぼちぼちぼち 様にいいことがありますように。
お礼が遅れて申し訳ないです。ありがとうございました。


by toyo (2012-07-05 01:22) 

toyo

こう様

コメント、ありがとうございます。
差別って難しい問題ですね。日本にも表面的には
ないように見えて、ほんとは差別は厳然としてある
と思っています。悪意がなくても差別はいつのまにか
心に忍び込んでいることもあるように思います。
自戒しなければと思っています。

どうか、こう様にもいいことがありますように。
お礼が遅れてごめんなさい。ありがとうございました。
by toyo (2012-07-05 01:27) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。